釣りビジョン

2013.11.15号

深川 吉野屋・東京都深川
チャンス到来!東京湾奥のトップウォーターゲーム

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海面でバイトするトップウォーターゲームは特別な興奮がある。しかし、中層やボトムの釣りに比べ“トップ”で狙えるチャンスは少ない。ところが、そうした状況が今、東京湾奥で繰り広げられていると聞いた。イワシなどのベイトフィッシュが湾奥まで回遊、これを狙ってイナダ・ワラサ、サワラ、シーバスなども湾の奥深くまで入り込んでいるという。ショアからのシーバス経験はあるものの船での釣りは初めてだが、「今がチャンス!」と8日、東京・江東区、木場『深川 吉野屋』へ出掛けた。

レンタルタックル完備!

ルアータックルを持っていない私は、キャスティング用のスピニングタックルを1組借り、ベイトタックルはマルイカ竿で代用した。『深川 吉野屋』はレンタルタックル完備、メタルジグやミノーなどのルアーも揃っているので安心して出掛けられる船宿だ。持参したルアーは、かつて使用していたフローティングミノーとバイブレーション。ベイトタックル用のメタルジグは40~60gを数本用意した。

乗船場・待合所
待合所で販売されているルアーやフック

魚の前に私が喰いつきそう!

佐久間誠船長
『深川 吉野屋』は、かつては材木運びに使われていた木場の運河沿いに乗船場がある。首都高速のIC(木場、枝川)からも近く、東京・武蔵野市の自宅を午前4時半に車で出発すると、1時間足らずで到着してしまった。
出船1時間前の午前6時。船上では既に何人もの釣り人が準備を進めていたが、餌釣り船に比べ、のんびりとした雰囲気に新鮮さを覚えた。準備を済ませ、周りのルアー見て、その美しさに驚いた。カラフルなもの、リアルなもの、光の当り具合によって反射が変わるオーロラカラーも多い。魚が喰いつく前に、釣具店に行ったら、私が喰いつきそうなものばかりだ。
11人の釣り人を乗せ、定刻に出船。運河を進むと背の高いビルが立ち並んでいるが、驚くほど静かだ。前日の強風のせいか空気も澄んでいるようで実に清々しい朝、何か得をしたような気分になった。

先ずはシーバス狙いでスタート!

航程1時間程で千葉県側・稲毛沖に到着。潮色はうす濁りで水深は8m。先ずはシーバス狙いだ。「ボトム付近に反応があります。スピンテールかバイブレーションで探ってみて下さい」。舵を握る佐久間誠船長の合図と共に全員がルアーをキャスト。東京湾の乗合船では、ほとんどの船宿で安全の為、アンダーキャストが義務付けられている。着底後糸フケをとりロッドワークのみでリフト&フォール。リフトした竿先にテンションを掛けながらカーブフォール。しばしの沈黙から数分後、最初にヒットしたのは右舷ミヨシ(船首)の森誉史さん。小気味よい魚の引きと共にスピニングロッドが曲がり、53cmのシーバスが上がった。続けて30cm程の小型のシーバスを追加。「フォール中のバイトでした」と森さん。しかし、後が続かない。船長は魚探反応や鳥山を探して頻繁に船を移動するが、稲毛沖では小型のシーバスとアジ、サバが数匹ずつ釣れただけ。午前9時半頃、浦安沖で小型のシーバスがバタバタと釣れ、船中が活気付いたが、これも続かなかった。理想の展開としてはボトムの反応を探りながらのナブラ撃ちで“青物”も、というが、幾つかのナブラを狙ったがトップどころかルアーへの反応は全く無かった。
正午近く、大きく羽田沖へ移動。羽田空港を発着する飛行機が何機も頭上を通っていく。初めての風景に気分は良かったが、魚は釣れない。船長は何度か群れを探して移動するが、ここでは船中型を見ることが出来なかった。

ファーストフィッシュをキャッチした森誉史さん
森さんの友人、内大久保裕司さんは親子で乗船

クライマックスは突然に

午後1時頃、東京湾アクアラインの『海ほたる』の近くへ移動。エンジンを停止して待つ事1時間。静かだった海面がざわつき始めた。いよいよチャンスタイムである。船の周りであまり大きなナブラではないが、広い範囲で魚の群れが浮いたり沈んだりしている。全員がナブラに向かって夢中でキャスト。しかし、ペンシルベイトなどのトップウォータープラグには反応がない。この状況を見てサブサーフェイスに狙いを切り替えた人にイナダがヒットし始めた。「来た!」。船内のあちらこちらで歓声が上がる。見ているとロングキャストの後、ほぼノーアクションで高速リトリーブ。メタルジグで中層を狙うのも同様なのだとか。その為ヒットはかなり衝撃的に竿先を引っ手繰る。釣れたイナダは丸々と太っている。全長50cm弱だろうか、脂の乗っていそうなイナダばかりだ。そんな中、「今回が船釣り初挑戦」と言っていた内大久保順一さんが、ジギングで船中初のサワラ(全長55cm)を釣り上げ、嬉しそうな笑顔を見せた。
そして、最後を締めくくったのは、船中初のシーバスを釣り上げた森さんだった。ロッドは大きく弧を描き、乾いたドラグ音が響く。数分のやり取りの後、船長の差し出すタモに収まったのは、この日一番のビッグフィッシュ、全長77cmの見事なサワラだった。

良型のイナダ
丸々と太っているイナダ
メタルジグにヒットしたイナダ

内大久保順一さんはサワラをキャッチ
全長77cmの見事なサワラ
内大久保さん親子の釣果、土産は十分

序盤・中盤の釣りで苦戦した理由

サワラが吐き出したシラス
船長に、序盤・中盤の釣りで苦戦した理由を聞いてみた。「ベイトが散ってしまったか、もしくはベイトが小さかった」との事。確かに、内大久保さんが釣り上げたサワラは4cmくらいのシラスを吐き出していた。「10月後半の台風ラッシュの後にイワシを中心にサイズの大きいベイトフィッシュが回遊してきた事が、トップやミノーゲームを成立させた理由」と言うのが船長の見解。台風前はシラスサイズのベイトフィッシュが多かったそうだ。やはり“マッチザベイト”という事なのだろう。また、前日に強い南風が吹いており、これも影響したのかもしれない。

※タックルについて

仕掛け図
釣行中、船長からアドバイスがあった。魚探の反応や鳥山を見つけて船を止めた後、「まずはトップウォーターのルアーをキャストし、魚の反応がなければメタルジグで中・低層を狙うとよい」。スピニングタックルのみでルアーを交換してもよいが、スピニングタックルとベイトタックルの両方を用意した方が効率的だ。ルアーについては、ビッグフィッシュをキャッチした森さんに聞いた。「実績のあるルアーとしては、バイブレーションのアイアンプレートとスピンテールの湾ベイト、今回の“当たりルアー”は8~9cm・40gのメタルジグ」との事。最低でもトップウォータープラグ、スピンテールジグ、もしくはバイブレーションプラグ、メタルジグの3種類は用意したい。
残念ながらこの日はトップウォーターには無反応だったが、これも状況次第。
まだまだ“青物”の魚影も濃く、ベイトフィッシュも多い。東京湾奥のキャスティング&ライトジギング、暫くは楽しめそうだ。

(釣りビジョンAPC・野中篤)

今回利用した釣り船
東京都深川『深川吉野屋』
〒135-0042
東京都江東区木場6-12-7
TEL:0463-21-0904(定休日:毎週火曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
深川吉野屋ホームページ
出船データ
(料金)
男性・9,000円、女性&高校生・7,000円、中学生以下・4,500円
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