釣りビジョン

2013.2.1号

長福丸・千葉県大原港
千葉県・大原沖、LTで“寒ビラメ”を攻める!

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今シーズン絶好調のヒラメも厳寒期に入り、肉厚も一段と増して俗に言う“寒ビラメ”の旬となる。その“寒ビラメ”をターゲットに既に主流になりつつある細い道糸と軽いオモリでのLT(ライトタックル)で狙ってみようと大原港『長福丸』に出掛けた。私はLTでのヒラメ釣りは初めてだ。噂に聞けば「実に面白い!」との事。その感触を味わいたくての初挑戦となった。

残雪と路面凍結の心配?

ヒラメとフグに分かれて出船
早朝(深夜?)、湾岸道路、東関東自動車道、国道129号線を経由して、千葉県いすみ市の大原漁港『長福丸』に向かった。数日前に発達した低気圧が関東地方に雪をもたらし交通に支障を来たしたが、まだ所々に残雪があり、路面が凍結している所もあるので慎重に車を走らせた。幸い途中何事もなく午前3時前に『長福丸』に到着。だが、駐車場はガラガラ。普通なら何台もの車が駐車しているのだが…。天気予報と雪の後遺症なのだろう。待合所でコーヒーを頂きながら出船を待った。

仕掛けと餌の付け方のコツ

(1)道具立てだが、竿はライトゲーム用7:3調子の2.4m(短い竿だと船下に道糸が入った時、糸が細いので船底に当たり切れてしまうことが多い)、オモリ負荷20~60号または80号までのもの。リールは中型両軸型、道糸はPEの1.5号(200m)、オモリ40~60号(潮流により80号を使い分ける)、道糸の先にリーダーとしてフロロカーボン6号1.5mを結び親子サルカンに直結(先糸の役目となり、仕掛けの幹糸の役目も兼ねる)、枝スは全長90cm、6号で75cmの所に親バリ・チヌの6号、その先にトリプルフック8号を結ぶ。捨て糸は根のないところでは3号、根があれば4号か5号を40cm。これが基本(仕掛けは船宿にある)。
(2)餌のマイワシの付け方だが、まずは手をイワシの入ったバケツの中に入れ、手を海水に馴染ませてからイワシを優しく握る。そのまま親バリを口の内側の上顎から刺し、目と目の間の固い部分にハリ先を出す。次にトリプルフックを尻穴と尻尾の間に刺す(背びれの後ろでもよい)。これを手早くやってイワシが弱らないよう、また鱗が落ちないようにやり、餌を元気に泳がせるのがコツ。

ヒラメ船は藤井俊輔船長
仕掛け図

期待と不安、船中第1号は惜しくもスッポ抜け!

まだ暗い船着き場に『長福丸』の大型船2隻が煌々と灯かりを燈していた。氷を貰ってスタッフと共に乗り込んだ。釣り人は我々の他は1人。藤井俊輔船長が舵を握り、午前5時30分に出船。この時期特有の強い北風に送られてヒラメの待って るポイントヘ向かった。僚船の灯かりがちらほら同じ方向に向かう。水平線に多少の明るさが出てくると同時に波頭に白さが見えて来た。船長は、船足を減速すると、船を風に対して直角に向け横流し状態にすると、船室から飛び出して素早く餌のマイワシをバケツに数尾ずつ入れて乗船者に配った。「オモリは40号でやってみましょう」と船長。我々は船尾とその隣に入った。私は先に紹介した仕掛けを出し、1.5号のPEラインにリーダーとして6号1.7mを繋いだ道糸に親子サルカンを直結した。
餌のマイワシをハリに付け、オモリは40号をセット。船長の合図を待って投入した。水深は16mとの事。餌のマイワシが弱らないようにリールのスプールを指で押さえてサミングしながら海底へ。底立ちが取れたらオモリを底から50cm程切った。暫くその状態で待つ。アタリがなければここから竿先をゆっくり1mほどシャクリ上げ、またゆっくり元の位置に戻し、時々タナを取り直す。
船長は、一通りの作業を終え、風や潮流を見ながら自らも竿を出した。スタートして間もなく、置き竿にしていた船長の竿先が海面に突っ込んだ。操舵室から飛び出してリールを巻く手に3人の目が集中した。しかし、弧を描いていた竿先がポンと跳ねて元の位置に戻ってしまい、船中第1号と思われたヒラメはスッポ抜けてしまった。仕掛けを上げて見るとイワシの両側面に歯型がくっきり残っていた。「小型のヒラメかな」と船長。

1投目、船長にアタリ
傷跡だけが残ったイワシ

喰わせから取り込みまでダイレクトの感触

7時過ぎには、ウネリも出始め波も高さを増して来た。その時、船底に流れ込む私の竿先にアタリ。船底への道糸を見ながら手を一杯に伸ばして次の引き込みを待つ。間もなく、一気に竿先が海面に持ち込まれ、同時に竿を立てた。満月になった竿からダイレクトの引き込みの感触に様子を見ながらリールを巻く、船長が大ダモを持って跳んで来て、「慌てないでリールを巻いて」とアドバイス。親子サルカンが見えてきたところで竿を置き、道糸を手に取った。“本命”のヒラメは船長の差し出してくれたタモに無事収まった。1kgに少し欠けるサイズだったが、兎にも角にも船中第1号だ。その15分後、船長の竿に再びアタリ。軟調の竿先が海面に突っ込む。船長、今度は相当慎重にリーリング。海面に茶褐色の魚体が滑るように浮いて来た。海面で暴れたがミヨシ(船首)から吉野慶さんが跳んで来て、無事タモ取りされたのは1.5kg位のまずまずサイズ。続いてミヨシの吉野さんの竿が弧を描いた。ググー、ググーと竿を持ち込むが引き込みはそれ程強くない。船長がタモ取りしたのは“ゲスト”のマトウダイだった。

LTのダイレクト感を十分に味わった!
肉厚の“寒ビラメ”
マトウダイはかなり美味しい“ゲスト”

シケの中、1kgオーバーもヒット!

その後、益々風が強くなって来た。船長が操舵室から顔を出し、「様子を見て上がるかも」と、早上がりを匂わす一言。少し灘寄り(岸側)に移動した。その直後、ミヨシの吉野さんにアタリが来た。波による船の揺れを交わしながらのやり取りの末、今度は1kgオーバーの“本命”を釣り上げた。
その直後、今度は、私の竿にゴツゴツとアタリ。少し竿を立て、次の喰い込みを待つ。この瞬間がヒラメ釣りの醍醐味であり心臓に悪い瞬間だ。ググーと竿先が持ち込まれたところで合わせるとガッチリとハリ掛かり。しかし、重量感がなく、難なく上がって来てしまったのは“本命”ではあったが、30cmソコソコの赤ちゃんヒラメ。よくもこのサイズのイワシを喰えたもんだと思いながら、「大きく育って又私の仕掛けに掛かってね」と願いながら海にお帰り頂いた。続いて同乗のスタッフの竿にも強いアタリ。道糸が船底を擦るように引かれたので船尾に回ってリーリング。「良型か?」。海面に浮いて来たのは良型は良型だったが、ブルーの胸ビレも鮮やかな45cm級のホウボウだった。それも尻尾に近いところにハリ掛かりしていた。直後にミヨシの吉野さんは、良型のアイナメをゲットした。

大型ホウボウは最高のオカズに!
“ビール瓶サイズ”のアイナメも
吉野さん、船長がWヒット!

船長も1.2kg級をゲット!

その後、ほんの少しだが風が弱まった。すると、再び吉野さんの竿先がギューと持ち込まれた。同時に竿掛けにセットされていた船長の竿先も海中に引き込まれた。船長は自分の竿をリーリングしながら先に上がって来た吉野さんのヒラメ(1kg弱)をタモに納め、再びリーリング。今度は吉野さんがタモを持って船長のヒラメをタモ取り。1.2kg級のまずまずサイズだった。その後、再び風が強くなりやむを得ず納竿した。
この日は、終日シケ模様だった上に数日前の雪代が入って底の潮が冷たかった。そのためか大型には出会えなかったが、釣れたヒラメはみな肉厚で脂の乗った絶品モノだった。日並みと潮ぐあいに恵まれれば確実に釣れており、1月23日には2~11尾、26日6~15尾、そして29日には7~19尾と連日大釣りが記録されている。絶品の“寒ビラメ”を狙うなら今だ!

良型ヒラメをキャッチ
俊輔船長も“肉厚寒ビラメ”をキャッチ
弟、大祐船長のフグ船も絶好調継続中!

(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)

今回利用した釣り船
千葉県大原港『長福丸』
〒298-0004
千葉県いすみ市大原9823
TEL:0470-62-0603
詳細情報(釣りビジョン)
長福丸ホームページ
出船データ
ヒラメ予約乗合
料金:氷・餌付 1万500円
出船:5時30分 沖上がり:11時30分
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