釣りビジョン

2013.9.1号

渡辺丸・千葉県江見太夫崎港
千葉県・江見沖でクロムツ→オニカサゴのリレー船!

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千葉県、房総の江見吉浦港『渡辺丸』で、高級魚のクロムツが、水深100m前後の浅場で釣れると聞いた。クロムツは通常水深200~300mの深場の釣りだが、手軽なフラッシャーサビキで釣れ、条件が良ければ2桁釣果も夢ではないと言う。更に超高級魚のオニカサゴもリレーで釣ってしまう夢のコラボレーションだ。オニカサゴは自分で釣らなければ食べられない超高級魚。鍋、刺し身、シャブシャブ、ヒレ酒と皮、内臓全て美味しく戴ける魚でもある。まさに“1粒で2度美味しい”リレー船。是非体験したいと22日(木曜日)出掛けた。

目印は“道の駅”『鴨川オーシャンパーク』

東京湾アクアラインから館山自動車道に入り、君津ICで降り、房総スカイラインを通って国道128号線を館山方面に向かう。途中、鎌倉時代の源頼朝伝説で名高い仁右衛門島を左に見て、2、3分走ると“道の駅”『鴨川オーシャンパーク』が目に飛び込んでくる。そこを左折すると江見吉浦漁協事務所だ。傍に共同の釣り船専門駐車場が有る。荷物を岸壁に降ろしてから駐車すれば良い。

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クロムツ仕掛け
クロムツ仕掛け図
中村さん目測35cm

クロムツの3点掛け
オニカサゴ仕掛け図
オニカサゴ・クロムツ。口をあんぐり

朝、暗い内は水深95mでクロムツ狙い!

前日連絡すると、渡辺英雄船長から「午前4時に来て下さい」との事。房総の朝は早い。帰りの事を考え、近くの民宿に前泊する事に。素泊まり3000円は有り難い。
当日は、大型船に私を含め2人での出船となった。午前4時過ぎ、船の照明と町の僅かな明かりが漏れる中、真っ暗な海にレーダーを回しながら出船。30分程でポイントの太海沖に着いた。辺りはまだ暗い。
「水深は95m、底を1m程切って」とのアナウンス。船の明かりを煌々と点けたまま、フラッシャーサビキをセットして釣り開始。第1投、右舷ミヨシ(船首)に座った唯一の同乗者・中村さんの上バリに30cm級のアジと下バリに“本命”のクロムツが掛かって来た。幸先の良いスタートだ。渡辺船長も舵を握りながら釣りに参加。船長の第1投はアジ2尾とクロムツ。中村さん、今度は40cm級の大アジが釣れた。アジに交じってクロムツが釣れるパターンの様だ。私も急いで仕掛けを降ろした。フラッシャーサビキの上部にアジが鈴なりで、一番下のハリにクロムツが1尾付いていた。中村さんが35cm前後の良型クロムツを取込んだ。一時、大型アジが入れ喰いになった。辺りが明るくなるにつれ、狙う水深も段々深くなっていく。私の仕掛けの下2本のハリがいつの間にか鋭いクロムツの歯で千切られ、ハリが無くなっていたが、全て取り換えるのでは勿体無い。サビキを逆に付け直し投入した。水深は160mm。直ぐにガクガクとアタリ。慎重に巻き上げると、下のハリにクロムツが3尾付いていた。サビキを逆にして下バリ5本確保したのが大成功。合計4尾の黒ムツを手にした。明るくなるにつれ、クロムツのタナも更に深くなった。
「クロムツは、夜餌を求めて浅場に上がって来て捕食し、陽が昇るにつれ段々深場に落ちて行く」と船長。クロムツは、暗い内が釣り時。明るくなって水深も200mを超えたら、次のターゲットの“鬼退治”にバトンタッチすると言う訳だ。

渡辺船長最初に釣った良型オニカサゴ
釣れたサバを船上で餌作り
赤イサキのダブル

目測1.2kg級の“大鬼”!

8時、オニカサゴ釣りに転向。餌は現地調達。クロムツに交じって釣れたサバを各自で短冊状に切って準備。これほど新鮮な餌は無い。
水深は110m。第1投から船長に良型オニカサゴが上がった。私は赤イサキのダブル。中村さんにも“中鬼”が上がった。船長は「オニカサゴは、朝の内はあまり良くない」と言う。そんな中でも場所移動する度にオニカサゴが釣れて来た。中村さんに目測1.2kg級の“大鬼”が上がった。ガッチリハリが呑みこまれ、ハリ外しに手間取っている。私にもガクガクッと強いアタリが来て、竿を立てて合わせると強烈な引きに“大鬼”を予感したが、上がって来たのはムシガレイと“中鬼”のダブル。
オニカサゴは、最初のアタリが小さく、良く竿先を見ていないと、見落とす場合がある。気が付かないでいると、根に入られ万事休すとなる。又、根の起伏も厳しく、2回も根掛りさせ、仕掛けをロスしてしまった。1度は、微かなアタリで合わせると、ガクガクッと強い引きで、「根掛りか?」と思う程竿が立たない。僅かながら巻けるが、ググッと道糸が出て行く。10m程やり取りして上げて来た所で、ポーンと竿が跳ねてハリス切れ。船長は「メダイではないか」と言う。見ると、ハリスが根擦れでザラザラになっていた。オニカサゴばかりではない“根魚”狙いは、何が潜んでいるか解らない。
最後の流しで、小さく竿先にククッと魚信。一呼吸入れ竿を立ててリーリングに入る。リールを巻いている時、「アレーッ、外れたかなー?」と不安になる程抵抗無く上がって来たのだ。オニカサゴのパターンは途中では余り暴れないが、残り40~50mで急に暴れ出す。それが“鬼の印”。4尾目をゲットした。

オニカサゴ仕掛けとオモリ150号
ムシガレイと“中鬼”の一荷
中村さん目測1.2kg

中村さん、“大鬼”“中鬼”
好調の“中鬼”
“中鬼”退治

途中で1度仕掛けを変えるだけで楽しめるリレー船

この日の釣果は、クロムツ30~34cmを2~4尾にアジが10~18尾。オニカサゴは0.5~1.2kgを2~4尾。“高級食材”を1日で調達出来たのだから嬉しい。季節により釣り物の組み合わせは変わるとの事。
「初めての人は、道具や釣り方等を考えてしまいハードルが高くなって入り難いでしょう。手ぶらで来て下さい。電動リールは竿とセットで20台分揃えて待っています。無料でお貸ししています。仕掛けのフラッシャーサビキも無料です」と渡辺船長。その人柄から多くの人にこの釣りを楽しんで貰いたいとの思いが伝わって来た。

(釣りビジョンAPC・飯妻武夫)

今回利用した釣り船
千葉県江見太夫崎港『渡辺丸』
〒299-2866
千葉県鴨川市江見吉浦128
TEL:04-7096-0390
定休日:第3土曜日
詳細情報(釣りビジョン)
渡辺丸ホームページ
出船データ
完全予約乗合
クロムツ→オニカサゴリレー船・クロムツ→スルメイカリレー船
出船:午前4時 納竿:午前11時
料金:1万円(氷付き)
貸し道具:貸し竿・リール(手巻き・電動・アコウ用電動)無料
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