釣りビジョン

2010.6.15号

新盛丸・千葉県勝山港
千葉県内房、勝山沖のマルイカ大人気!

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最近では、初夏の釣り物として定着した感のあるマルイカ。高級イカとして知られるケンサキイカの“子供”だが、食味は抜群だ。千葉県・内房の勝山港の船宿では、この時期、挙ってマルイカ船を出しているが『新盛丸』もその1軒。梅雨時を迎え、浅場でも釣れ出したマルイカの人気は高い。

最初の釣り場は港口から数百m

先着順に札を取る
出掛けたのは9日・水曜日。平日で天気予報も雨模様を告げていたが、午前4時半過ぎに港へ着いてビックリ。何と10人以上の釣り人が受け付け開始を待っていた。
東京湾でマルイカの乗合船が出始めて、まだ10年ソコソコだが、人気の高さに改めて驚かされた。結局、午前5時の出船時間には18人が乗船した。明け方から降り出した雨は、止む気配はなく、全員が合羽に身を包んでの出船となった。
「近くからやって行きますから準備して下さい」。舵を握る艫居正悟(ともいしょうご)船長から声が掛かった次の瞬間、エンジンがスローに落とされた。港を出ると浮島が目に飛び込んでくるが、最初の釣り場は、その浮島との中間地点、港口から数百mの所、本当に目と鼻の先なのである。
「水深27m」、船長からの合図と共に一斉に仕掛けが投入された。マルイカ仕掛けには“ブランコ”、“直ブラ”、“直結”など色々な種類が売り出されているが、この日は、“直ブラ”派が多かった。『新盛丸』の“特注仕掛け”もこのタイプだ。

『新盛丸』の“特注仕掛け”
札を取ったら
受け付けを済ませて乗船
『新盛丸』は大盛況!

順調なスタートだったが…

最初の投入合図から間もなく、船中のあちらこちらで20cm前後のマルイカが釣れ出した。確認した範囲では、2点掛けをした人が1人いたが、後は全員1尾ずつだった。2投目にもマルイカを釣った人はいたが、ほとんどの人が1尾で終わってしまった。それを見て、船長はすぐに船を流し直した。すると、またバタバタとマルイカが掛かり、まずは順調なスタートを切ったかに思えた。
周辺には5、6隻の僚船(同じ港の船)がいたが、どの船もマルイカの魚探反応を求めて右往左往している様子。
3回程は、船中で誰かしらにマルイカが釣れる状況が続いたが、その後はカラ振りが目立ち出した。船長は、暫くの間、浮島周りを狙っていたが、忘れた頃にポツリポツリ状態になってしまった。そこで船を保田方面に移動させて行った。
相変わらず雨は降ったり止んだりの状態で風も冷たくなり、少々寒い。しかし、周囲に目を転じれば、緑に覆われた鋸山の稜線が雨に霞み、沖には浦賀水道を航行する大型船がゆっくりと進んでいく姿が見える。その先には三浦半島が霞んでいた。天気がよければ…と若干残念だったが、雨に煙る景色も悪くはない。

好スタートを切ったのだが…

第1投はムギイカ

仕事熱心な艫居船長
「水深41m!」。船長の声で我に返った。ここで持参した道具に“船宿専用特注仕掛=直ブラ/枝1cm”(5cmスッテ5本、幹糸5号、ハリス3号、ハリス間隔1.3m)を結んで“参戦”した。
オモリの着底を確認して竿先を少し持ち上げた途端、クッと小さな手応え。そのまま竿を立て気味にしてリールを巻いてくると、20cm足らずのムギイカ(スルメイカの“子供”)が釣れて来た。
しかし、その流しも船中で数尾のマルイカとムギイカが釣れると、後はバッタリで“連チャンモード”にはなかなかならない。どこかで“いい群れ”に当たりさえすれば、一気に数は伸びるのだが…。今シーズン、内房地区のマルイカは、群れが広く散っているようで、どこでも釣れてくるが、まとまっては釣れない状況が続いている。
この日もまさにその典型だった。船長は魚探と睨めっこで群れを探し、1尾、また1尾と釣果を積み上げて行く。
「“いい群れ”にさえ当たれば…」の思いが伝わって来る。10分、15分と走って、釣っている時間は2、3分-そんなことが何回となく繰り返された。
こんな時の釣り船の船長は辛い。いい加減な船長なら「今日はダメ!」とばかりに適当に場所換えして時間を潰し終わりにしてしまうが、艫居船長は、黙々と船を流し直しては魚探との睨めっこを続けていた。
この日、勝山港から出たマルイカ船で、最も乗船者が多かったのは『新盛丸』だったが、その理由の一端が分かったような気がした。

味は絶品のマルイカ

努力が報われるとは限らない

マルイカの仕掛け図
しかし、努力が報われるとは限らないのが、釣りの世界。その後も何度となく流し直しが繰り返されたが、とうとう“いい群れ”に当たらず納竿時間を迎えてしまった。
結局、この日の成績は4~19尾(ムギイカ交じり)だったが、乗船者の中には15cmに満たないような小型をリリースしている人が結構いた。また、6月14日(月)には午前釣りで20~50尾の釣果も記録されており、一気に好転の可能性も十分にありそうだ。
船長の話では、少なくとも梅雨明け(7月中旬)までは乗合船を出すとのこと。“いい群れ”に当たる事を祈りながら出掛けてみてはいかがだろう。
なお、『新盛丸』では、今回乗船した午前船(4時半集合、5時出船)の他に午後船(1時集合、1時半出船)も出している。「朝が早いのはどうも…」といった人には打って付けだ。

(野口 哲雄)

今回利用した釣り船
千葉県 勝山港 『新盛丸』
〒299-2117 千葉県安房郡鋸南町勝山273-1
TEL:0470-55-1687
詳細情報(釣りビジョン)
新盛丸ホームページ
出船データ
料金=午前船9,000円(氷1個付き)、午後船6,500円(氷1個付き)
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