釣りビジョン

2012.12.15号

坂口丸・神奈川県小田原早川港
今シーズンは“当たり年”、相模湾のアマダイ!

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今シーズン、相模湾のアマダイが好調だ。元々数が釣れる魚ではないが、2ケタ釣果も珍しくはなく“高位安定”。西日本方面では“グジ”と呼ばれ、日本料理の食材としても知られる上品な魚体の高級魚である。そんな高級魚は「自分で釣って美味しく食べる」。それも釣り師の特権。12月3日、「爆釣アマダイ、トップ20尾!」と釣果欄の見出しになった小田原早川港『坂口丸』に電話すると「明日は風雨で出られない」との事。満を持して5日(水)に出掛けた。

「今期の最高は24尾!“当たり年”」と太鼓判!

仕掛け図
西湘バイパスを早川ICで降り、国道135号線に出て、最初の道を左折すれば『坂口丸』である。挨拶もそこそこに久保田源太郎店主に状況を聞くと「今期の最高は24尾。大きさは運次第だが、11月29日には、47cmのシロアマダイ(釣りの対象になっているアマダイには白、赤、黄がおり、一般的なのは赤。シロアマダイは大型に育つが、数が少なく超の字が付く高級魚)も出たし、40cm級は毎日のように出ているよ。スソも0の日は何日も無かったな。今期は間違いなく“当たり年”だよ」と太鼓判。又「最近、アマダイの値打ちが上がって来たね。超高級魚扱いで市場にはあまり出回らないから、食べたければ自分で釣るしかないよ」と付け加えた。

餌の沖アミは真っ直ぐに!
35cmのアマダイ
39cm本日の“ビッグ2”

釣り場は目と鼻の先!

4人の乗船者が両舷に分かれて座り、定刻の6時30分に出船。港を出て5分も走らない内に、エンジン音がスローになった。舵を握る久保田三喜夫船長から「やってみましょう、水深62m」のアナウンス。「エッ、こんなに近くで!」とビックリ。まだ準備が出来ていない。急いでセットして投入。辺りを見渡すと、西湘バイパスのアーチ橋と今出てきた早川港が目の前に見える。北に目をやると、丹沢の山波が雄大に横たわっている。西には、箱根連山の明神岳、双子山が一際高くそびえている。南の海には伊豆大島が浮かび、素晴らしいロケーション。そんな景色に見惚れていると、左舷ミヨシ(船首)の木村さんが早くも竿を満月に曲げ、慎重にやり取りを始めた。中々浮いてこない。船長が玉網を準備した時、竿の曲りが消えた。「バレた!」と悔しがる。ハリの掛かり所が悪かったのだろう。しかし、又すぐに木村さんにアタリがあり、今度は無事取り込まれた。25cm級のアマダイだった。

アマダイ釣りの仕掛け、釣り方は至ってシンプルだ。大型片天ビンを使った2本バリ。餌の沖アミを真っ直ぐに付け、オモリが着底したら2m程タナを切ってアタリを待つ。10~20秒間隔でゆっくりと聞き上げるのが基本的な釣り方だが、海底には若干の起伏があるので、小まめにタナを取り直す事がポイントだ。

続いて右舷ミヨシでガンゾウビラメが上がった。「潮があまり流れていない」と船長。それでも船が流し直され、一人にアマダイが釣れると他の人にもアタリが来る。右舷ミヨシではレギュラーサイズを連続でヒットさせた。その直後、私にも待望のアタリ。1m程ゆっくり聞き上げた時、“ククッ”と小さく竿が抑えられた。竿が柔らかいのでリールを5、6回早巻して合わせるとガッチリとハリ掛かりして22、23cm級のアマダイが釣れて来た。

良型アマダイ

多彩な“ゲスト”のオンパレード

船長は、食いが遠のく度に移動を繰り返していったが、移動の度に水深が深くなる。70m辺りになると多彩な“ゲスト”が交じり出した。アカボラ(ヒメコダイ)やイトヨリ、ガンゾウビラメ、アラ…それに小型ながら高級魚の鬼カサゴまでも仲間入り。そんな中から釣り上げられる“本命”のアマダイは、選ばれた貴公子だ。誰かがアマダイを釣り上げると、一斉に視線が注がれる。自分が釣ったサイズよりも大きいか、小さいかを比較しているのだ。

ビックなイトヨリ
カイワリ
ガンゾウビラメ

鬼カサゴとアラはトゲに毒があるので要注意!

トップは11尾!

9時を回った頃、右舷胴の間(中央)の依田さんに、それまで最大の39cmのビックが上がった。ビデオ、デジカメでの撮影が終わり、一安心した所で私の手持ち竿の竿先が突然“ギュンギューン”と引き込まれた。それまでのアタリとは全然違う。「マダイか?」。リールを巻く手に力が入る。慎重にやり取りして海面に浮いたのは正真正銘の大型アマダイ。早速計ってみると40cmジャスト。依田さんを1cm上回るこの日のビックワンだった。「やった~!」。思わず叫んでしまった。この日は船中で35cm、39cm、そしてこの40cmと3尾の大型アマダイが上がった。

結局、4人の釣果は、22~40cmを11尾、9尾、7尾、6尾とアマダイの釣果としては上々の成績。この日、私が感じた事は、マダイが魚の王様なら、アマダイはお姫様だ。色といい、眼の可愛さと言い姿、形に気品がある。久保田店主の言う通り、今シーズンは間違いなく“当たり年”。40cmオーバーの大型も狙えるアマダイ釣りに是非挑戦して頂きたい。

40cm、本日の“ビックワン”
アマダイの一荷(2尾掛け)
トップは11尾

☆帰港後、久保田三喜夫船長に聞いた

久保田三喜夫船長
「早川港は、港を出ると直ぐ水深100mからの溝になっていて、その瀬の上が50m位の棚になっています。そこが好釣り場なんですね。潮さえ流れていれば40~60m立ちで40~45cm級が狙えます。12月2日のトップ20尾の時も浅い所で釣れました。半分は35cmから上の良型でした。今のところ大きくても37、38cmが多いけど、これから段々デカくなります。今シーズンのアマダイは2月一杯はやりますよ」と笑顔で話してくれた。

☆アマダイの美味しい食べ方を教えて?

「そうだな~私はドッチカと言うと、煮て食べますね。甘辛く煮るといいダシが出ます。少し濃い目に味付けしてその汁で大根を煮てもいい、ご飯に掛ければ美味いですよ。勿論、焼いても美味しいです」。その他、酒蒸し、コブ締めなんかも美味い食べ方との事。持ち帰った小型の数尾を煮て食べてみたが今までに味わった事のない甘味があり、正に“甘鯛”の甘味を実感。今年の冬はまた一つ家族からのリクエストが増えた。

(釣りビジョンAPC・飯妻 武夫)

今回利用した釣り船
神奈川県小田原早川港『坂口丸』
〒250-0021 神奈川県小田原市早川1-3-7
TEL:0465-22-8266
詳細情報(釣りビジョン)
坂口丸ホームページ
出船データ
出船時間:6時30分出船・納竿時間:午後2時
乗合料金:9,000円
貸し道具:竿・電動リール1,000円
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