釣りビジョン

2013.9.15号

野毛屋釣船店・神奈川県金沢八景
東京湾・フグのカットウ釣りに午後船で挑戦!

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猛暑も一段落、朝晩の空気も爽やかになって来た。沖釣りには最高の季節の到来だ。「釣りの妙味」と言う事なら、東京湾ではフグのカットウ釣りが屈指の存在。神奈川県・金沢八景『野毛屋釣船店』は、初代が東京湾でのフグ乗合船を開拓したと言う老舗中の老舗である。午後釣りの船を出していると聞き、7日(土)に出掛けてみた。

午前船のアジ船、11~46尾の好成績!

これが船座席札、先着順に取る
『野毛屋釣船店』は、国道16号線から海側に入った平潟湾に注ぐ六浦川に架かる八景橋の際にある。京浜急行・金沢八景駅からも徒歩5、 6分だ。午後船は12時30分の出船と聞き、午前船のライトアジの様子も見て見ようと11時前に着いた。荷物を降ろし裏通りの駐車場に車を入れる。店先に「フグ」、「アジ」、「一つテンヤ・マダイ」船の座席札が掛かっていて、早く来た順に座席札を取るルール。9月1日から6日まで地域の“潮祭り”と船宿の夏休みで1週間振りの出船との事。11時半近く、「アジ船が上がって来たよ」と言われ、釣果を見に桟橋に行く。様子を聞くと「大小交じりで11~46尾」との事。クーラーの中を見せてもらうと20cmから30cm級の丸々と太ったアジが、胸鰭をピンと張り銀色の魚体輝かせていた。「うーん、午前のライト・アジも乗るべきだったか…」。

ここが『野毛屋釣船店』
まるまる太ったアジの釣果
午前のアジ成果です

エビ餌はキチンと付ける!

桟橋に横付けしています
定刻の12時30分には私を含め4人が乗船した。左舷トモ(船尾)には、毎週来てると言う遠藤温さん(横浜市)、右舷トモは宮脇義男さん(練馬区)、左舷の胴の間(中央)には黒川勇次大船長の娘婿・鈴木伸幸さん、私は右舷のミヨシ(船首)に座った。船上で餌バリに付ける冷凍のアルゼンチンエビが配られた。餌入れの中に朱色のエビが12尾入っていた。
黒川俊之船長が舵を握り、舫い綱が解かれた。平潟湾を出る。中の瀬に出ると心地よい北風が背を押してくれた。1時過ぎ、釣り場の大貫沖に到着。釣り人の手がせわしなく動き出し、フグをおびき寄せる付け餌をセットする。エビの頭をもぎ取り、殻を剥き、尻尾の2節程を残す。尾羽をもぎ取り、もぎ取り口から餌バリを刺す。ハリ先を背中の殻に抜き、ハリ先を回転して再び殻側に抜き刺す。エビが真直ぐになるようにセットする。付け方が悪いと餌だけ取られてアタリがわかり難い。餌の付け方が分からない時は、船長に聞けば親切に教えてくれる。これがキモなので、決していい加減にしてはいけない。「水深は10mです。竿先は目線に保って下に向けないようにして、静かに誘うようにー」と船長からのアドバイスと共に釣り始めた。

餌のアルゼンチンエビ
エビはこうやってハリに付ける
ハリを背中に貫く

船中初獲物は30cmオーバーのサバフグ

エビを付けたカットウ仕掛けを前方へチョイ投げ、オモリが底に着いたら竿先を目線の高さにして道糸にテンションの掛からない程度に保つ。間を持って静かに50cm程シャクる。そしてオモリの重さでゆっくり沈めていく。基本的な釣り方は、この繰り返しである。シャクリのタイミングは5、6秒間隔だが、潮の速い時は少し間隔を短く、潮が流れていない時は間を長くするのが原則だ。
船中、中々アタリが来ない。開始から20分程経った頃、「トモで掛かったよ」と言う船長の声に跳んで行くと、宮脇さんが30cm級の黄金色のサバフグをぶら下げていた。そして左舷の遠藤さんにもアタリ。こちらも少し小振りのサバフグだった。黒川勇治大船長に教わったと言う手製の仕掛けで誘っていた鈴木さんは、「アッ、アタリを取り損ねた!」と悔しい表情。

手作りの秘宝のカットウ仕掛け
これが釣れるカットウ仕掛け

「竿先は目の高さに!」と船長からアドバイス

私も竿を出した。1.9mのフグ竿に小型両軸リール、道糸はPE0.8号、竿先の絡み防止にフロロカーボン4号を1m先糸にして“野毛屋特製”10号のカットウ仕掛けを結んだ。潮が濁っているのでオモリの色は蛍光のオレンジを選択。チョイ投げでオモリの着底を待つ。糸フケを取り、竿先を斜め下にしてアタリを待つ。50cm程シャクリ上げては静かに仕掛けを落とし込む。喰いの良い時はここでアタリが出るのだが…と思っていると、船長が「竿先は目線より上で、オモリが着底したら一呼吸待ってゆっくりシャクって!落とし込みはゆっくり」とアドバイスをくれた。つい、千葉・外房や茨城・鹿嶋でのフグカットウ釣りスタイルになってしまっていた。

仕掛け図
竿先は目の高さに
目線からシャクリ上げる

“本命”のショウサイフグが来た

今日随一の30cm強のショウサイフグ
「やっと来ました!」と鈴木さん。竿が小気味よく弧を描いている。しかし、“ゴクンゴクン”と引き込みながら上がって来たのは30cm弱のサバフグ。右舷の宮脇さんから「“本命”、“本命”!」の声。カメラを持って駆け付けると、黒い斑点に白い枠の模様を光らせた30cm強のショウサイフグ。バケツに入れられると大きく暴れた。これがこの日の唯一の“本命”となった。遠藤さんの竿先にアタリ。竿が半月に曲がり、上がって来たのはベラの腹掛け。鈴木さんにもベラ。船長から移動の合図が出た。

“ゲスト”は多彩だったが…

移動後、上げ潮も効いて来たのか全員にアタリが続いたが、全て30cmのサバフグ。私にもコツンとアタリ。竿を立てればよいのだが、ついカットウに引っ掛けに行ってしまい空振り。餌が半分千切られている。遠藤さんが型の良いカワハギを取り込む。宮脇さんは大きく投げて、聞くように間を取ってシャクっている。遠藤さんも10m位投げて竿先を立て道糸と竿先を90°位にしてシャクリながら手前に寄せてくる。鈴木さんはチョイ投げして竿先を立てアタリを待つ。遠藤さんの竿が大きく曲がるのが見えた。竿を置き、カメラを持って跳んで行く。取り込まれたのはワカシ。「今日は“五目釣り”だよ」と笑う。「トモで引いてるよ」の声に少しリールを巻いて跳んで行く。30cmオーバーのサバフグがお腹を膨らませて上がって来た、サバフグ独特の腹トゲを出している。鈴木さんの竿が引き込まれたがリーリングの最中に竿先がポンと跳ねた。「バレたぁー!」。上げるとカットウバリがない。タイミングによりフグの口に掛かったハリのハリスをかみ切ってしまうのだ。

カットウに掛かったベラ
型の良いカワハギも

終盤にサバフグの入れ掛かり

左舷側に潮が払い出して仕掛けが前方に流れ出すと、25~30cm級のサバフグが次々に上がってくる。私の竿にもコーンとアタリ。竿先を上げるとグーグーと引き込む。リーリングする手に重みが伝わってきて来た。白色の腹にカットウバリが刺さっていて海面で暴れた。デカイ!30cmオーバーだ。鈴木さんは海面でバラしかけたが、残りの餌を追って来たフグをハリ掛かりさせ見事ゲット。フグの獰猛さを垣間見た。遠藤さんも型の良いシロギスやカワハギを交じえながらサバフグを取り込んでいる。餌取り上手なフグに、宮脇さんや遠藤さんは配られた餌を使い果たし、エビの追加購入。また私の竿先に異常を感じる。リーリングすると竿先が引き込まれたが、先程より軽い。少し小振りのサバフグ、2尾目をゲット。
「後少しで上がります」との船長アナウンスに時計を見ると4時を過ぎていた。竿先に集中していると時間が経つのが早い。納竿間際、入れ掛かりタイムとなった。少し前方に投げ、シャクリながら聞いて来ると30cm前後のサバフグが竿先を揺すった。もっと早くこの時がと思ったが「終わります」の合図。3人とも20cm級を放流してクーラーに収まったのは26~35cmを10~12尾。

良型をゲット
サバフグだけど良い型でしょう
こっちも負けてない良い型でしょう

釣ったフグは、処理師免許を持った船長が捌いてくれる

黒川俊之船長は魚探でポイント探し
釣ったフグは、処理師免許を持つ黒川俊之船長が捌いてくれる。「家に帰ったらよく洗い、ぶつ切りで鍋に。三枚に下ろして天ぷらやみりん干し、大葉やネギミソで叩いても旨いよ」と教えてくれた。
今後の見通しを聞くと、「今年の夏は暑かったせいかショウサイフグは、遅れ気味ですが、これから秋風が吹いて来るとサバフグは湾奥に入って行き、代わりに外洋からショウサイフグが入って来ます。これからが本番なので期待して貰っていいですよ」と話してくれた。

(釣りビジョンAPC・倉形 金幸)

今回利用した釣り船
神奈川県金沢八景『野毛屋釣船店』
〒236-0076
神奈川県横浜市金沢区柳町7-5
TEL:045-781-5964
交通 電車:京浜急行 金沢八景駅下車 徒歩6分
   車:横浜横須賀道路・朝比奈IC16号線右折直ぐ左折
定休日:毎週木曜日
詳細情報(釣りビジョン)
野毛屋釣船店ホームページ
出船データ
釣り物:フグ・ライトアジ・一つテンヤタイ
料金:フグ 日中釣り 9,000円(餌付、氷別200円)
      午後釣り 6,000円(餌付、氷別200円)
      エビ餌追加料金10尾500円(船中購入可能)
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