釣りビジョン

2010.9.15号

海秀丸・静岡県清水港
“深夜釣り”で狙う駿河湾清水沖の抱卵タチウオ

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“太刀”に似ていることから名づけられた“太刀魚”。しかし、英名はリボンフィッシュ。洋の東西で印象は違うものである。タチウオは、海中が暗い時間帯に表層付近まで上ってくる。その習性を利用したのが“深夜釣り”。現在、静岡県・清水沖のタチウオは産卵前の最盛期を迎えている。脂の乗った子持ちタチウオが近場で狙えると聞き、清水港『海秀丸』へ出掛けた。

歴史ある“清水灯台”がお出迎え

9月4日23時30分、清水港の富士見埠頭に到着。「こんばんは!車はこっちに停めて下さいねー」。『海秀丸』の相川秀之船長が、出船準備をしながら車の誘導をしていた。
日付も変わった5日午前0時に河岸払い。タチウオのポイントは折戸沖、航程20分程だ。綺麗にライトアップされた超大型の商業運搬船、色とりどりに点滅するドリームプラザの観覧車などに見とれながら、三保半島をぐるりとまわると、明治45年建造の日本で最初の鉄筋コンクリート造りの灯台である“清水灯台”のやわらかい灯が私たちを出迎えてくれた。ここまでくるとポイントまではもう目と鼻の先だ。

出船前、釣り人達の準備はばっちりだ!
「さー、今日は釣らせるぞー!」と船長
綺麗にライトアップされたドリームプラザの観覧車
船長お手製タコベイト仕掛け
餌はサンマの切り身を使用

仕事前にちょいと釣行!?

ポイントに着くまでの間、左舷胴の間に座った人に話を聞く。「実は10時から仕事なんですよ。朝6時には港に帰れるから2時間くらい仮眠をとって仕事に行く予定です」と元気満々。都心からくる釣り人にとって日曜日の高速道路1,000円は両刃の剣。“1,000円渋滞”を避けるのなら、この出船時間は最高の時間帯なのだ。

気合を入れて第1投!いきなりヒットか!?

ポイントに到着し、船長がすかさずアンカーを打ち込む。水深は36~47mのカケ上がり。『海秀丸』では、片テンビンの下にLEDの点滅式水中ライトをつけ、その下に60~80号のオモリをつける。仕掛けは2本バリのタコベイトで狙う。餌はサンマかサバの短冊だ。船上灯がつき、「はい、いいですよ。タナ20~25mあたりをやって下さいね」と船長。すると、仕掛けを入れると同時に左舷ミヨシでヒット!釣れて来たのは30cm級のゴマサバ。「夏のゴマサバは美味いんだよ。すぐに血を抜いて内臓とエラをとって持ち帰れば焼いても〆サバにしても脂が乗ってて最高だよ!」と言いながら、サバのアタリが遠のくまでの1時間半程で20尾以上釣り上げた。

サバの入れ食いを釣り仲間と堪能
仕掛け図

船中の第1号は右舷大ドモ

サバの猛攻が和らいだその時だった。「来たよ、来たよー。これはきっと本命だよ」。右舷大ドモに座った井上慶二郎さんが満面に笑みを浮かべながら竿を曲げている。サバの強引な引きとは明らかに違う引き込みだ。一瞬フワッと軽くなるタチウオ独特の引きで全員が注目の中、上がってきたのは紛れもない良型のタチウオだった。しかし、後が続かない。その後もポツリポツリといった“拾い釣り”の状況が続いた。船長も堪り兼ねて皆に「お土産を持たせねば…」とばかりに竿を出した。さすがに船長、食い渋りの中でも次々とヒットさせていった。2時間程で船中6人全員に1本ずつのお土産を釣り上げた。
ここで、私も竿を出した。餌釣りではなく、ジギングで狙った。『海秀丸』では、餌でもジグでも狙うことが可能なのだ。出来れば餌用のタックルとジグ用タックルの2種類を用意したい。
早速、“金紫”の80gのジグをセット。船長から25mと指示があったので30mまで下ろしてから誘い上げて来た。すると、4投目のフォール中にラインが止まった。タチウオ独特のフォーリング中のヒットだ。すかさず、糸フケを取って合わせると、ググン~と乗った。この瞬間が堪らない。釣れて来たのは“指3本半”の銀ピカのタチウオだった。

やったぜ!船中第一号!
こっちも釣れたよ~と同僚も続く
右舷ミヨシの常連さんにもヒット!
私の竿にきた銀ピカの子持ちタチウオ
タチウオでシャキーン!
タチウオ狙いはやわらかめのグラスロッドが最適

2mのシュモクザメがジグを狙う

ゲストで顔をみせた良型カマス
船上灯を点けての夜釣りには多彩な“ゲスト”が顔を見せる。大ドモでは40cm近い大型のカマスが釣れ、海面にはギマの群れや大型のダツが泳ぎ回る。しばらくジギングをしていると遠めに茶色い大きな影を発見。かまわずに下からシャクリ続けると、急にその大きな影が私のジグを目掛けて突進して来た。思わず、「ギャー!!」と叫んでしまった。目の前に2m近いシュモクザメが現れたのだ。船長が、「サメ来ちゃったから少し灯り落としていなくなるのを待つよ」と、灯りの光量を落とした。

網ですくった小型のアカイカでヒット!

出船から3時間ほど経っただろうか、船の周りに小型アカイカの大群がまわって来た。「このイカをタチウオがベイトにしているからタモですくってハリに着けてみるといいよ。自分達で食べても最高に美味いよ」と言いながら船長がタモを貸してくれた。海面まで来たイカを真剣に掬ってようやく何尾かを確保。食べたいのをぐっと堪えてハリに縫いざしにして投入した。すると、同じようにイカを餌にしていた左舷大ドモの人の竿に見事にヒット。お腹パンパンの良型タチウオが上がって来た。

タモで簡単にすくわれたギマ達
赤イカを餌にして釣れた太刀魚
いや~餌をかえた甲斐があったよ!

朝まづめに時合到来!

午前5時を回り辺りが明るくなって来た。すると、トモ側の釣り人3人に連続ヒット。この日一番の時合到来だ。船中一気に活気付く。船長も「ちょっと疲れただろうけど頑張ってやってよー」と、ハッパをかける。そして、右舷ミヨシ側で立て続けに3尾ヒットしたところで納竿時間を迎えた。

おいしそうな太刀魚ですね~
“指3.5~4本”がこの日メインサイズ
船長も釣り人へのお土産造りに竿を出した

9月10日から釣果が好転!

9月10日から釣果が一気に上向いた!10日の竿頭は53尾、11日は57尾、12日も3時間で23尾と連日好釣果が続いている。

(吉田 洋一郎)

今回利用した釣り船
静岡県・清水港『海秀丸』
〒424-0907 静岡県静岡市清水区清水港富士見埠頭内
TEL:080-1629-0789
詳細情報(釣りビジョン)
海秀丸ホームページ
出船データ
予約乗合
(半夜船1便)午後4時半集合・午後5時出船・午前0時帰港
(半夜船2便)午後11時半集合・午前0時出船・午前6時帰港
料金
(折戸沖~興津沖) 8,000円(餌別・氷付)
(安倍川沖~蒲原沖) 10,000円(餌別・氷付)
(吉田沖~沼津沖) 12,000円(餌別・氷付)
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