釣りビジョン

兵庫県・明石沖のマダコ、安定期に突入!

2018年06月15日公開

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今冬はかなりの低水温だった瀬戸内・大阪湾エリア。低水温に弱いマダコは大丈夫なのか?その確認も出来ればと思いつつ、兵庫県・明石港『釣り船 魚英』に出掛けた。

日本中央競馬会(JRA)の騎手達の仕立船に便乗

午前4時、『釣り船 魚英』の受付所は沢山の人で賑わっていた。「1号艇」、「2号艇」へと釣り人が乗船する中、私は魚谷直毅船長から「3号艇」への乗船を指示され、船の前で準備をしていた。
そこへ現れたのは、日本中央競馬会(JRA)で活躍する騎手の皆さん。騎手仲間の仕立船に同船させていただいたのだ。5時に「3号艇」は静かに出船した。

先ずはジギングから!

明石海峡からやや西寄りのポイントでエンジンがスローダウン。「最近はジギングの釣果が悪いので、朝一番をジギングタイムに充てる」と舵を握る魚谷吉伸船長。競馬の事は全くと言っていい程無知な私だが、騎手がレース前に外部との接触を絶たれる他、日々多忙な事くらいは知っている。そこで皆さんに釣りの経験を聞いてみると、JRA公認の『釣り部』で部長を務めている酒井学さん以外は、ジギングもマダコ釣りも未経験、酒井さんもジギングは今回が初挑戦とか。勿論、関西が拠点である皆さんは、JRAの『栗東トレーニングセンター』がある滋賀県栗東市が生活基盤。普段は琵琶湖を中心に、淡水区の釣りを楽しむ事が多いとの事。ジギングは決して簡単な釣りではないが、この日は天気もよく海上はナギ。「釣れなくてもいいからリフレッシュ出来れば…」と思っていると、船長からスタートのアナウンス。水深は30m前後。

馬のほうが楽?
開始のアナウンスが流れても、皆さんなかなかキャビンから出てくる気配が無い。やっと現れたのは、今回のグループの中で最年少の服部さん。キャビンから抜け出して、開口一番「怖い…」。揺れる船に慣れない様子。「馬に乗る方が難しいと思うのですが?」と聞くと、「馬は慣れてますが、船はほぼ未経験ですので…」という。な~るほどと頷いていると、やっと皆さんがお出まし。酒井さんを中心に、仕掛け作りの共同作業をしていたようで、服部さんは船の揺れに慣れる為、先に出て来たらしい。
そしてゆっくりとスタートした皆さんの表情は和やかであり、勝負師を思わせる気配すらない。まさに休日を楽しんでいる釣り人の姿である。しかし、ここ数日、常連でさえ厳しい状況に、皆さん手も足も出せない様子。私に不意に質問されても、以前、『釣り船 魚英』で取材した際の記憶が頼りと何とも情けない状況。その後、水深20m付近のポイントへ小移動したものの、潮が緩んだ8時過ぎにジギングを終了、マダコ釣りへシフトした。

 

マダコ釣りスタート!

マダコ釣りがスタートした。底を取り、オモリをトントンさせ、違和感や少しの重量感を感じ取ったら大きく合わせるというのが“タコエギ”釣りの基本。始めは慣れない様子だったが、そこはJRA釣り部長の意地を見せ、右舷ミヨシ(船首)で竿を出す酒井さんがコンスタントにマダコを釣り出し、周りでも釣れ始めた。釣り上げたタコとの格闘に船上は笑いであふれ返った。ジギングの時と同様、そこにも勝負師としての顔は一切感じられなかった。
リリース規定の100gを超えていそうな個体でも、躊躇なくリリースする高倉さんの姿勢には感銘を受けたが、短時間での全員の上達ぶりに目を見張った。始めは「怖い」と言っていた右舷胴の間(中央)で竿を出していた服部さんも余裕の表情。競馬といえばゴール手前からは片手で手綱を操り、片手で鞭を使うといった左右分業が基本。“タコエギ”の底取りとアタリが分かり出せばその感覚をシンクロさせ、誘いながらマダコが乗った瞬間に合わせるという作業の両立に苦難の様子は見受けられなかった。因みに“タコエギ”で使うオモリは40号が基本、潮流や水深で30~50号を使い分ける。この日は明石のマダコ釣りとしては深場の40mラインでの流しが多かったが、オモリは全員40号だけで対処でき、アベレージサイズは500gといったところだった。

勝負師魂を垣間見る!

冬の低水温がどれだけ影響したのかという心配は杞憂に終わった。マダコはコンスタントに釣れ続いた。そんな中、船長から提案が出されたのは10時30分、「今から潮が良くなると思いますが、このままタコを続けますか、それともジギングに転向しますか?」。酒井さんが意見を聞いて回ると、全員「ジギング」を選択。これには私も驚いたが、どうせなら釣れる釣りを楽しんでもらおうと一生懸命だった酒井さんも驚いていた。
そこで再びジギングにシフト。今度のポイントは水深30mラインで根も荒い。安定よりも勝負を選んだ皆さんだったが、マダコのようには上手くいかない。そんな中、船長は良い反応を見つけるとなんとか釣らせようとマイクパフォーマンスを交じえながら懸命に操船している。私は「Tankenmaru SMART」アプリを立ち上げて確認。するとそれなりの反応が出ており、アラームも良く鳴っていた。

そしてドラマが!

トモで竿を出していた鮫島さんが「向こうでヒット!」と叫んだ。慌てて駆け寄ると服部さんにヒット!しかし、時すでに遅しで仕掛けを切られた後だった。「大きかった」と船長も興奮気味。フォール中に来たようだ。これならジグ操作に慣れない初心者でも釣れる可能性は高いだろうと、酒井さんに「Tankenmaru SMART」をダウンロードしてもらい、船長のアナウンスとアプリから発するアラーム音でジグを落とし直した方が良いのではと提案。そしてドラマは起こった。
「あと一流しで…」というアナウンスに名残惜しくジグを落とす皆さん。「ヒット!!」の声に振り向くと中村さんの竿が大きく弧を描いている。突然のビッグファイトを全員が見守る中、無事タモに収まったのはナイスサイズのサワラだった。帰港後に計測すると101cm!初のジギングでメーターオーバーのサワラは見事だ。釣りの経験はあってもこれ程の大物とやり取りした事のない人なら普通は舞い上がってしまうが、ランディングの際の自然ないなしと誘導に改めて騎手の握力と腕力の凄さ、体幹やバランス感覚の常人との違いを感じたのだった。大物を仕留めた中村騎手は「海サイコー!」。ジギングもマダコ釣りも初挑戦の皆さんが多かったが、明石沖の釣りの楽しさを十分味わっていただけたようだ。

今回利用した釣り船

兵庫県明石港『釣り船 魚英』
〒673-0894兵庫県明石市港町24-6
TEL:078-917-1285
定休日:毎週火曜日と明石浦漁協の取り決めの日 釣果・施設情報 釣り船 魚英 ホームページ

出船データ

各種乗合、仕立で出船
料金:要問い合わせ
出船時間:季節により異なる
交通:車は第二神明高速道路「玉津I.C」より約10分、もしくは阪神高速「若宮I.C」から国道2号線で明石へ。電車はJRまたは山陽「明石駅」より徒歩10分
     
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