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千葉県・千田沖で味が自慢のイサキ、今期も絶好釣!!

2018年04月01日公開

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“旬”という言葉に疑問がある。カツオやウナギの旬は夏だが、小生は「秋のカツオ」や「冬のウナギ」の方が美味いと感じる。同様に、イサキは初夏が旬とされるが、味は“寒イサキ”に分がある気がする。果たして“旬”の基準とは何なのか?この解明に向け、年明けから好調が続いている千葉県・千田沖のイサキを狙って千田港『小倉丸』へ出掛けた。

“彼岸シケ”の合間を縫って…

「小倉丸」の停泊する千田港は、富津館山自動車道の終点・富浦ICから凡そ30分。港の駐車場に車を停め、道を挟んだ向かいに「乗船受付所」の看板を掲げた船宿がある。釣り座が予約順に割り振られているので、釣り人たちは出船準備の時間まで船長とお茶を飲みながら談笑している。のんびりとした雰囲気が心地良い。船長は「“彼岸シケ”で海に出られなくて、3月はおいねぇ(良くない)」とこぼしていたが「今日はじきに凪ぐ」と出船を確定。明るくなる頃、駐車場から徒歩1分の船着場へ荷物を運んで支度を始めたが、取材日の3月17日は、関東のサクラの開花日ながら気温3度。吐く息も白い花冷えの朝だった。午前6時、右舷7人、左舷7人の14人を乗せて「第二十三小倉丸」は定刻通りに河岸払いとなった。

開始3分後に船中第1号!!

強い北風の影響でウネリの高い海を走ること10分。千田沖の水深30m前後の釣り場に到着。船長の指示ダナは海面から20m。程なくして左舷トモの彦山誠さん(葛飾区)に船中第1号のイサキ。この間、僅か3分。その後は誰が2番手か分からない位、あちらこちらの釣り座で魚が取り込まれた。強風と大きなウネリの二重苦で決して釣り易い状況ではなかったが、コマセを切らさず指示ダナで仕掛けを安定させてさえいれば、徐々にだが桶はイサキで充たされていった。欲を言えば、千田沖ならではの体高の高い良型イサキが見たいところ。早春の波飛沫を浴びながら、暫し辛抱の釣りが続いたが、激しい潮騒も少しずつ弱まりつつあった。

 

長い仕掛けには理由がある

『小倉丸』では、船上で購入出来る仕掛けをHPで紹介している。その仕掛けは、一般的なイサキの仕掛けに比べてかなり長い。その理由を船長に尋ねると、ウマヅラハギなどの“餌盗り(外道)“は、コマセカゴにアタックしてくるので、仕掛けが短いとどうしてもその餌食になってしまう。そこで仕掛けを長くしてイサキに付け餌を届かせるための長さなのだ。強風の時や食いの立っている時にはちょっと扱いづらいのが難点だが、投入の際はコマセカゴから入れたり、下バリだけにオキアミを付け、上バリにはイカタンやバイオベイト(疑似餌)などハリ持ちの良いものを持参して付けるなどの工夫で克服することが出来る。これからの時期はマダイなどの嬉しい“ゲスト”を呼ぶのも長仕掛けの利点なので、この機会に慣れておきたい。

次第に大型イサキも上がり始め…

ウネリが収まり始めた7時半過ぎ、船長が「型の良いのが出る」と言う千倉沖の釣り場へと舳先を向けた。暫くは中、小型のアタリが多かったものの、コマセが効き始めると魚群探知機の反応が徐々に浅くなり、体高の広い良型のイサキが釣れるようになった。それと同時に食いも活発になり、2、3点掛けの取り込みが目立つようになった。指示ダナで仕掛けを止めて、時折誘いを入れればハリ掛かりするケースが多く、アタリが遠退いてもコマセを切らさなければ再び釣れ出すと言う、比較的掴みやすい釣りが沖上がりまで続いた。

千田沖は魚種も多彩!
『小倉丸』のイサキ釣りでは、様々な“ゲスト”が釣れるのも楽しみの一つ。この日も釣る人は結構な数を上げていた“肝パン”のウマヅラハギ。匂いが気になると言う人は船上で皮を剥ぎ、可食部分だけの身欠きにして持ち帰れば美味しく食べられる。また、イサキと同じタナ、同じオキアミ餌に食ってくるマハタもお馴染みの“ゲスト”。2kgを超える良型が来ることもあるので楽しみだ。また“本命”のイサキは、ウリンボのような小型は上がらず、中、小型から大型が大体分け隔て無く釣れてくる。釣り人としては大きな個体が釣れると嬉しいものだが、小さいイサキほど刺し身にして美味しかったりするので、全ての魚を血抜きして丁寧に持ち帰ることをお薦めする。なお、定番の塩焼きにする際は、脂が乗っているので気持ち多めに塩を振り、焼き過ぎないのがコツ。味噌漬けにしたり、干物にしたり、お手軽なホイル焼きや煮物にしても美味しい。沢山釣れても様々なレシピで満喫できるのがイサキの魅力と言えるだろう。

今期のイサキも高位安定!

帰港後に「今日は残念でしたね」と切り出した小倉眞船長。地元の規定数の釣果50匹達成者が2人も居たのに「今年最低の釣果」だったそうだ。「海が悪かったからねぇ。水温も13.5℃しかなかった。最後の方は14℃になったけど、食いは相変わらず渋いや。水温が低いと小さい魚から食ってきちゃうからね」とのことで、“寒の戻り”が影響して『小倉丸』らしい良型イサキの写真が撮れなかったのは確かに心残りだ。今期の模様について尋ねると「数は多いよ。小さいのも交じるけどね。大きいのばかりの年は数が伸びない」と、やはり今期は“当たり年”のようだ。「潮の流れが穏やかなところのイサキはメタボになる。船が多くないからコマセの匂いも付いてないし、この辺りのイサキは身が厚くて美味いよ」と語る船長の言葉通り、このエリアのイサキはとにかく味が良い。梅雨時の数釣りも良いし、味のピークである冬のイサキも良いが、寒さも緩んで味も良いこれからの季節“釣り物としての旬”を迎える千田沖のイサキ。春の美味しい釣り物候補として、解る人には秘かにお薦めしたい。

今回利用した釣り船

千葉県千田港『小倉丸』
〒295-0025 千葉県南房総市千倉町千田991-3
TEL:0470-43-8355
定休日:第2・4水曜日 釣果・施設情報 小倉丸 ホームページ

出船データ

イサキ乗合
乗船料金:1万1,000円(コマセ・付け餌・氷付き)
集合:船宿 5:30まで/出船: 6:00(変動あり、予約時に要確認)
     
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この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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