釣りビジョン

2013.12.1号

第三松栄丸・千葉県大原港
今シーズンも絶好調!LTで狙う千葉県・大原沖のヒラメ

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ここ数年、ヒラメをライトタックル(LT)で狙う釣り人が増えたと聞く。LTヒラメ専門の乗合船でなくても、標準的なタックル(大原ではオモリ80号が基準)に交じってLT(オモリ40~60号)でヒラメを狙うことが出来ると聞いた。今シーズンも絶好調な大原沖でLTヒラメに初挑戦してみようと、11月20日、『第三松栄丸』へ出掛けた。

まずはタックル選びに悩む

仕掛け図
大原のヒラメ船は基本的に横流し。右舷と左舷で釣果に大差が出ないように、船を潮流に対して横方向で流し、流し替え毎に船の向きを変える。この為、潮流と風の加減で道糸が内向き(船下方向)か、外向きの斜めになる。LTヒラメには、道糸が内向きになる流しの時を注意してタックル選びする必要があることは想像出来たが、手持ちのタックルからロッドとリールを選ぶのに悩んでしまった。短すぎる竿や柔らかすぎる竿では、道糸が船底を擦ってしまう。また、道糸も太すぎると潮切れが悪く、細すぎると強度が問題となる。結局、竿は2.2mの6:4調子、リールは6本撚りPEライン1.2号が巻いてあるものを選んだ。

きれいに清掃・整頓された船上

出船準備が始まる
圏央道の東金JCT~木更津東IC区間が開通、大原へのアクセスが向上した。横浜からだと、アクアライン→ 圏央道(市川鶴舞まつIC)のルートで、1時間30分程度。自宅の武蔵野市からでも2時間弱で大原港に到着してしまった。
港で釣友の野口壮一さんと合流、車外に出ると、天気予報通り西風が強めに吹いていた。釣行日の前日と前々日も西風が強く、海の状態はかなり悪かったようだ。海上でのウネリと波を想定し、厳重に合羽を着込んで釣り支度を整えた。 出船1時間前の午前4時頃、中井英明船長と息子さんの椋介さんが港に現れた。電灯を点し、出船の準備を始める。船上は驚くほどきれいに清掃されており、備品が整頓されている。各釣り座に置いてある桶の下には滑り止めのマットが敷かれていた。きれいな船はなんとも気持ちがいい。

やや静かなスタート

私と野口さんの他に、釣り人は7人。LTは私と野口さんの2人だけ。午前5時、笑顔の女将さんに見送られ、河岸払い。釣り場までは港から20分程度で着いてしまった。上乗りとして乗船している椋介さんが餌のイワシを数匹ずつ桶に配ってくれ、船長の合図で一斉に仕掛けを投入した。
早朝の“荒喰い”に期待したが、開始から1時間の間に船中で取り込まれたのは、ヒラメが2匹とイナダが2匹。

まだ真っ暗な海でヒラメからのアタリを待つ
船中最初の1匹
船中2匹目は夜明けに

初めてのLTヒラメ、怒涛の4連チャン!

野口さんがLTでキャッチ
午前6時半頃、私も竿を出した。さあ、いよいよ初めてのLTヒラメにチャレンジだ。船長のアドバイスを受け、道糸が外向きになる流しでは50号のオモリ、内向きになる流しでは、風の強さを考慮して80号のオモリを使用することにした。 第1投目、海底にオモリが着いたら50cmほどタナを切り、波の加減でたまにオモリが底を叩くように保ち、マメにタナを取り直す。しばらくしてイワシが暴れる気配の後、最初のアタリが出た。聞き上げるように少し竿を立て、“本アタリ”を待つが、ガクガクと竿を震わすだけで一向に引き込まない。30秒以上待っただろうか。辛抱たまらず、軽い合わせと共にリールを巻いた。腕を伸ばした片手で竿を持ち、ラインが船底を擦るのをかわしながらリーリング。やはり、LTは魚の引きが伝わりやすく、気持ちがよい。
これが怒涛の4連チャンの始まりだった。最初のヒラメから2時間弱の間に、やや小型ながらも3匹のヒラメを追加した。しかも、使ったイワシは5匹、仕掛けも1つだけだ。私自身記録に残る“高打率”に、途中死んでしまって交換した1匹のイワシが悔やまれる。この打率は軟調のLTロッドによるものだと思いたいが、理由は定かではない。
「今日は、1人爆釣かも…」と思ったが、そうはうまくいかなかった。午前9時前にはアタリが極端に遠のき、その後、沖上がりまでにイナダを1匹追加するのみとなってしまった。同じくLTにチャレンジしていた野口さんは、ヒラメを1匹取り込んだが、バラシやアタリだけで喰い込まないことが連発していた。私が取り込んだ4匹のヒラメもタモに入るとすぐにハリが外れてしまったことから、活性が低く、喰いが浅かったのかもしれない。

大原のヒラメは今シーズンも絶好調!

人柄の良い中井英明船長
終盤に差し掛かった午前10時頃、ここまでの状況を船長に聞いてみた。「この前の日曜日や昨日に比べ、アタリが極端に減り、状況が急変して悪くなった」とのこと。日曜日や昨日は移動するとすぐにアタリがあり、良い流しでは1流しで船中10匹くらいのヒラメが釣れたそうだ。「今日は根の周りに差し掛かったところで、やっとポロポロとアタリが出る程度で食い込みも浅く、掛かりが悪い」とのこと。この日の海水温は17.5度で、前日よりも1.5度近く下がっていた。これが要因である事は間違いなさそうだ。しかし、私は「十分に釣れているのに…」と言うのが素直な感想。裏を返せば、今シーズンの大原沖のヒラメはそれ程好調だと言う事なのだろう。

最終的に十分満足な釣果

この日の竿頭は、良型2匹を含む5匹のヒラメを釣り上げた柴田さん。次頭は4匹が2人。最後の流しでは、2.5kgの良型ヒラメも取り込まれ、9人の合計は21匹。“ゲスト”には、5kg近いヒラマサが1匹と、数匹のイナダが上がった。
例年、大原ではこれから“渡りヒラメ”のシーズンに入り、イワシの群れを追う大型のヒラメが釣れ始める。時には4kg、5kgの“大判”が船中何匹も釣れるようになる。今後が大いに楽しみだ。

竿頭の柴田さん
沖上がり10分前に上がった2.5kgのヒラメ
大型のバラシのすぐ後に上がった良型ヒラメ
4kg以上はあるヒラマサ

※『第三松栄丸』でのLTヒラメ

左から、船長、椋介さん、いつも笑顔のおかみさん
『第三松栄丸』は、積極的にLTに取り組んでいる。船長はヒラメ釣りに熱く、LTにも詳しいので、釣行前にLTのタックルや釣り方に悩んだら、船長に相談するとよい。『第三松栄丸』では、釣り人が少ない(5人以下)場合は、基本的に片舷流し。LTの釣り人が片舷流しで釣る場合、道糸が常に外向きになるように釣り座を配慮してくれるとの事。予約の時、LTの希望を伝えておく事をお勧めしたい。

(釣りビジョンAPC・野中 篤)

今回利用した釣り船
千葉県大原港『第三松栄丸』
〒298-0003
千葉県いすみ市深堀45
TEL:0470-63-0085
詳細情報(釣りビジョン)
第三松栄丸ホームページ
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