釣りビジョン

2010.9.1号

はるひら丸・静岡県伊東
初島沖・トップゲームで狙う“メジナブラ”

02_main.jpg
磯釣りのメーンターゲットとして知られるメジナ。“回遊性”と“居着き”の2タイプがいると言われているが、今回のターゲットは“回遊性”。釣り人にとって沖アミなどの餌で釣れることは周知の事実だが、ルアー、しかも“トップゲーム”で狙える場所があると聞き、静岡県・伊東港『はるひら丸』へ出掛けた。

釣り場は伊東港目前の初島周り

静岡県・伊東港から東へ航程20分程に位置する初島。この周辺には例年3月~10月まで30~50cmの回遊性メジナが大きな群れを造る。今回はそのメジナをトップゲームで狙った。同乗者は、キハダやワラサ、シイラなどをターゲットとしている鈴木洋治さん(平塚市)。

あっとゆうまに初島の目の前に到着
水面が黒い部分は全てメジナ
近づくとコバルトブルーに光る魚影

背中には満月、水平線には美しい日の出

後ろには満月
8月26日(木)午前4時半。伊東市観光会館前の駐車場に到着。『はるひら丸』では、民宿も併営しているが、釣り船の場合は港へ集合が決まりだ。宮本勝船長から「今回はメジナ・ワラサ・キメジがいいかもよ!」と聞いていた。先に到着していた鈴木さんが準備を始めており、キメジとワラサ用のヘビータックルとメジナ用の少しライト気味のタックルを用意していた。
5時に出船、天気は快晴、背中の山側には白い丸々とした月がクッキリと見え、前方の水平線からは大きな美しい朝日が顔を見せた。

初島周りに大型のナブラを確認!

日の出に見とれながら準備をしていると、いつの間にか初島周りのポイントに到着。すると、鈴木さんが「オー!でっかいナブラが出ているよ!」と叫んだ。次の瞬間、15cmのシンキングペンシルをナブラ横に投げていた。ザバー、ザバババー!さざ波のような音をたてて魚の群れがベイト(小魚)を追いかけている。追いかけられたベイトは海面をピチャピチャ逃げ惑っているのがハッキリ見える。「これは全部メジナの群れだね」と船長。数十mにも及ぶであろうか。この巨大な群れが全てメジナなのだから驚きだ。

キメジやワラサ用のタックルも準備しておこう
人あたりがよく、やさしい宮本船長

ファーストヒットは40cm級のメジナ

船長が、「見本を見せてあげるよ!」と言いながら、マグロ釣りなどで今年流行ったスローシンキングミノー・七星(ナナツボシ)の60gをチョイスして投げた。すると、ナブラを通った瞬間にゴツン、グングン!強烈な引き込みにきつめに締めたドラグから少しラインが滑り出た。上がって来たのは40cm級の立派なメジナ。このサイズがウヨウヨいるのだから驚きだ。続いて鈴木さんにもヒット!今度はバットから曲がった。「これはかなりの良型かもね」。確かに、ワラサクラスが掛かった竿の曲がりだ。ドキドキしながら海面を見ていると、上がってきたのは背中にスレがかりした良型のメジナだった。

やりました!船長が第1号!
続いて鈴木さんにもヒット!
第1号は40cmありました

沈んだキハダ・本ガツオ狙いはフライヤー気味に

2人で35~40cm級のメジナを3尾追釣したところで“ワラサ”クラスの青物がジャンプした。すぐに船を移動してキャスト。しかし、15分程粘ったがノーバイト。その後、今度は本ガツオが跳ねたため移動、「15~25mに反応が出ているから誘い出せるよう頑張ってみて!」と船長。キメジや本ガツオは移動スピードが速い。そのため水深15mから一気に海面まで上ってきて捕食することも少なくないそうだ。鈴木さんも19cmの“トップ”にルアーをチェンジしてフライヤー気味にキャスト。少し沈んだ魚を狙う時は特にフライヤー気味にキャストすることで、着水音をわざとたて、弱っている魚を演出するのだ。

少し深い水深にでた反応
リールはHGよりもPGの方がやりとりが楽
ベイトの量もかなり多かった

ワラサ・キメジを探して川奈・富戸沖へ移動

その後、数投したが魚探反応も消えてしまい移動。また、あれだけ活発だったメジナの活性も落ちて完全にナブラも沈んでしまった。「水温が上がりすぎたね。28.5℃は青物にとっても上がり過ぎだね。川奈方面までナブラ探しに走ってみようか」と、船長はワラサ・キメジを求めて船を走らせた。

大移動もナブラ見つからず…

初島から富戸まで一気に横断、観光地で有名な城ヶ崎海岸の白灯まで移動したが、ナブラらしきものは一切見当たらない。「シイラとか流木とかがあればついている可能性もあるんだけどね~」と、船長も初島までナブラを探しながら戻ることを決めた。しかし、初島まで戻ったがナブラは復活していなかった。「少しだけ待ってみましょう。少しすればきっと活性もあがるはずだよ」と船長。

城ヶ崎海岸
この日は大島もくっきり見えた
仕掛け図

“メジナブラ”活性再び!キビナゴが肝!?

「おっ、出たね!!」船長が、すかさず船を走らせる。すると、“天の川”のような“メジナブラ”が復活していた。ここで私も1尾釣ろうとキャストした。すると、ルアーがくるくる回りながら戻ってきた。トリプルフックにベイトのキビナゴが刺さって来たのだ。船長もウルメイワシが“マッチザベイト”だと思っていただけにキビナゴには驚いた様子。「メジナが追いかけていたのはキビナゴだったのか」普通であれば、キビナゴカラーを持っていなくて終了するパターンだが、この日は違った。鈴木さんがミノースタイルジグ(GIG 28gシースメルト)のキビナゴにそっくりなカラーをもっていたのだ。すかさずキャスト&ファストリトリーブ。すると、コン、コンと明らかにルアーに反応したアタリだ。

ルアーに刺さったキビナゴ
キビナゴに似た”GIG 28g”
鈴木さんのキャストにも気合が入る!

“メジナブラ”を釣るもよし、ワラサを狙うもよし

流しを変えて“メジナブラ”を探すと2つのナブラが合流した大きなナブラを発見。すかさず打ち込む。そして、コン!というアタリとともに合わると、ついにヒット!グン、ググン!いい引きを見せてあがってきたのは30cm級のメジナだった。その後、同じパターンで1尾追釣した後、ナブラに後ろ髪を惹かれる思いで上がりの時間を迎えた。朝のうちからキビナゴパターンを読みきってメジナを中心に狙っていれば間違いなく10尾は越えていたはず。メジナのナブラ打ちのベストシーズンは3~4月。しかし、これから秋にかけて初島周りはこのメジナの群れの下に“青物”の群れが入ってくる事も多いそうだ。今回はメジナ狙いに終始したが、初島周りは“青物”の一級ポイントだ。メジナ狙いでお土産を確保し、あわよくば一発大物を楽しめるこの季節。良型のメジナの引きを味わったことのないアングラーの方、“メジナブラ”を見に行くだけでも一見の価値があると思うので、ぜひ一度足を運んでみて欲しい。
メジナは姿煮にして食べたが、回遊性のためか非常に身も厚く美味だった。

釣り上げられたメジナ
今回メジナ釣りで使用したタックル一式
美味しそうなメジナの姿煮

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
静岡県伊東港『はるひら丸』
〒414-0021 静岡県伊東市松原本町1-14
TEL:090-8474-1724(定休日:年中無休)
詳細情報(釣りビジョン)
はるひら丸ホームページ
出船データ
予約乗合
(午前船)午前4時半集合・午前5時出船・午前11時沖上がり
(午後船)正午出船・午後6時沖上がり
料金:午前・午後便(半日)8,000円(氷付)
      1日便   15,000円(氷付)
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー