釣りビジョン

2011.6.1号

幸栄丸・茨城県鹿島港
注目のゲーム性。釣り味最高!鹿島沖の大型マコガレイ

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荒原康広船長
狙った通りに仕掛けを操り、アタリを出して魚を掛ける。そこには“向こう合わせ”の釣りにはない「自分で釣った」という満足感がある。ゲーム性の高い釣りの代表格としてカワハギやマルイカ、ひとつテンヤにフグのカットウ釣りなどが挙げられるが、鹿島灘~常磐沖のカレイ釣りもそれに匹敵する。小突き方一つでアタリの出方に差が生じ、ガンガンと竿を叩く力強い抵抗も素晴らしい。この時期マコガレイは十分に肉厚になり、食べても最高の時期になる。5月19日、好調の続く大型マコガレイを狙って鹿島港『幸栄丸』に出かけた。

前日は定量(30枚)達成の絶好調!

午前5時、鹿島新港の船着場に到着すると小野馨船長から「いい時に来たね、昨日はトップで30枚だったよ!」と景気のいい話。さらに2番手、3番手も30枚に迫る程の好調ぶりであったとか。サイズも大型揃いで1人で大きな樽2つを一杯にしてしまったというのだから相当な魚影の濃さである。

5月18日 マコガレイ49cm
カレイ30枚で大ダル2つが一杯に!

アタリは自分で出すもの

5時30分、荒原康宏(あらはら・やすひろ)船長の操船で鹿島港を後にする。「今は大型のマコガレイをメインに狙っています。昨日はイシガレイが1~2割交じった程度でした」という船長に釣り方を聞いた。
・ 誘いの基本は小突き。オモリで底を20~30回小突き、餌をアピールする。
・ 少し止めて餌を喰うタイミングを作る。
・ 竿先に集中しながら仕掛けの長さ分だけ聞き上げる。
・ 明確に竿先に出るアタリもあれば、モタレ程度の場合もある。
・ フッキングは一呼吸置いてからゆっくりスイープに。
「2本バリでも3本バリでも仕掛けをしっかりアピールできるかどうかでアタリの数が変わります。自分で誘って何回アタリを出せるか…だから面白いんですよね」。やはりアタリを出すには、いかに餌をアピールできるか。この“攻めの釣り”が面白いところである。

付け餌のアオイソメ
(※現在は自分で用意する)
付け餌のアオヤギ
(※船宿に常備)
仕掛け図

いいナギ、いい釣り日和

午前6時を過ぎた頃、鹿島沖のポイントに到着。風もなくベタナギの海は、繊細なカレイ釣りには最高の条件である。この日の釣り人は2人。私とスタッフ、船長と上乗りの上原さんが竿を出し、大型船に6人という“大名釣り”。水深30mで投入合図が出た。私は2本バリの仕掛けに5cm程に切ったアオイソメを3、4本、そして冷凍のアオヤギを付けて投入。さらに船長の薦めで1本を置き竿とし、もう1本を手持ちで小突く贅沢な2本竿でスタートした。置き竿は船の揺れでたまにオモリが底を叩く程度にセット。するとすぐに置き竿に細かいアタリが出始めた。だがカレイのそれとは明らかに異なる、プルプルと竿先を叩く魚の正体は20cm程のショウサイフグ。餌を付けて入れ替えてもすぐに同じアタリでショウサイフグが掛かる。「フグが多いな。昨日はこんなに居なかったんだけど…潮が全く流れてないからなぁ」と船長。船内でもフグが入れ食いになってしまった。嬉しいお土産ではあるが、今日の“本命”はカレイである。

ベタナギの鹿島沖
ショウサイフグが多数交じる

小突いた後に明確なアタリ

フグの猛攻をかわし、船内で最初にカレイを釣り上げたのは左舷の釣り人だった。40cmオーバーの肉厚マコガレイである。続いてその隣の釣り人にも同じサイズが上がり、船内の空気が慌ただしくなって来た。こうなるとオモリを小突く手にも力が入る。20回小突いて仕掛けを止めカレイが食いつく間を作る。ややあってゆっくりと仕掛け分聞き上げる途中、コツっと明確なアタリが出た。そのまま竿先を頭上まで持ち上げるとがっちりとハリ掛かりした。巻き上げてくると25cm級のイシガレイだった。“本命”のマコガレイではなかったが、なによりも自分で誘ってアタリが出せた事が嬉しかった。

40cmオーバー肉厚マコガレイ
こちらも40cmオーバー

カレイってこんなに引くんだ!?

私の手持ち竿に“本命”のアタリが来たのは数匹のフグを釣り上げてからだった。小突きから聞き上げまでの動作を繰り返しているとオモリ以上の重みを感じた。もう1度軽く小突いて食い込ませると、今度は魚の方が暴れ始めた。ガンガンガン!と激しく竿が叩かれる。ハリス4号、全長80cmの仕掛けが切られないか心配になる程の力強い抵抗。何度もリールを巻く手を止め、竿の弾力で魚をいなしながら海面まで浮かせると40cmを軽く超える大型マコガレイだった。船長の差し出すタモに収まった瞬間、ふぅーっと大きくため息が出た。あの姿形からは想像し難いパワー。魚体をじっくり観察すると筋肉が盛り上がっていてかなり分厚い。「カレイってこんなに引くんだ」と思わず感心してしまった。

私に釣れた40cmオーバー
こちらはイシガレイ

トップは10枚“マコ”と“イシ”は半々

アタリが途切れると船長からすぐに移動の合図。小移動を繰り返す度にポツポツとアタリが出てマコガレイとイシガレイが上がる。海底は砂地でほぼフラットだが、「若干の地形変化がある」と船長。ただ、どこに行ってもカレイがいる所にはフグも多く、私はカレイの仕掛けで19尾のショウサイフグをキャッチした。その後、私は40cm級マコガレイ1枚と35cm級を追加、25~30cm級のイシガレイが4枚で合計7枚。トップは上乗りの上原さんで10枚。全員が5枚以上のカレイを釣り上げて正午に沖上がりとなった。前日はトロっと流れていた潮もこの日は全く流れず、カレイの活性はずいぶん低かった様だ。だがそれも前日と比べればという話で、実際にはフグを含めて終日アタリが続き飽きない程度に釣れ続いた印象。

45cmオーバー

6月は大型マコガレイのトップシーズン

さて、今後のカレイ釣りだが、6月中はもちろん、状況次第では7月に入っても続くだろうとの事。繊細なアプローチと力強いファイト。勿論、食べても甘味のある刺し身は最高で、コブ締めにすれば醤油もいらない程の絶品である。まだまだ魚影の濃い鹿島沖の大型マコガレイ。是非挑戦してみてはいかがだろう。

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
茨城県鹿島港『幸栄丸』
〒314-0003 茨城県鹿嶋市小宮作1069-67
TEL:0299-82-2775 定休日:第3月曜日
詳細情報(釣りビジョン)
幸栄丸ホームページ
出船データ
釣り物:カレイ
5時集合、5時30分出船、正午納竿
料金:1万円 餌氷付(※アオイソメは持参)
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