釣りビジョン

2012.12.1号

オーシャンサポートサービス 代々丸・和歌山県白浜・富田浦袋港
和歌山県、 南紀・白浜沖の活アジのノマセ釣りで青物!!

06_main.jpg

和歌山県・白浜の富田浦袋港から出船している『代々丸』が、活きアジを泳がせて“青物”のワラサ、カンパチ、更に“底物”などを狙う「アジのノマセ釣り」を始めた。海の中の食物連鎖を利用、コマセを使用しないクリーンな釣りだ。何が釣れるか分からない楽しみもあり、11月18日に大阪の若林さんら6人と白浜沖に出た。

活きた小アジを泳がせてフィッシュイーターを釣る!

山がミカンで黄色く色付いた阪和自動車道を南下、南紀田辺ICからR42を20分程走ると富田浦の袋港。うっかりすると通り過ぎてしまいそうな港だが、袋港の名の通り、外洋から“く”の字に入り込んだ静かな良港だ。この港から濱本浩二船長が舵を握る『代々丸』はジギングやコマセ釣り、ノマセ釣りなど豊富な釣りメニューで出船している。
午前6時、大阪の若林さんら6人のグループが乗船。この日は仕立てで大物のノマセ釣り(ブリ、カンパチ&底物狙い)に出る予定だった。しかし、海が荒れて餌のサバを釣るポイントまで走れないため、船宿が用意した15cmほどの活きアジを泳がせて、ノマセ釣りでフィッシュイーターのワラサや“底物”などを白浜沖で狙うことになった。出船前に船長が全員のタックルと仕掛けをチェックしながら一人一人と会話を交わす。ビギナーにはリールのドラグ調整までちゃんとアドバイス。『代々丸』では、この朝イチの釣り客とのコミュニケーションを大切にしている。
前日に前線が通過し、海上はウネリ残り。北寄りの風が吹き荒れていた。風も波も次第に治まる予報だったが、時おり大きな波が立ち上がり、白浜沖へ向かう『代々丸』の行く手を阻んだ。

ノマセ釣りやコマセ釣り、ジギングなどに出船している「代々丸」
ウネリ残りの海を時間をかけて白浜沖のポイントまで走った

荒れた海で丸々太ったワラサがヒット!!

大波を砕きながら、スローで1時間近く走ってようやくポイントに到着した。船長の合図と共に、活きアジを弱らせないように素早くハリを刺して(ハリの刺し方は動画を参照)仕掛けを投入。ハリス12号、オモリ80号で統一。水深は60~80mなので手巻きリールでもやれないことはないが、全員中型電動リールを使用(レンタルバッテリーは完全予約。レンタル電動セットもある)。船長が“魚探”を睨みながら根のフチを流し釣りする。ベイトの反応が色濃く出たところで左舷ミヨシの若林さんの竿が曲がった。
揺れる船上でのファイトが始まった。ムクのワンピースロッドが気持ちのいい曲がりを見せる。電動リールが魚の動きを音で伝えてくる。周りの釣り仲間の注目を浴びて、無事タモに収まったのは70cmクラスの立派なワラサだ。脂が乗って丸々としたナイスな魚体。ズッシリと重そうだ。船中最初の1尾を無事取り込んで喜びもひとしお。波しぶきを被ったフードの下に若林さんの笑顔がこぼれる。続いて右舷のトモ(船尾)でもヒット!さらに右舷ミヨシ(船首)、左舷胴の間(中央)とアタリが続いた。

手持ちにしてアジを泳がせアタリを待つ
70cmクラスの立派なワラサ

手持ちで食い渋る魚を食わせる

釣り方はオモリが底に着いたら素早く1mほど巻き上げ、ロッドを手持ちにして、波による船の上下動が出来るだけ仕掛けに伝わらないようにしながらアタリを待つ。「今日のような日は置き竿ではまず釣れません」と船長。立っているだけでも大変な状況だが、全員が手持ちでアタリを待った。「アッ! バレた!」。
巻き上げ途中での残念なバラシも結構あった。食いが浅いのだ。船の揺れで仕掛けがシャクリ上げられるので、食い込む前に違和感を覚え餌のアジを吐き出してしまうことも多かった。ナギの日なら、恐らく倍の数の魚が上がっていただろう。それほどアタリはあったが、この日の条件では食わせて釣り上げるのはかなり難しかった。魚がいても潮が動いていない時は食ってこない。アタリが遠のいた時は、仕掛けを5mほど巻き上げ、仕掛けをゆっくりと落としてみるのも効果的。フォールで食わせる作戦だ。この日も仕掛けを投入した直後にヒットさせた人がいた。動く餌を演出して、リアクションバイトを狙うのも手だ。
魚探反応や底の状態を見て、船長から「仕掛けを5m巻いて、落として」のアナウンスが時々ある。それはチャンスタイムのお知らせ。魚が釣れそうないいポイントにさしかかったか、すごくいい反応が出ているかのどちらかだ。集中してチャンスをものにしよう。
『代々丸』のアジのノマセ釣り仕掛けは仕掛け図の通りだが、ハリスが40cmと極端に短い。あえてアジを泳ぎまわらせず、魚に食わせやすくするためだ。魚がいればすぐに食い付く、勝負が早い仕掛けというわけだ。

揺れる船上でのファイトの末に取り込んだ
この魚はフォールで食ってきた。仕掛けが着底したとたん竿が曲がった
活きアジのノマセ釣り仕掛け

食い込まないアタリには“誘い下げ”が有効

アタリが出る前に、魚に怯えてアジが逃げるアタリが竿先に伝わってくる。ヒラメ釣りなどと同じだ。アジの逃げるアタリが出たら、竿先の変化に注意しながら強い引き込みを待つ。いくら待っても小さなアタリが続いて食い込まない時は、竿先を少し下げてアタリについていってみるのも手だ。一気にグーンと竿先が海中に突っ込んでいくこともよくある。“誘い上げ”よりも、この“誘い下げ”を試してみるといいだろう。合わせは向こう合わせでいいが、軽く竿を持ち上げる感じで確実にフッキングさせる。そこで電動リールのスイッチをON。強い引きで竿が大きくしなるが、“青物”なら素早く巻き上げて取り込む。必要以上に用心深く巻いていると、周りの人とオマツリしたりスクリューにラインを取られたりするので注意。
午後からは潮が動かなくなり、アタリは時たまあるもののヒットしない状態が続いた。ウネリは次第に落ちて来たが、風はなかなか治まらないまま。やがて夕日が海に沈みかけ、この日の釣りは終了。『代々丸』は全速で港に向かった。
これから本格的なシーズンを迎える活きアジのノマセ釣りは春まで楽しめ、潮温が20度を切ればヒラメもターゲットとして射程圏内に入って来るそうだ。

「来た~!」 その瞬間竿先が海中に向かって突き刺さっていく
脂がよくのった魚体、ズッシリとうれしい重さについ笑みがこぼれる
「ヤッター!」

魚は全て、船長が〆て血抜きから神経〆まで

帰港してからも船長は大忙しだ。釣り人が釣り上げた魚は全て船長がタモ入れしてイケスに入れられているが、その活かしておいた魚を取り出して、手際よく1尾ずつ〆ていく。血抜きをして、神経〆してから魚の血をきれいに洗い流す。神経〆をする事で死後硬直が遅くなり、持ち帰った後も魚の肉質の弾力性が失われず美味しく食べることが出来る。処理された魚は氷が直接触れないように、ビニール袋に入れて釣り客のクーラーへ。その間、釣り客は港に用意されたタンクの水で手などを洗い、船長が魚を渡してくれるのを待つ。
この釣りはまだ始まったばかり。これからはもう一回りスケールアップした大物(最高のターゲットはクエ)のノマセ釣りもスタートする。

「代々丸」(写真左)と兄弟船の「丸浩丸」(写真右)
「代々丸」のキャビン、弁当は電子レンジで温められる。冬場はありがたい
各座席の前のコックをひねってバケツに海水をため、アジを活かしておく

(上野 英輝)

今回利用した釣り船
和歌山県白浜・富田浦 袋港『代々丸』
〒649-2334 和歌山県西牟婁郡白浜町 富田浦袋港
TEL:090-3168-1739
交通:阪和自動車道~南紀田辺IC~R42で串本方面へ。一目坂トンネルを出て釣具店「釣太郎 白浜店」を過ぎ、約100mで右折、袋港へ。
詳細情報(釣りビジョン)
代々丸ホームページ
出船データ
料金:乗合船半日釣り(約5時間)1人=12,000円、一日釣り1人=20,000円。女性2,000円割引。別船チャーター便(5人)70,000円。1人増し10,000円。『代々丸』チャーター便(8人まで)100,000円。1人増し10,000円。(カードでの支払い可能)
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。
プレミアムメンバー