釣りビジョン

2012.2.1号

つる丸・千葉県大原港
千葉県・大原沖の高級ブランド“寒ビラメ”が舞う

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日本列島を大寒波が襲った1月下旬。シケの合間に出船した千葉県・大原港の『つる丸』が、4人で16尾のヒラメを上げて来た。その最大は5㎏と型も良く、広範囲でアタリがあったと言う。荒波に揉まれた大原沖の“寒ビラメ”は今が1年で最も高値で取引きされ最も美味しくなる時期。26日、前日の好釣果を見て堪らずに出掛けた。

何と北海道でマイナス31.4度

午前5時、大原港に到着すると、岩瀬松男船長が凍てついた船のフロントガラスに水を掛けて融かしていた。「昨日はどこでもイワシがいてアタリがあったよね」。あまりの寒さに手は悴んでいたが心強い話を聞いて気持ちを奮い立たせる。この日は北海道・占冠(しむかっぷ)村でマイナス31.4度という最低気温を観測するほど全国的に厳しい寒さである。凍ってツルツルになった船縁にキーパーをセットすると、いよいよ“寒ビラメ”狙いに出船である。5時30分、私を含めて7人を乗せた『つる丸』は、暗闇の大原沖をゆっくりと走り出した。

凍りついたフロントガラス
つる丸オリジナル仕掛け
仕掛け図

最高の“寒ビラメ”取材になった「オフレボロケ」

丁度2年前、『つる丸』で「オフレボNEXT」の番組取材があった。“寒ビラメ”を狙って高橋哲也隊長と鈴木新太郎隊員が釣りに釣りまくり、船中では5kg級の大ビラメまで飛び出した取材はもちろん大成功に終わった。(※3月にリピート放送予定)イワシを中心とした小魚の大群が大原沖を回遊し、それを追って肉厚幅広のヒラメが入ってくる。正に絶好の取材チャンスだった。

岩瀬松男船長
岩瀬正尚船長

北寄りの風に思わぬ苦戦

大原港を離れて凡そ30分。東の水平線に太陽が顔を出した頃、朝一のポイントに到着した。「風が強いからオモリ100号でやってみて、水深24m」。船長の投入合図で一斉に仕掛けが投入される。周りに他の釣り船は見当たらない。どうやら大原港の船で一番沖まで走って来た様だ。「昨日5kgが釣れた場所はもう少し沖なんだけど…」と船長。北寄りの風が強く、これ以上沖にはウネリが高くて行けないと言う。更に昨日まで程よく濁っていた潮色がすっかり澄み切っている。「イワシの記録(魚探反応)も全然ないよ。でもやってみないとわからないからね」と船長。右舷側が先行する形での横流しでスタート、最初にアタリが出たのは右舷ミヨシ(船首)の釣り人。しかし、これはハリ掛かりせず、歯形だけ残ったイワシが上がって来た。イワシの魚探反応は皆無だったが、アタリが出た事で30分以上の大流しで探ってみたのだが後が続かず、少しばかり灘寄りに移動しての2流し目。同じく水深24mラインで再開する。今度は左舷側が先行する形で流し始める。私は右舷側で風を正面から受ける形になり、あまりの寒さと強風で涙がこぼれる程。そんな中、道糸を余分に10m程出していた私の竿に違和感があった。竿を手に持ち少々送り込んで次の引き込みを待つ。だが、というか、しかし、というか、一向に生命反応はない。痺れを切らして仕掛けを回収してみると小さな歯型が遠慮気味に付けられていた。この流しも30分程粘ったのだが他にアタリはなく船長は灘に向かって転々とポイントを探って行った。

 僅かに残された歯型

僅か一日で天国から地獄へ…

午前9時を過ぎた頃、朝一には遥か遠くに見えていた太東崎がほぼ目の前に迫る距離まで岸に近づいて来た。このポイントはそれまでの澄み潮ではなく一目で分かるほど濁っていた。水深16m。魚探には小魚の大群らしき反応がビッシリと映し出され、大きな期待感が膨れ上がる。「記録(魚探反応)はあるんですけどね、濁りがキツイから…」。そう話すのは上乗り役の息子さん、正尚船長。その不安が的中してしまったのか、魚探反応はあってもアタリがない。ここでは唯一右舷ミヨシの釣り人の仕掛けにアジが掛かっただけに終わった。

大荒れの大原沖
小魚の大群を映し出す探見丸

貴重な“寒ビラメ”が浮上!

午前10時、苦心の操船が続く船長はとうとう大原港の前まで船を走らせて来た。水深20m、と言っても海底は岩礁帯でかなり起伏が激しい。うっかりするとすぐに根掛かってしまうほどである。そんな中「おっ、何か喰ったぞ!」。正尚船長の声で振り返ると左舷ミヨシの井上さんが軟調竿を大きく曲げてやり取りしている。船中の視線が一気に集中する中で海面に姿を現したのは優に1kgを超えたヒラメだった。正尚船長がしっかりとタモですくい上げると「ありがとう!」。松男船長が大きな声で喜びを爆発させた。

午前10時。ファーストヒット!
この日唯一の貴重な“寒ビラメ”

取材後は復調気配!

この日唯一のゲストはマトウダイ
この日は残念ながら、この1尾が船中唯一のヒラメになってしまったが、2日後の28日には1~1.5kg級を中心にトップ3尾が2人。翌29日には1人4~5尾と大当たりですっかり復調気配である。2月、3月はまだまだ“寒ビラメ”シーズン。完全防寒で挑戦してみてはいかがだろうか。

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県大原港『つる丸』
〒298-0003 千葉県いすみ市深堀1885-12
TEL:0470-62-1890(定休日第1・3月曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
つる丸ホームページ
出船データ
ヒラメ予約乗合
乗船料金/1万1,500円(餌・氷付き)
集合/5:00(※予約時に確認)
出船/5:30~沖上がり11:30
午後マダイ船にも出船中
レンタルタックルあり:無料
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