釣りビジョン

しまや丸・千葉県大原港

2016.5.22号

大型当たり前! 千葉県南房・乙浜出船の浅場カサゴ五目

表紙

夏の浅場の岩礁帯といえばカサゴ。小魚などが数多く回遊する時期だけに、それを狙って活発化するわけだ。特に広大な根が連続する千葉県南房一帯は、30cm前後に育った尺級がゴロゴロ潜む好釣り場。そこで、名物のキントキが始まる7月頃までカサゴを狙う乙浜港『しまや丸』の島野一男船長に“メガ”カサゴ攻略法を聞いた。

キャプテンズレポート
ゲストのマハタもこのサイズ!

大型の宝庫! 30cm超はおろか40cm級も

仕掛け図

「うちが狙うのは乙浜港を中心に、北は千倉の白間津沖辺りから南は白浜沖までの水深10~20mライン。激しい根の連続する広大なエリアですから、ポイントは数知れず。1カ所を重点的に釣り切ってしまうことがないので、場荒れは少ないし、育ちはいいし。釣果情報は最小で22cmくらいからにしていますが、ほとんどが27、28cm以上なんですヨ」と船長は太鼓判。最大級では37、38cmと、もう圧倒的にデカイ。『しまや丸』の釣果はトップが良くて10匹程度と、一般的なカサゴ船からすれば貧果とも思えるが、このサイズなら7~8匹でも釣り人はウハウハだ。しかもゲストに2~3kgのマハタやアカハタ、ヒラメと、これまた美味しい魚がずらりだから、堪えられない釣りといえよう。

メガカサゴのシーズンは、7月ごろから『しまや丸』の名物キントキ釣りが始まるので、それまでの2ヶ月ちょっとと短め。それでもファンが多いのは美味しさに加え、浅場で大型が掛かるゆえの強烈な引き味。「浅いから30cm級が1匹掛かっても竿はガンガン突っ込みますし、ダブルヒットにでもなろうものなら、竿はまさに満月でガクガク」と船長。想像しただけでも楽しそうな情景だ。また、この浅さゆえ、ビギナークラスにも十分に勝算はある。その必釣法を解説していこう。

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アカハタ(右)、マハタと両手に花

根掛かりを回避できる竿をチョイス

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イワシは下アゴから上アゴにハリを抜く

「釣り方はカサゴの定番である胴突き釣りのほか、常連さんの中には大型のマハタ、アカハタなどの攻略用に、ヒラメ釣りのような捨てオモリ式1本を使う人もいます。こちらはよりタイトに根を狙うようになりますが、大型の魅力も増します。状況に応じて使い分けるとよいでしょう」と船長。とにかく根がハンパじゃなくきついため、根掛かり回避を第一に考える必要があり、それには竿が重要だ。通常、胴突き釣りは仕掛けを海底で安定させるため、多少オモリ負けする6対4調子を多用するが、ここでは同じ調子でも、よりバット部がしっかりしているものがお勧め。使用オモリが40~50号なので、そのオモリ負荷表示の7対3調子くらいのゲームロッドなら、あまりベナベナせずに操作性がいいはずだ。また、操作性という意味では軟らかめのカワハギ竿もいい。オモリ40~50号だから前部はちょうどよく曲がり、バット部はこの竿特有の硬さで操作性の良さを残してくれる。

概念図

仕掛けは、いれば食ってくるので繊細さはあまり気にしなくてよく、胴突きは幹糸5号×枝ス3号と太め。掛けてから切られないほうを優先だ。大型&ハタ類用の捨てオモリ式は、ハリスは3号と同じだが、捨て糸は2~3号と細め。こちらを切れるようにしておかないと、根掛かり時に仕掛け全損失となってしまうためだ。餌は冷凍シコイワシの1匹掛けで、 下アゴから上アゴにハリを抜く。他にイワシで食い渋った時のためにサバ切り身短冊やイカ短冊、冷凍エビなどを持参する人がいるが、これは好み。総じてイワシ1匹掛けがいい場合が多いようだ。

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大型がこれだけ釣れればクーラーは満杯だ

当たったら即アワセで根からはがす!

釣り方は、とにかく海底にはいつくばっている根魚たちにアピールするため、餌を底近くに漂わすのが第一。ただし、根掛かりが頻発するので手持ち竿がセオリーだ。胴突き仕掛けではオモリ着底後、わずかに底を切り、船の揺れか、竿の操作でオモリがトントンと底を叩く状態にする。このトントンで餌が漂い、誘いにもなる。「ときどき場所替えの意味で、竿をゆっくりあおって誘い上げます。アピールになるのか、この時にアタリの出る時が多いです。とにかく底から魚をはがすのが先決なので、しっかりとアワセを入れてハリ掛かりさせつつ、底の根から引き出しましょう」とアドバイス。

大型狙いの捨てオモリ式も、オモリトントンが基本。ハリスのほうが捨て糸よりだいぶ長いため、トントンオモリでもハリスが底を這うようになり、より魚に餌が近づくことになるが、その分、根掛かりの可能性も高くなる。餌を躍らせる誘い上げを、少し広い幅で頻繁にやることが、根掛かり防止および良い誘いになる。こちらの場合は、ハリスが長いために竿先にアタリが出たときには、すでに飲み込んで反転体制の場合も多いので、胴突き式より素早くアワセを入れて根からはがすことが大切だ。

この釣りは根掛かりさえ気を付ければ、それほど難しい操作はないから、ビギナーにも十分チャンスはある。「ビギナーのお客さんも、よく釣っていってくれますヨ」と船長。根掛かりを恐れず、仕掛けの予備を十分持参して、ぜひチャレンジしてみてほしい。

今回紹介した釣り船
釣り船

千葉県乙浜港
「しまや丸」

〒295-0101 千葉県南房総市白浜町乙浜1304
TEL: 0470-38-2567
詳細情報(釣りビジョン)
しまや丸ホームページ

船宿データ

予約乗合制
出船時間: 5時~11時半沖上がり
乗船料金: 10,000円(税込)氷、餌付き
レンタルタックル有り
定休日:第2・第4水曜日

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