釣りビジョン

2012.3.1号

信栄丸・千葉県乙浜港
千葉県・乙浜沖のヤリイカ上昇気配、寒の“スルメ”も安定!

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千葉県・南房におけるヤリイカ釣りの“走り”は小型が中心になる事が多い。その大半は卵を持ったメスである。その後、徐々に大型のオスが回遊して来るのが例年のパターン。「今の“ヤリ”は煮付け、刺し身なら“スルメ”がいいな」。そう言いながら刺し身を頬張るのは、乙浜港『信栄丸』(のぶえいまる)の安田仁船長。パンパンに成長した肝に醤油を垂らし、香り付けの七味を振ったタレで食べるスルメイカの刺し身は絶品だ。さらに半生程度にボイルしたエンペラやゲソはプリプリとした食感も相まってこれまた美味い!2月15日、食い気に誘われて『信栄丸』に出掛けた。

人数限定で釣り座はゆったり

『信栄丸』の釣り座(イカ釣りの場合)は片舷5人、両舷で10人までとの拘りがある。「俺は船頭だけど、釣り人でもあるからね」と船長。ゆったり広い釣り座で快適に楽しんでもらおうという計らいである。この日は7人が乗船、私は右舷ミヨシ(船首)に座った。船長に最近の傾向を聞いてみると「浮いている反応があるから上から落とし込んでやるといいよ」と返ってきた。脳内イメージを膨らませながら船宿推奨仕掛けをセット、6時の出船時刻を迎えた。

この釣り座の間隔は非常に嬉しい
標準装備されたイカ釣り便利グッズ。常に釣り人の気持ちが考えられている。投入器もある。

いきなり直結仕掛けに変更、スルメイカ狙いでスタート

乙浜港を出てナギの海をゆっくり走る事20分、朝一のポイントに到着した。「サバの反応が凄いから直結仕掛け持っている人は替えて」。そう言う船長から直結仕掛けが手渡された。18cmのプラヅノはスルメイカ狙いのサイズでツノ数は8本。「水深130m。100mから下まで反応あるから上から探ってみて」と、投入合図。120号オモリが次々と投げ入れられ船内はすでに集中モード。直結仕掛けの扱いに慣れていない私が投入に手こずっていると、右隣に入った常連の有信さんから「90mで止められたよ」と言う声。見れば派手に竿をシャクって追いノリを狙っている。頃合をみて巻き上げられた10本の直結仕掛けに4尾のスルメイカが付いていた。見事な手さばきに感心していると「彼は昨シーズン“ヤリとスルメ”で1500尾は釣ったよ」と船長から教えられる。ヤリイカだけでも束超え(100尾以上)を4、5回は達成したというのだから物凄い腕前である。次の投入でも3尾、またその次も3尾と瞬く間に“スルメのツ抜け”だ。いずれも中層で止めて落とし込む途中でノリがあったという。その間の私はと言えば3投で3尾と1回に1尾ずつしか取り込む事が出来なかった。

『信栄丸』の天才バッター!有信さん
スルメ仕掛け図(18cmプラヅノ8本直結仕掛け)
ヤリ仕掛け図(11cmプラヅノ5~10本ブランコ仕掛け)

ヤリイカ狙いは“スルメ”交じりで好調

「ヤリイカに行くから11cm(プラヅノ)に替えておいてね」。船長はそう言うと5分程船を走らせてヤリイカのポイントに。周りには5、6隻の釣り船がヤリイカを狙っている。「はい、いいよ。水深140m。110mから下まで反応があるよ」(船長)。やはりこの日はヤリイカの反応も中層に浮いている様である。仕掛けが100mを通過した辺りから5m刻みで仕掛けを止め、聞き上げる。その繰り返しで少しずつ探って行くと120m付近で道糸の落下スピードに変化が出た。そっと聞き上げると竿先をクイッ、クイッと引き込むアタリ。基本通り手巻きで10m程巻いて追いノリを狙い、電動リールで巻き上げて見ると下から2本目のツノに中型のスルメイカが1尾。船内では“ヤリとスルメ”が半々で上がっている。凄腕の有信さんは“スルメ”の3点掛け。海も静かでイカの活性も悪くない。しかし、“潮型”が悪くオマツリが頻発する。所謂、二枚潮の状態である。1度仕掛けを回収して入れ直す際に、他の人の仕掛けとクロスしてしまう為、1流しで何度も仕掛けを入れ替える事が出来なかった。船長も船の角度を変えて対応するのだが、どうしても流し直す事になってしまう。中々数が伸ばせない状況が続いていたが、やはり凄腕の有信さんが腕の差を見せ付ける。動画でも撮影しているが、25~30cm級のヤリイカの6点掛けは、この日の最多点掛けだった。私はと言えば、凄腕の華麗な手さばきに感心するばかりで、巻き上げ途中でのバラシなどのロスが多く中々多点掛けが出来ずにいた。それでもポツリポツリと足元の桶に“ヤリとスルメ”が増えていった。

有信さんのヤリイカ6点掛け!
ヤリイカ!そしてヤリイカ!

まだまだヤリイカ!
40cm級ジャンボヤリイカ!

トップは38尾!!

結局、私は正午の沖上がりまでに20~40cmのヤリイカ12尾、ジャンボサイズのスルメイカ8尾の合計20尾。小型が多いと聞いていたわりには、型が良かった印象だ。竿頭は有信さんの38尾、スルメイカ4割が交じった。「“潮型”が悪かったね」と安田船長は悔しそうだったが、二枚潮で釣り辛い状況だった事を考えれば十分な釣果ではなかろうか。今シーズンは、まだまだこれからが本番だ。人数限定でゆったりと楽しめる『信栄丸』、是非出掛けて見ては如何だろう。

安田仁船長は、通称“のぶちゃん”
スルメイカ最高の船上干しが完成!

(津端 雄大)

今回利用した釣り船
千葉県乙浜港『信栄丸』
〒295-0101 千葉県南房総市白浜町乙浜1299-3
TEL:0470-38-2427
詳細情報(釣りビジョン)
信栄丸ホームページ
のぶちゃんのつり情報
出船データ
ヤリイカ予約乗合
料金:9,000円(氷付き)
時間:午前6時出船、午後12時沖上がり(※集合時間は予約時に確認)
レンタル:投入器無料貸し出し、電動リール電源完備、貸し道具無料(電動リールのセットは2,000円)
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