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第1回新潟県・港湾施設における釣り問題研究会

 平成21年2月17日(火)、新潟県庁警察庁舎において、「第1回 港湾施設における釣り問題研究会(以下研究会)」が発足した。

 研究会は、有識者や弁護士、新潟県内の港湾エリアを管理・警備する機関、そして(財)日本釣振興会・新潟県支部などの関係者らで委員が構成され、さらにオブザーバーとして新潟県沿岸を警備する第九管区海上保安本部や県水産課、漁港課、河川管理課などが加わっている組織。座長は明治大学法科大学院教授の西埜章氏に決定。座長は研究会の冒頭で「私は釣りをしないが、海釣りを趣味とする旧友が居て、釣り場規制の厳しい地域に住むその友人曰く『定年後の楽しみが奪われている。幸福権の追求を奪われているのではないか』と嘆いている。滋賀県でも釣った魚の扱いに対する条例に対して訴訟を提起した例もある。釣り人の心情としてはそれほどの大切なものと捉えられる。一方、港湾施設を管理する立場からは安全性の確保には限界がある、という意見もある。なかなか難しい問題ではあるけれども、出来れば釣り愛好家の心情を察した良い案が出る研究会としていきたい」と語った。

 この研究会が対象とする課題は「港湾施設における釣りに伴う海上への転落等の事故及び事故による死傷者の発生を防止する対策の在り方」と位置付けされており、新潟県のとある港湾施設では年間延べ10万人以上の釣り人が訪れている現状を踏まえ、それに伴って発生している釣り人の死傷・転落事故などの現状をどう改善していくかを議論する、というもの。また、観光的な視野も見据えた場合、県内外から訪れる釣り人の数は見逃せない、という意見もあり、釣り人による港湾施設への立ち入りを今一度見直すべきタイミングに来ているのではないか? というのが研究会発足の意図だ。ちなみに、研究会の事務局は「新潟県交通政策局港湾整備課」が努める。

 2月17日に開催された第1回研究会では、各委員、そしてオブザーバーの紹介の後、事務局より「今後、この研究会で議論していただきたい主な事項」が発表された。「本来、外海の波から港内を守る防波堤や荷役作業を行う岸壁で構成される港湾施設で釣りを行うことは危険であり、原則として立ち入りを禁止している。しかし、実態として現状では立入規制のみで、港湾施設に訪れる釣り人によって発生した転落・死傷事故については完全に防止することは困難。港湾機能に支障が生じない範囲で部分的に開放することにより事故防止効果が高まり、観光振興にも寄与する」と発表された。その後、各委員、オブザーバーそれぞれの立場から意見が出され、今後も研究会を継続していく考えで一致。次回開催を3月23日(月)と決定し、さらに4月下旬頃を目処に第3回を開催することが決まった。今後は、研究会にて出された意見を事務局が取りまとめた後、知事に報告書を提出する流れとなっている。

 なお、次回については「釣り場として開放する場合に安全対策として考えれらる事項」や「立入規制、釣り場としての開放、その他の事故防止策などについて意見交換」が行われる予定です。

各委員、オブザーバーからの意見及び事務局との質疑応答

―「展望的な質問として、港湾施設を開放した場合、誰がその施設を管理するのか? また、研究会は今後どのようなスケジュールで進行するのか?」

事務局回答 : 「港湾施設は県が管理しているものだが、釣り場として開放するとなった場合、県としては場所は提供する形で、釣り場として何らかの管理主体を設けて、そこに対して県が許可を出す、という形を想定してます。研究会の今後については、第2回、第3回を開催し、事務局が内容を取りまとめて知事へ報告書を提出する予定です。議論が足りない場合は4回目以降の開催も視野に入れています。」

―「「県内の港湾施設で釣りをする年間の人数はどれぐらいか? また釣り場としてふさわしい場所とは?」

事務局回答 : 「釣り人の具体数は把握出来ていないが、新潟東港西堤では年間10万人を超える釣り人が訪れているという声を聞いています。また釣り場としてふさわしい場所は管理側としては第一に安全性の確保。その他については研究会を通じて勉強したい」

「釣り人の中にはゴミを多く残す人もいるのでマナー啓発につながるような開放にしたい。ソーラス条約を含めてトータル的な安全性、また安全な場所を提供することが大切」

「柏崎市内の港湾施設で釣り人による大きな事故があり、県の管理によるものなので閉鎖もやむ無しと思っている。しかし訪れる釣り客は最も海岸より突き出ている防波堤が一番魅力のはず。自己責任とは言われているが、何か起きた場合には消防も出動するので、全てが自己責任という考え方は、この場では当てはまらないと考えている」

「港湾施設で事故が起きるのは波浪警報という状態だと思われる。しかし、釣り人はあまり気象情報を把握していないと感じる。波浪状態で波が2.5mを超える時に注意報が発令されるが、時としてそれを超える高さの波が発生する現象もある。これらの情報を集約して、あらためて安全対策に取り組んでもらいたい」

「そもそも防波堤というのは釣りを楽しむことを想定して作れらていない。  また、新潟東港などは防波堤周辺に広い敷地があるが、釣り人が訪れて いる時はその駐車車両によって事故が発生した際に緊急車両が近付けない、 というケースもある。一部的に開放したとしても釣り場として魅力がある場所は限られるため、その点を考慮してもらいたい。多くの釣り人は気象 情報を確認している感じがない。とても海辺に近付けるような状態にないような荒天の中でも釣り人はいる」

「港湾部に立ち入る事は法律に触れる行為。しかし現実には取り締まり切れない状態。安全対策を含めてしっかりと議論していきたい。例え法律に触れる行為だとしても事故が起こった時には救助に向かわなければならない」

「あくまでも港湾施設は産業活動の場という位置付け。岸壁で釣りを楽しまれても作業の邪魔にならなければ危険性は低いものの、防波堤については危険性が高いために立入禁止の防護柵を設けている。

 しかし、鍵が壊されて中に入る釣り人が後を立たず現状としてはイタチごっこ。先般、柏崎港にて大きな事故も発生し、現在は厳しく対応させてもらっている。
釣り場として開放するのであれば、いかに釣り人の皆さんに安全に釣りを楽しんでもらえるか、ということを検討していただければ問題解決に向かっていける」

「港湾施設には管理委託をしている施設と、そうでない施設がある。港湾としての機能を保全した上で、釣り人の皆さんが安全に釣りを楽しめるよう研究会を通じて考えていきたい」

「大きい防波堤ほど高い波が来て、非常に危険な場所だという認識がある。また防波堤だけじゃなく沖防波堤についても立入禁止になっているはずだが、釣り人が上陸している。沖防波堤から釣り人が帰れなくなり救助に出動したケースもある。長い防波堤の場合は、先端部よりも、中間点に大きな波が発生する事が多く、そういったケースも踏まえて会を進めて欲しい」

「釣りというのも県にとっては重要な観光の要素。何よりも訪れる釣り場の安全性と、訪れる釣り人のマナーの部分についても考えていきたい」

「釣り人を締め出すという考え方は適切とは言えない。安全と自己責任とを 考えた時、どの部分から自己責任とするのかが議論の対象になると思う」

「新潟県内には64漁港あり、県が管理しているものが16漁港、市町村管理が48漁港ある。規模は港湾施設よりも小さいが、形はほぼ同じ。漁港管理についても港湾施設と同様の問題がある。原則的には立入禁止だが開放基準というものを作り、佐渡島では管理をしっかりした上で一般に開放している漁港もある。一方、柵などの施設を設けて厳重に立入が出来ないようにしている漁港もある」

「危険箇所には消波ブロックを積み上げてあるが、気象状況と場所によってはブロックを超えて波が発生するケースもあり安全に釣りが楽しめる場所ではない、と言える。安全対策には十分な配慮が必要」

■港湾施設における釣り問題の詳細(pdfファイル)はこちら
■港湾施設における釣り問題の詳細(動画)はこちら
■日本釣振興会・新潟県支部・事務局長 本間陽一氏の談話はこちら

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