釣りビジョン

2011.12.1号

福田丸・千葉県外川港
超ロングラン!千葉県・外房、外川沖のヒラメ

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7月中旬、“夏ビラメ”と称して始まった外房・外川沖のヒラメが11月に入っても依然釣れ続いている。例年通りであれば大型の秋台風による底荒れ、潮温低下などで釣果は一気に下降線を辿るのだが、11月22日には3kg級の大型交じりでトップ12尾を記録するなど数が釣れる夏季並みの好成績続き。このチャンスを狙って翌23日、外川港『福田丸』の乗合船に乗った。

横走りするヒラメ、肉厚良型は“青物”と間違える程パワフル

仕掛け図
数日前の予約の電話で道具や仕掛けについて聞いた。「とにかく良型は引きが強いからハリスは6号でやった方がいいですよ」。そう話すのは、女将の福田るみ子さん。ワラサの走りだと思って巻き上げてみたら5㎏オーバーのヒラメだった事もあるというからそのパワーに驚く。実は女将さん、大の釣り好きで季節や状況にあった仕掛けや道具を使い分ける、ヒラメ釣りのスペシャリストでもある。福田丸に乗船する時は、とにかく朝一は状況に合った仕掛けを聞くといい。取材当日の捨て糸の長さは短めの40cmくらいがいいとの事。タナを上げるとイナダが先に喰ってしまうという理由だった。

朝一の1尾目
3キロ級の良型

予想外の状況に苦戦

午前5時30分。生憎の雨の中、福田稔船長の操船で河岸払い。私を含めた21人を乗せて外川沖を目指す。この人数でも釣り座の間隔には十分余裕があり、上乗りスタッフが餌を配ってくれるので快適に釣りが楽しめる。さすが大型船である。ゆっくりと船を進める事凡そ15分。外川沖、水深20mで投入合図が出た。「根掛かりがありますから、オモリで底を引きずらない様にね」。船長のアドバイスを聞きながら、餌の活きイワシの上唇にしっかりと親バリを撃ち、胴に孫バリをそっと掛けて投入した。前日の状況が状況だけに全員竿を手に持ち船ベリに体を預ける形でアタリを待つ。その1流し目、最初にヒラメを掛けたのは左舷胴の間(中央)の人だった。無事にタモに収まったのは500g級のソゲサイズ。「一度離されたんですけど、2回目でやっと掛かりました」という話。意外にも喰いが浅い様である。次のヒラメを釣り上げたのは右舷ミヨシ(船首)寄りの人。こちらは2kg級の良型をキャッチ。それを合図にバタバタ・・・と続くかに思われたのだが予想に反してアタリは単発的である。ポツリポツリとヒラメは上がるのだが、朝一のラッシュを期待していた船長は「潮が全然流れないな」と一言。凡そ40分の流しでヒラメが5尾。あまりにも期待が大き過ぎたせいで、釣り人も船長も前日とのギャップを痛感させられた1流し目であった。

浅場でも2、3キロ級の良型がよく交じる

ライトタックルに替えてアタリ鮮明

移動の合図で釣り座に戻ると、回収したイワシに歯型が付いていた。“犯人”は間違いなくヒラメである。両隣の人から「さっきアタっていたよ」と教えられた。やはり喰いは浅い様だ。僅かにポイントを移動した2流し目。置き竿にしていた私の竿先に小さな違和感。竿を手に持ちそっと送り込んでやるがなかなか喰い込まない。「ヒラメ40」までは数えなかったが“コツコツ”が“グゥーッ”という重みに変わった所でゆっくり竿を立てると、乗ったか乗らないか何とも曖昧な手応え。ゆっくり巻いてくると弱々しい抵抗を見せて30cm級のソゲが海面に浮いた。孫バリが唇一枚に辛うじて引っ掛っていた。確かに喰いが浅い。船中でもポツポツとアタリが続き「前で喰ったよ」という声にカメラを持って向かうと右舷ミヨシで3kgオーバーの良型をキャッチ、左舷胴の間で2kg級、1kg級・・・と続き、一人、また一人とオデコを脱出して行く。アタリが止まったところで小移動。次の投入で私は3mの置き竿から2mのライトタックルに替え手持ちでアタリを待った。すると投入直後にアタリが出た。今度は“コツコツ”から“グゥーッ”に変わるまでさほどの時間は掛からなかった。ゆっくり聞き合わせる様に竿を立てると乗った!サイズこそ40cm弱だったがライトタックルならではのファイトを楽しむ事が出来た。

歯型だけが残ったイワシ
30cmの良型カサゴ!

ヒラメの“走り”を実感!

ヒラメの“走り”を実感したのは40cm級を追加して暫く経ってからだった。やはりポイント移動直後の1投目。オモリで海底を感じながら道糸を張っていると“ガツガツ”っと明確なアタリから時間を置かずに竿をガンガン引き込んで行く。1m程道糸を送って十分に喰わせたタイミングで竿を立てるとギュンギュンと音を立てるかの様に竿を絞り込んで行く。両隣から「イナダかな?青物だよね?」と声が掛かる。「そうですね、イナダっぽいですよね?」と答えながらも、「ワラサみたいな強い引きのヒラメがいるから気を付けて」という女将さんの言葉を思い出す。急激な突っ込みを竿と腕全体でかわし、水深25mから巻き上げること凡そ2分。2kg級のヒラメが姿を現した。なるほど、「青物の様に走るとはこういう事だったのか」と納得させられた1尾だった。

肉厚で美味しそう!

粘りの操船が実を結んだ納得の結果

さて、流れない潮に苦心の操船を強いられていた船長だが、終わってみれば船中21人でトップは5尾。何とヒラメ釣りは初挑戦で、出船前に女将さんから餌付け等レクチャーを受けていた貸し竿の釣り人であった。私は次点の4尾だったが、置き竿の合間にイワシが6尾ほどかじられていたので最低でも10回はチャンスがあった事になる。残念ながら3人のオデコ(0尾)が出てしまったが、この人数に平均して釣らせる事がどれほど難しい事かを十分に理解出来た。また、外川沖のヒラメの魚影の濃さも実感。潮がトロリと流れさえすればまだまだ好成績が続くはず。肉厚ヒラメは今がチャンス!『福田丸』では、年明けの1月まではヒラメを狙って出船する予定(※状況によりメヌケにも出船)。

終わってみれば十分な釣果だった

クリスマスパーティーにもぴったり!『ヒラメのクリーム煮』

ヒラメのクリーム煮
「ヒラメのクリーム煮」は2010年の秋に放送された「大漁!関東沖釣り爆釣会」で紹介された女将さんの料理だが、あまりにも美味しそう!という理由で作り方を聞かれる事が度々あったとか。生クリームとバター、チーズの濃厚な味わいを白ワインの香りがほのかに引き立たせ、にんにくチップのパンチが食欲を掻き立てる一品です。
是非お試しあれ!

レシピ

ヒラメ2キロ級  1/4尾
小麦粉      大さじ3
バター      大さじ3
とろけるチーズ  大さじ5
にんにく(大)  1カケ
白ワイン     大3
動物性生クリーム 200ml
塩・コショー   適宜
パセリ粉     適宜

※募金箱
『福田丸』では、釣りビジョン・HPで紹介しているように東日本大震災義援金「釣り人一人ワンコイン(100円)」運動に参加しており、宿内に募金箱を置いている。東北地方の復興にはまだまだ時間が掛かる。出掛けた際にはご協力を!!

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県外川港『福田丸』
〒288-0014 千葉県銚子市外川町1-10829
TEL:0479-22-5741
詳細情報(釣りビジョン)
福田丸のホームページ
出船データ
ヒラメ予約乗合
集合:4:30 出船:5:30 沖上がり:12:00
料金:11500円(餌・氷つき)
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