釣りビジョン

長栄丸・千葉県大原港

2017.7.1号

千葉県・大原沖で“抱卵イサキ”とマダイ、一挙両得!!

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今年も鬱陶しい梅雨がやって来た。多くの釣り人にとって週末の天気が非常に気になるこの季節。しかし、多くの人が好まないこの季節に唯一楽しみなことがある。梅雨にベストシーズンを迎える“梅雨イサキ”。お腹に白子、真子を持ち、釣り味、食べ味共に最高だ。しかも、大原港『長栄丸』ではこの“抱卵イサキ”以外にテンヤ・マダイもリレーで楽しめる。

イサキだけじゃない、マダイもお土産に

緑に輝く『長栄丸』の看板が目印

春先からシーズン開幕のイサキ。今年は開幕早々に連日好成績が続いていたが、最近の釣果も連日地元の規定上限の50匹が続く好調持続ぶり。いくら美味とはいえ50匹のイサキを食べるのは容易ではない。そこで、『長栄丸』では一日の半分はイサキを狙い、残りの半分はマダイを狙う。単純に数が半分ではないにしろ、イサキ以外にマダイもお土産にと言うのはそそられる。しかも、本来4月に乗っ込み最盛期を迎えるマダイなのだが、今シーズンはまだ続いており、釣れるマダイにも真子、白子がまだあるとか。なんとも贅沢な話である。

待合室は広々して非常にきれい
壁には『長栄丸』特製ロッドが
待合所で会計を済ませていざ港へ

日の出が早いこの時期でも集合は日の出前!

集合時にはまだ真っ暗です

千葉県・外房の漁師には、日の出を沖で迎える伝統があり集合は早い。特に日の出が一年で最も早いこの時期は集合が午前3時半。圏央道の発展で都内からのアプローチも飛躍的に向上した大原でもさすがに自宅を出るのは早い。それでも集合時間前に港へ行くと既に多くの釣り人がいるのには驚いた。午前4時には準備を済ませて出船。この日はイサキからのスタートのために港を出て45分程の航程。

船宿の入り口横にあるマグネットで釣り座を確保
『長栄丸』
大原港入り口。伊勢エビ水揚げ日本一という目を奪われる看板を右に曲がる

指示ダナキープが絶対!!

この日使用したイサキ用の仕掛け。カラーバリで付け餌不要

イサキ釣りの釣果を最も左右するのは、船長の指示ダナをきっちり守る事が出来るか否かに掛かっている。道具は汎用性が高く、こだわりは特に不要だが、タナがきっちりと分かるようにPEラインは最初の色がきっちり10mとなっていることは必須。コマセカゴを指示ダナからハリス分の3m落として1m毎にコマセを撒いて指示ダナで待つ。基本はこれだけ。周りが釣れているのに自分は釣れない…なんて時はタナがずれている可能性大なので要確認。この日の最初のポイントは水深30mで指示ダナは18m。21mまでビシカゴを落とし、18mでアタリを待った。

釣り座にはコマセとスプーンが用意されている
3本バリの仕掛けにはマグネット板が大変便利
仕掛け図

もう一つのポイントは「すぐ投入」

もう一つ重要なのは船長の「はい、いいですよー」の声ですぐに仕掛けを落とす事。イサキ釣りは群れに合わせて船を止める。時間がかかると散ってしまうのだ。この日の釣り人はベテラン揃いで迅速に仕掛けを落としていい感じ。しかし、朝の内は連日の好調ぶりはどこ吹く風で中々アタリが来ない。イサキは非常に水温に敏感、0.5℃上下しただけで食いが全く変わる魚だ。中々気難しいのだ。小まめにポイントを変えて船長も試行錯誤。一流しで船中2、3匹は上がるのだが、そこから中々続かない。魚探には確実にイサキの反応が出ている。後は食いがいつ立つかだけだ。我慢の時間が続いた。

今のイサキはとにかくデカイ!

船中第1号です

陽もすっかり昇った午前7時過ぎ。ようやくイサキが口を使い出した。時には一荷(2匹)で上がってくる。しかもそのサイズが凄い。たっぷりの白子、真子を抱えた30cmを超えるジャンボサイズがコンスタントに交じって来た。思わずタモをお願いしたくなるサイズと言えば分かりやすいだろうか? これが2匹同時に掛かるとその引きも格別だ。

常連さんにまずまずサイズがヒット
このサイズが2匹掛かると引きは抜群
ジャンボサイズに笑顔がはじける

お土産は十分に確保!

『長栄丸』では、探見丸に対応

そこから約1時間半、厳しい中でも皆“ツ抜け”(10匹超え)を達成、午前8時半過ぎに後半戦のマダイへ転向した。しかし、この日の大原沖のイサキのハイライトはこの後にあった。10時頃から無線には他船でイサキ入れ食いの報。ジャンボサイズ3匹掛けが連続で上がっていた。規定上限達成で早上がりした船まであったとの事。「あそこから急に口を使うか…」。イサキの気難しさを実感した。

テンヤ竿とイサキ用のライトタックルと言う珍しい組み合わせ
これが梅雨の腹パンイサキだ!!
この日お世話になった「長栄丸」。大型船です

前日のマダイは絶好調!!

さて一方のマダイだが、釣行前日には3.2kgを筆頭に2.6kg、2.4kgと計8匹のマダイフィーバーだった。「この日も続けて」との期待だったが…。前日型を見た同じポイントを攻める。前日の釣果を考えれば魚はそこにいるはずなのに口を使わない。いるはずの魚を掛けられないのは悔しい。しかし、これが潮のいたずらなのか、それとも日頃の私の行いなのか? 前日とは打って変わって沈黙の海だった。嬉しい“外道”のヒラメこそ型を見たが、マダイはこの日は縁がなかった。後半に爆釣だったイサキ、そして前日は爆釣だったマダイ。両方が裏目に出てしまった。「せめてイサキとマダイのリレーを逆にやっていればよかったなー」と言う船長の嘆きが私の心に突き刺さった。

仕掛け図
ひとつテンヤに使うエビ
親バリを腹側に抜いて、孫バリを背中に
嬉しい“外道”のヒラメは上がったが…
慣れない方には直接指導してくれる頼りがいのある濤川宏和船長

流れが変われば“爆釣”必至!

マダイラッシュに沸いた前日(船長撮影)

今回は苦戦、いやいや、それが自然を相手にする釣りの楽しさでもある。状況が少しでも変われば、クーラーには良型マダイとイサキで埋まっている事も多々あるはず。このサイズのイサキが“ツ抜け”しても「なんか運が悪かったなー」と思わせる事こそがこの海のポテンシャルの高さの証。次回は両方ともガッツリ釣ってやるとの思いを抱いて帰路に就いた。

前日はこのサイズのマダイが…この日も上がるはずだったのに(船長撮影)
こちらも前日。マダイラッシュ(船長撮影)
とどめのワラサ(船長撮影)

(釣りビジョンAPC・丸岡直樹)

今回利用した釣船
千葉県大原港『長栄丸』
〒298-0004 千葉県いすみ市大原10398-55
TEL:0470-62-1809
定休日:第1・3月曜日・6月1日~5日
詳細情報(釣りビジョン)
長栄丸ホームページ
出船データ
イサキ・テンヤマダイ リレー乗合
出船時間:午前4時(集合3時30分) 沖上がり11時
基本料金:1万2,000円(コマセ・氷付き)
定休日:第1、第3月曜日
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