釣りビジョン

2016.8.15号

釣り船 魚英・兵庫県明石港
シーズン初期から良型交じり! ジギングで狙うタチウオ&青物!

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今年はやや早めのスタートとなった明石・神戸沖のタチウオだが、コンスタントに良型も交じるという話を聞き、7月28日に明石港の船宿『魚英』へ向かった。

シーズンインからドラゴン級も飛び出す今年のタチウオ。当たり年の気配ムンムン!

まだ暗い午前4時30分、ひときわ光を放っている『魚英』の受付所では淡々と受け付けを済ませるアングラーに、手際良く対応している女将さん。一見すると愛想が無いような光景だが、近隣への配慮をしているだけのようだ。受け付け時に交わす挨拶には、ここ最近の傾向などを聞いたアングラー達のはやる気持ちが抑えられていた。
受け付けを済ませたアングラー達は夏の早朝の凛とした空気の中、今回のベースとなる1号船に乗り込み、早速準備に取り掛かっている。魚谷直毅船長の「行こか~」の声で薄明るくなってきた港を出船。まずは港を出たすぐのポイントで青物を狙うようだ。すぐのポイントと言っても明石海峡のど真ん中である。

夏の朝は気持ちが良い
言わずと知れた明石港
ポイントはすぐそこ“明石海峡大橋”付近だ!

船長はピンポイントでタイトな操船。 アナウンスも数秒間隔!

ポイントの周りをぐるりと旋回、ここぞというタイミングで「やってみて~」のアナウンス。船上からメタルジグが一斉に放たれた。攻めているポイントは水深50~30mへと40°近い傾斜でカケ上がっている。また、流れの速い明石海峡だけに、船長は数秒ごとに1m程浅くなっていく水深を事細かくアナウンスしている。基本、底を狙っているようだが、この事細かいアナウンスでビギナーは根掛かり回避、ベテランはタイトに攻め続けられるようだ。使用しているジグはロングジグ。ウエイトは潮の流れで変わるのだろうが150~250gを用意しているようだ。
まだツバス(ワカシ)などの小型はターゲットではなく、そしてメインはタチウオという事もあっての良型狙いの為だろう、暫くアタリが出なかったが、遂にミヨシの小原さんがヒットさせた。
「そんなに大きくないかなぁ」と言いながらも、水面付近まで寄せた獲物はドラグが出る程の抵抗を見せる。しかしそれも束の間、時すでに遅しと言わんばかりにいなされて無事ネットに収まったのはメジロ(ワラサ)クラスであった。そして船長は素早く船を流し直すと、トモ付近に釣り座を構えていた植村さんに続けてヒット! しかしやりとりの途中で「あちゃ~!」……あえなくフックアウトしてしまった。

青物ジギングのスタートだ
全ての環境に「申し分はない」
1号船の目印“船尾のトイレ”

短時間勝負との事で帰港後に撮った小原さんのメジロ
スピニングリール仕掛け図
ベイトリール仕掛け図

そしてメインのタチウオへ…ポイントには既に船団が!

電動パターン仕掛け図
6時40分、1時間強の青物ジギングタイムが終わり、神戸沖のポイントへ移動。本日のメインとなるタチウオのスタートだ。ポイントの平均水深は70m前後。タチウオも青物同様ジギングで狙う。タックルはそのまま流用出来るが、ジグのサイズを落としたり、電動タックルを用いたりと人それぞれである。また、タチウオへシフトする際、青物で使用したジグの下にトレブルフック等をプラスというのも、タチウオジギングでは当たり前のようだが、ジギングビギナーの私にとっては「なるほど!」だ。青物はしっかりとしたロングジグが基本のようだが、タチウオは潮次第では80gほどのジグでも行けるようだ。しかし“タチウオパターン”や“共食い習性”を考えると、ロングジグは青物、タチウオ共に使えるのであろう。
さて、タチウオは開始早々に竿が曲がりだした。電動、手巻きタックル共コンスタントにアタッている。私が見る限りジグへのアクションは、テンヤの餌釣りとさほど変わりがないような感じのシャクリ。また、タチウオのシーズン当初は中小型メインのようだが、今年は既に“ドラゴン”級も交じるそうだ。メータークラスを中心に、それよりも大きいか小さいかがそのシーズンの目安になるが、今季の好調さを示すかのようにメータークラスが中心にヒットしている。
当日は“船デビュー”というレディースアングラーも連れの人と右舷・胴の間付近に釣り座を構えていた。朝一の青物では操作に付いていくのに精一杯。ようやくタチウオの顔を見た彼女の笑顔に船長もホッとしていたようだ。ただし、これからという時に“船酔い”に見舞われ苦しそうであった。酔い止め薬は乗船してからでも何とかなるもの。持参していた薬を差し出したが、残念ながら手遅れっぽかった。一方、他のアングラーはコンスタントに釣り続けていた。さらに良型が交じる中、ダブルヒットもあれば回収時のヒットがあったりと船上は賑やか。また、レディースの連れの人も、二人分とばかりにラッシュをかける。二人分だから責任も重大だ。

船釣りデビュー♪
タチウオにはフック交換とアピールツールがポイント
船上は和やかムード

小西さん「タチウオの歯には注意ですよ!」
連れの分までお土産確保
船酔いしなければこのような“クールダウン法”もある

タチウオ釣りは楽しい!あの手この手で相乗効果!

相変わらず船上ではタチウオが舞う中、トモの方で一際大きい声がしている。カメラを持ってすぐに向かうと、植村さんのジグに良型のタチウオがヒット! ネットに収まった瞬間であった。一方、隣のトモで竿を出している小西さんは、自分が釣ったタチウオがアベレージサイズであった為であろう、申し訳なさそうな顔が印象に残ったが…なんのなんの、この日はスタートからストップまで竿は曲がりっ放し。結局タチウオの竿頭となっていた。
植村さんが釣ったタチウオをざっくり測ると130cmのドラゴンだ。どんなジグを使ったなどと会話も弾む。植村さんはテンヤ型のジグに換えて、すぐにこの“ドラゴン”が襲ってきたらしい。カラーはピンクだ。同じタイプのジグを持っているアングラーはチェンジするべきか否か…そんな迷いも束の間、またもや植村さんに良型がヒット! さっきより小さいと言いながらも120cmクラス。やはりテンヤ型ジグに分がありそうだ。また、二人分ラッシュをかけているアングラーは同タイプのジグを持って来ていなかったが“スライド”でテンヤの動きをイメージ。120cm超えの良型をキャッチしていたのは流石だった。
私はジギングとは縁遠い環境にあるが、タチウオ自身は子供の頃から慣れ親しんでいる魚である。というのも、今回のポイントでもある明石・神戸沖界隈は育った場所の沖。その陸側での話だが「釣りはしないけどタチウオだけはする」、秋になれば「タチウオ行った?」などの会話がいたるところでされていた土地柄だ。
釣り方はウキ釣りもあるが、テンヤの引き釣りがメインだった。そんな環境なので、テンヤ型のジグに好反応というのはごく自然に入ってくる。そして後になって思い出したのだが、夕暮れ時にベイトを追っかけて来たタチウオがベイトを岸壁に追い込み、捕食に入った瞬間の、私が初めて見た“タチウオのジャンプ”は衝撃的であった。
我を忘れ横に泳いでベイトを追うタチウオパターンや共食いパターン。コンスタントにアタるものの、良型だけが違うパターンに反応するレアパターン……この魚は奥が深い。ちなみに船長へ“潮回りと食い”に関して聞いたところ「潮が緩くて立ち泳ぎの方が食いが良い」というのも確実な事実らしい。いわゆる“引き出し”として色々試してみたいところだ。

植村さんが良型連発!
テンヤを意識したアクションで良型キャッチ!
こまめなアナウンスでアングラーをガイドする魚谷直毅船長

タチウオの歯は「刃」だ
小原さんは手巻きと電動タックルを使い分けていた

締めの青物狙いふたたび

釣果、釣り時間ともに“やった感”が出た10時30分、 船長の「戻ろか~」のアナウンスでタチウオ終了。戻るついでの締めくくりとして再び青物を狙うようだ。このプチクルージングが思いのほか心地良く、リセットしたかのようなクールダウンが出来た。段取り上であろうが、船長の粋な計らいであろうが知らぬが、とにかく気持ち良い時間であった。 スローダウンと共に再び青物狙いへシフトしたのであったが、朝一のような立ち回りではなく足で稼ぐようだ。小刻みにポイントを変えては事細かいアナウンス。陽が高くなっている事もあってか、やる気のある群れを探しているようだ。
しかし魚探反応とは裏腹に青物は口を使わない様子。だが何回か流しているうちにミヨシの橋本さんの竿がグッと曲がった! 待望のヒットに少しばかり緊張感が走る。浮いてからの抵抗時にオマツリし、ヒヤッとする場面もあったが95cmのブリが無事ネットに収まった! いかにも美味しそうな魚体に見とれていた私であるが、私以外は全員これを見て“やる気”モード。船上では全員が熱くなっている中、ヒットさせた橋本さんのジグが小さい事に気付き、聞いてみた。すると予想通り、食いが渋いと判断して小型のジグに変更していたのであった。100gくらいであろうか。そして同じくミヨシの小原さんが「私もそうしたいが、この環境では私の腕でボトムを取る事が出来ない。流石だ」との事。なるほど、そういう事か…。
船はある程度で見切りをつけながらのスタンスに変わりはなく、やる気のある魚を探している。すると船長が「サワラっぽいのに切られたよ~、流し直すよ~」でリトライ。そして今度は右舷トモのアングラーにヒット! 慌ててトモへ向かうと無難なやりとりで、すんなりとネットに収まったのはサゴシであった。
この頃にはレディースアングラーも復活していたが、やはり船デビューでいきなりの”明石海峡ジギング”は難しかったと思う。しかしヒットすればそれなりの魚がヒットする訳だから、これに懲りず是非釣りを楽しんでもらいたい。

移動時の風がモチベーションを復活させた
夏らしいワンショット
【橋本さん・技ありの1匹】自分はいいから魚を撮って

この後にサゴシがヒットした
レディースアングラーも復活「リベンジします♪」

これからが本番!

例年シーズンに入って行けば行く程サイズも上がるこのエリアのタチウオ。今年はシーズン当初から大型がコンスタントに交じるという事で、魚谷直毅船長の期待と手応えは大きい。また、『魚英』ではフレキシブルなメニューで出船、さらには大型船を含む3隻で営業して、アングラーのニーズに応えている。また“カード決済”にも対応。キャッシュレスで釣行出来るのも便利である。
最後にこれだけは注意して欲しいのだが、タチウオやサゴシは歯が鋭い。これからチャレンジしたいと思っている方は、それなりの大きさやしっかりした物なら安価な物でも良いので“魚つかみ”と“プライヤー”は必ず用意しておきたい。出来る事ならその場で絞めれば尚良しだ。そしてアフターフィッシングは、このブランド海域の魚に舌鼓を打っていただきたいものである。

帰港は「3号船」が出迎えてくれた
このステッカーが目印です
ブリを計測する3号船の魚谷吉伸船長

クーラーの中をパチリ「お裾分けも出来そうです」
最後にもう一度橋本さん「自分の顔より魚を」

(釣りビジョンAPC・小川泰史)

今回利用した釣り船
兵庫県明石港『釣り船 魚英』
兵庫県明石市港町21-5
TEL:078-917-1285
携帯:090-2356-7314
詳細情報(釣りビジョン)
釣り船 魚英ホームページ
出船データ
各種乗合、仕立で出船
料金:要問い合わせ
出船時間:季節により異なる
定休:毎週火曜日 ※時期により火曜日・水曜日
交通:車は第二神明高速道路「玉津I.C」より約10分。もしくは阪神高速「若宮I.C」から国道2号線で明石へ。
電車はJRまたは山陽「明石駅」より徒歩10分
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