釣りビジョン

2016.3.15号

たいぞう丸・神奈川県葉山あぶずり港
神奈川県・相模湾のマルイカ開幕!“好漁年”の予感!

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例年、年明けと共に釣果が聞こえてくるマルイカ。開幕当初は、どうしても釣果が不安定になるが、昨シーズンは驚くほどの好成績が記録された。今シーズン初期はどんな様子かと4日、神奈川県・葉山鐙摺港(はやまあぶずりこう)『たいぞう丸』を訪れた。

“横・横道路”利用が便利

横浜横須賀道路を逗子ICで降りれば、『たいぞう丸』までは10分余りだ。カーナビには「神奈川県三浦郡葉山町堀内39-2」と入力すればよい。途中にコンビニもある。港沿いの道路に船宿が並んでいて、その真ん中付近に『たいぞう丸』はある。船宿を左手に見ながら通り越し、10m程先の左側が駐車場の入口、係員の誘導に従い駐車する。

軒を連ねる船宿の真ん中辺りが『たいぞう丸』
大きな看板が掲げられている
船宿に向かって右手に駐車場の入口がある

船は宿の裏手に舫ってある

船宿の前には釣り座表が貼ってあり、先着順に希望の釣り座を書き込む。HPにはサービス券があり、支払い時に割引が受けられるのでプリントアウトして持参するといい。支払いが済んだら、すぐ裏手の鐙摺港に舫ってある「第二十三たいぞう丸」をトモから岸壁に近づけてくれるので、乗船の合図があってから船に乗り込む。

先着順に釣り座を書き込む
サービス券を持参しよう

マルイカ釣りは準備も楽しい

天気予報の通りに夜明け前は冷え込み、車を降りた途端に首をすくめたが、陽が昇ってくると徐々に気温も上がり出した。明るくなるのが早くなったこともあり、船上でのタックル準備にも心が逸る。マルイカ釣りにはスッテを使うが、このスッテが釣りを楽しくさせる曲者で、その大きさや色等タイプが多岐に渡っている。スッテは当日の水色や活性を考えて配色し、釣りながら状況をみて、最も“アタリ”が集中するものにローテーションしていく。スッテのカンナと呼ばれるハリの部分を細く、刺さりの良いものに巻き替えているフリークもいる程だ。その他、ステッカーで投入器をカスタマイズしてみたり、沈みの速いタングステン製のオモリを用意したり、“竿休め”などもあると快適な釣りが楽しめるだろう。

マルイカスッテの数々
色々とスッテを集めるのも楽しみの一つ
オモリはタングステン製が沈みが速い

投入器は船に積んである
カスタマイズされた投入器
“竿休め”も必需品

直結仕掛け図
直ブラ仕掛け図

まずは近場からチェック!

舫いを解かれた「第二十三たいぞう丸」は、やわらかな日光を浴びながら、微風の中を出船した。「まず近くをチェックしてみます」と船長。港を出ると船はスローで南下、定置網周りなど、船長はソナーと魚探に目を落としながら、春の海でマルイカ探索を始めた。しばらくするとギアが中立に、鈍る船足、釣り人はオモリを片手に投入の合図を待つ。この緊張感もマルイカ釣りならではなのだが、船はゆっくり弧を描いたものの、再び船首を南に向け微速で航行し始めてしまった…。
1時間ほど経っただろうか、東に城ヶ島を見やるポイントで釣りをスタート。仕掛け投入、オモリ着底、ゼロテンション、極小さなアタリに掛けにいくと、しっかりとした手応えでやや大振りのマルイカが上がった!

 

開始早々大振りなマルイカが!
この時はまばらな反応だった

反応の抜けが早い

当日は潮が速く、75m前後の底にオモリが着くまで、ラインがトモ側に随分と流される。船長から「ブッコミ(投げ入れた)直後がチャンスだからね~」とアナウンスがあり、「着底直後は最大のチャンス!」のマルイカ釣りの定石通り、オモリ着底直後はラインを張らず弛めずにしてのゼロテンションを維持、柔軟な穂先を凝視する。しかし、潮が速く、出て行くラインにロッドの角度は変わってゆく…。反応の抜けも(移動)も早いようで、苦戦の序盤となった。

アタリの小さなマルイカを手中にこの表情
バケツを覗くと妖精のようである
船縁で落っことしたと思ったら、次のスッテに掛かりました!

大きな反応に当てる!!

後半に差しかかる頃、私も竿を出してみた。良い反応に乗っていてもアタリが無い流しもあった。気難しい初期のマルイカにはよくあることだ。そういった反応はすぐに見切り、新しい群れを見つけていた船長が、大きな反応の上に船を乗せた!だが、すぐにはアタリを出さず、タタキを入れてゼロテンション、アタリが無ければ20m程巻いて落とす「巻き落とし」をしてアタリを出し、良い流しではダブルでも掛かって来た。

マルイカの大きな反応
中々のサイズのマルイカ
活性の良い群れではダブル掛けも!

傾向を読みスッテローテーション

当日は、色的にはクリアか、ケイムラのスッテに反応が良かったので、6本スッテの内3本をそのような色系に替えて釣果を伸ばしていった。また、タタキを入れてアタリを出していた人が多かったので、スッテの中にウエイトが入っているタイプをチョイス、直結仕掛けにタタキを入れることによって横の動きを与えられるこのタイプを仕掛け中央付近に配した。幹糸の揺れで他のスッテも揺らしてみたら見事はまった。また、マルイカ釣りでは「スッテの配色は寒色と暖色を交互に」など、相反した色を配すものだが、セオリーを無視し、全てクリア系のスッテを配してポツポツと追加した。

下がウエイト入りのスッテ
マルイカの足だけが上がってきたクリア系のスッテ
セオリー無視の配色をしてみる

今後は水深が浅くなり新群れの可能性も

“ゼロテン釣法”は軟らかな穂先で
当日は、釣り場の水深がまだ深く、マルイカはナーバスな感じもしたが、だからこそ、スッテに一瞬だけ触れるようなアタリをゼロテンションでピタッと止めた柔軟な穂先に目感度として出し、掛けていくのが面白かった。
この日のトップは26杯。今後はトップシーズンに向け、海水温の上昇と共に釣り場の水深も浅くなってくる。また、新群れが入ってきて釣りやすくなることが予想される。そうなれば「スッテは何がいいのだろう?」と迷うビギナーにも、船宿推奨仕掛けで十分釣れるようになってくる。イカの中でも1、2の食味と言われるマルイカ、是非挑戦して頂きたい。

船宿推奨仕掛け
ニヒルな山本真一郎船長
マルイカ釣りはこれからが盛期!

※マルイカ=標準和名・ケンサキイカ。マルイカとは幼体(子供)の呼び名。

(釣りビジョンAPC・林 良一)

今回利用した釣り船
神奈川県葉山鐙摺港『たいぞう丸』
〒240-0112
神奈川県三浦郡葉山町堀内50
TEL:046-875-1932
定休日:第 1、3、5 木曜日
詳細情報(釣りビジョン)
たいぞう丸ホームページ
出船データ
《予約乗合い》
料金:マルイカ船 9,500円 サービス券/女性、子供割引あり(氷300円)
出船:午前7時
貸道具:あり(電動は有料)
駐車場:無料
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