釣りビジョン

2013.5.1号

新明丸・神奈川県鶴見
東京湾のマゴチ、絶好のスタート!

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例年、葉桜の頃になると海も春を迎え、東京湾のマゴチが産卵準備のため浅場に乗っ込んで来る。釣り人の待ち望んでいたシーズン到来だ。既に2桁釣果も記録され、絶好のスタートを切った今シーズン。釣味と食味に“釣られ”て神奈川県・横浜鶴見『新明丸』に出掛けた。

都心から近くアクセスも抜群

マゴチはいる。
「喰い込んでくれれば…」
『新明丸』は、鶴見川下流に架かる潮見橋際にあり、JR鶴見駅からでも京浜急行・鶴見駅からでも徒歩5、6分。車なら首都高速横羽・生麦ICを降りて国道15号線を走って4、5分と実にアクセスの良い所。午前6時過ぎに着いた。荷物を店先に置いてから車を駐車場に入れる。潮見橋下流のコンクリート堤防を300、400m行った所が桟橋だ。係留されている船には釣り物の看板が出ている。船席は先着順にクーラーや荷物を置くルール。クーラーを担いだ釣り人が1人、2人と待合所カウンターで受け付けを済ませては桟橋に向かう。桟橋には3隻の黄色い船体が舫ってあり、少し離れた処にも同じ様に3隻が舫ってあった。「マゴチ」と書かれた看板のある船では、仕掛けの準備に余念のない釣り人が9人。船長の新明慶樹さんと上乗りの阿部隆行さんが出船の準備で忙しく立ち回っていた。

『新明丸』の店内
マゴチの船は外側
餌のサイマキを積み込む

餌はサイマキ(小型クルマエビ)

餌のサイマキ、「旨そう」
定刻の7時半、阿部さんが舫い綱を解く、期待と不安を抱いての出航だ。帆柱やアンテナ柱を倒した「第2新明丸」は、目前の橋下を潜る。橋桁と操舵室との距離は僅かだ。その先、2ケ所の橋を潜って東京湾に出た。船は一路東京湾の真ん中に浮かぶ第2海堡を目指す。1時間程で第2海堡が目の前に見える所で減速。餌は3匹ずつ配られていた「サイマキ」と呼ばれる小型クルマエビだ。夏から秋にかけての餌は、ハゼやメゴチだが、今の時期はエビを使う。

餌の付け方がキモ、餌付けに注意

ハリのチモトにヒュ-ズを5、6回巻いた15号のスズキバリにサイマキの頭の角先を折って、口の部分からハリ先を入れ、角の手前まで刺す。チモトのハリスを持ってぶら下げると、サイマキが泳ぐような姿に見える様にセットする。重要なのは頭の部分(脳)に刺さないこと、この部分に刺すとサイマキは死んでしまう。船長から「やって下さい。水深10m」のアナウンス。サイマキを海中に落とし15号の“三日月オモリ”を送り込む。オモリが海底に着いたら70cmから1m位巻き上げてアタリを待つのが基本。

マゴチの仕掛け
サイマキと“三日月オモリ”
仕掛け図

船中でバタバタとヒット!

「トモ(船尾)で来たよ」。船長の声に右舷トモに跳んで行くと、地元・横浜の小竹成二さんの竿が船縁に置かれ、上乗りの阿部さんが差し出したタモの中で褐色のマゴチが暴れていた、50cm弱か。暫くすると、竿を50cm位上下に誘っていた左舷ミヨシ(船首)の渡辺誠さんの竿が大きく煽られ、グイグイと引き込まれた。巧みな竿捌きで海面へ。阿部さんの差し出したタモに収まったのは、45cmオーバーか。その後、10分も経たない内に、またもや渡辺さんの竿にアタリ。今度は50cmオーバーをゲット。絶え間なく竿先を動かして、誘いを掛けている成果が出ている。魚体がスッポリ入るクーラーに、海水をいれてマゴチを放す。このクーラーBOXにはポンプが取り付けてあって、活かして持ち帰るよう工夫されていた。渡辺さんは、「折角釣ったマゴチを美味しく食べるために工夫した」と言う。確かに活かして持ち帰れば、マゴチの透き通った身の“洗い”や“刺し身”の味は一段とアップする。美味しく食べるには努力も工夫も肝心だ。

やったぜ、今日もオデコなし
「デカイだろう」
ポンプを付けたクーラーで活かして持ち帰る

「マゴチ20」の格言を守ったが…

またバレた
マゴチ釣りは今回が初めてと言う右舷ミヨシの西尾清さん。釣り場に着いた時、餌の付け方やタナ取りのレクチャーを受けていたが、9時過ぎに「来ました」の声。
必死のリーリング、グイグイと竿を持ち込まれるが無事タモに収まった。デカイ!50cmは優に超えている。阿部さんが発砲スチロールの箱を持って来てくれたが、中に放すと頭と尾がやっと収まる位のサイズ。今度は、「オデコになったことがない」と言っていた右舷トモの小竹さんにまたまたアタリ。慣れた竿捌きで40cmオバーが取り込まれた。左舷から「来たー!」の声に振り向くとトモで白い竿が弧を描いている、左舷の皆の注目を浴びた途端、ポンと竿が戻ってしまった、「合わせが弱かったかも」と船長。右舷では胴の間(中央)の三田秀穂さんがアタリを取り損ね「喰いこみが悪い」と嘆く。 私は遥か昔に買った2.4mのマゴチ竿を出した。PE2号の道糸にヨリモドシを結び、“三日月オモリ”をセットして『新明丸』特製の仕掛けを付けた。サイマキを丁寧にハリに刺し海中へ。潮の流れを考慮してタナを70cm程に取る。餌が底を少し切る位だ。竿掛けにセットしてカメラを持って船の中を見て廻る。しかし、誰にもアタリがない。席に戻り竿を持つ。タナを取り直して待つと“コツン”と明確なアタリが手に伝わってきた。「マゴチ20」の格言を思い出しながら引き込みを待つ。竿先が何度か揺れる、もう「少し喰い込め!」と祈る気持ちで待つ。頃合いを見てエイッとばかり竿を立てる、竿先にグイッと重み。リールのハンドルを巻く、2、3回リーリングしたところで竿が爆ぜてしまった。痛恨のバラシ。「合わせが弱いよ」と操舵室の窓から顔を出した船長の声が飛んで来た。トモから2番目の瀬戸内明友さんも「アタリはあったが喰い込まないよ」とボヤく。

喰い込みが良ければ釣果はもっとUP

正午過ぎ、千葉県・内房の“大貫観音”が見える大貫沖に移動した。水深は13mと少し深い。移動して間もなく右舷トモの小竹さんが50cm弱をゲット。小竹さん既に3尾を釣っていた。ミヨシから2番目の三田秀穂さんが30cm級を釣ったが「小さいから放流」と言って海に帰していた。左舷の渡辺さん「久し振りに当たった」とリーリングしていたが、釣れて来たのは、やはり30cm級。「大きくなってから掛かって来い」とこちらもリリース。右舷ミヨシの西尾さんも久し振りに当たったと竿を立てたが、引き込みが強くなかなか上がってこない。グイグイと竿を〆こむ、デカイか?と注目したが、マゴチの引きにしては強過ぎる。上がってきたのはエイだった。「当たってるよ~」と言う船長の声に、席に戻り竿を手に取ると既に軽くなっていた。右舷トモから2番目の橋本賢一さんが「バラシ続きだったけど、やっと喰い込んだよ」とタオルでマゴチを抑え込んでいる。トモで「バレたッ!」、その裏で「喰い込まない」の声の連発の中、左舷胴の間の土屋正樹さんが4尾目を、小竹さんも4尾目をゲットしたところで沖上がりの時間を迎えた。
結局、小竹さん、土屋さん、三田さんの3人が其々4尾で同点竿頭、渡辺さんが3尾、橋本さんとマゴチ初めてと言っていた西尾さんが2尾ずつで船中19尾。残る4人は涙を飲んだ。「全部取り込めてれば…」は欲張りなのか。
船長は、「これからは潮温も安定して、釣果も安定してきますよ。今シーズンは魚影が濃いので、条件さえ良ければ初心者でも美味しいマゴチが食べられますよ」と太鼓判を押していた。

この日のトップ
ほれ、この通り
新明慶樹船長

(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)

今回利用した釣り船
神奈川県鶴見『新明丸』
〒230-0051
神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央5-13-24
TEL:045-501-2081(定休日:毎週木曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
新明丸ホームページ
出船データ
時間:午前7時30分出船
乗合船:9,000円
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