日本釣振興会・新潟県支部・事務局長 本間陽一氏の談話

新潟県、東港・西堤防を始めとする防波堤での釣り禁止(立入禁止)について

青少年に釣りが出来る環境を!!(港湾防波堤を安全で楽しい釣り場に!)

文部科学省のレジャー白書によれば、我が国には1000万人とも1200万人とも言われる釣り人口があり、世界に例を見ない“釣り人大国”であります。中でも防波堤釣りは、最も人口が多く、全国規模で見るならば、その数は優に数百万人を数えるでしょう。
また、子供の頃に魚を相手に遊ぶことは、これ以上ない情操教育であり、自然の中で生き物と関わりをもつことは、子供が成長するにあたって欠くべからざることと確信しています。しかるに、子供たちが釣りが出来る環境は狭まるばかりであり、防波堤での釣りが不可能と言うことになれば、更にそれに追い討ちをかける形になります。

延べ300kmの海岸線を有する新潟県においてもあちらこちらに防波堤があり、多くの釣り人で賑わっております。現在立ち入りが禁止されている東港・西堤防にも推定で年間15万人の釣り人が訪れていました。ご存知の通り、同防波堤は、港湾施設であり、原則として立ち入りが禁止されています。したがって、全員が違法行為の上で釣りをしていたことになり、望ましい姿ではありません。そこで、防波堤に対する考え方を大幅に修正して、観光施設の一環としての利用を考えてみてはどうでしょう。

転落事故者の居住地を見れば分かるように、新潟県下の防波堤で釣りを楽しんでいるのは、新潟県民ばかりではありません。かなりの数の人々が県外から来ています。
更に今後は、高速道路の“1000円政策”などもあり、群馬県、長野県などの“海なし県”を始め、首都圏からの釣り人も一層増えることが予想されます。そうした人々が、地元に落としてくれるお金は、相当額に及ぶはずです。防波堤釣り場は、立派な“観光資源”にもなり得るのです。

魚の釣れる防波堤の多くは港湾施設であり、原則立ち入り禁止です。しかし、防波堤の入り口に門扉等を設け、「立入禁止」の看板などは掲げてあるものの“門番”などを置いて釣り人の立ち入りを実際に規制している所は皆無に近い状況です。「立入禁止が分かっていて、あえて入るのは、釣り人自体のモラルの低さ以外の何物でもない」と言われてしまえばそれまでですが、現実的には、西防波堤同様、あちらこちらの防波堤で年間数万人から十数万人の人が釣りをしており、その累計は優に数千万人に昇るでしょう。結果として、あちらこちらの防波堤で転落事故等が起こり、中には死亡する釣り人もいます。
しかし、その大半は、風の強いシケの日に無茶をして出掛けた釣り人が仕出かしたこと。大半の釣り人は、そんな日並みの悪い時には、出掛けることはありません。
また、それらの事故の大半が、陸続きの防波堤で起こっており、渡船を利用しなければ渡れない離岸堤(離岸堤の90%以上は港湾施設であり、全て立入禁止でるが、何故かそこに釣り人を渡している渡船業者が営業停止等の処分をうけた例を知りません)での事故は極めて稀です。それは、渡船業者が安全確保には十二分に気を遣っているからであり、最近では、何処の地方に行っても、渡船に乗る時にライフジャケットを着けていない者は離岸堤に上がることは出来ません。勿論、ほとんどの業者が貸し出し用のライフジャケットを常備しており、万が一の転落者に備えて船を出し、見廻りも欠かしません。当然、大きな波や強い風が吹いている時には、船を出しません。したがって、突風が吹くなどの突発的な状況がない限り、危険な状況で釣りをすることはあり得ないのです。

したがって、陸続きの防波堤においても、これと同じ状況を作り出せれば、転落事故等は大幅に減るはずです。昨年起きた新潟県下の防波堤転落事故も、この体制が出来ていれば起こらなかったと確信しています。

それでは、港湾施設においては、法的に絶対に釣りが出来ないのかといえば、答えはノーです。愛知県知多市にある全長1.3kmの知多堤(防潮防波堤)は、れっきとした港湾施設(名古屋港南部)ですが、『名古屋港海づり公園』として解放されています。
現在では、『財団法人・名古屋港緑地保全協会』が運営、管理していますが、元は、「親しまれる港づくり」という国の方針に従い、地元住民を中心にした「防波堤で釣りをさせてほしい」という要望に応える形で『特別地方公共団体・名古屋港管理組合』が、港湾施設を管理する国土交通省に対して「国民から海辺を奪った責任を問う」と10年に及び交渉、「多目的使用認証」を取り付けて実現させたものです。

全長1.3kmの防波堤周囲に落下防止の手すりなどを設備、周囲に1000個の漁礁を沈めました。改装工事は昭和63年度から平成3年度に行われ、平成4年4月にオープンしました。管理棟などを含めた総工費は16億1450万円(防波堤本体工事費9億3000万円)。内14億円は国の補助で賄い、『名古屋港管理組合』が残る2億1450万円を負担して完成させました。周囲に多くの漁礁を入れたこともあり、周年、魚が釣れ、現在でも年間11万人から13万人の釣り人が利用しているそうです。

港湾施設と言えども、国民の財産です。それを単なる“波除け”に使うのではなく、この『名古屋港海づり公園』のように、活用することも可能なのです。

今回のことをきっかけとして、港湾施設としての防波堤に対する考え方を改めてはどうでしょう。年間数万人から十数万人も訪れている釣り人が、いくら入り口の門扉を強固にしたところで、ゼロに出来るとは思えません。とするならば、安全確保を大前提として、本当に危険な場所を除き、一定のルールの基、解放するのが賢明な選択と考えます。
何故なら、このまま「原則立入禁止」と言い続ければ、行政サイドとしては、ある意味の責任回避は出来ても犠牲者は無くならないからです。

防波堤の安全確保をするためには、それなりの設備と人材が必要になって来ます。防波堤を利用する釣り人には、保険なども含め、安全を確保した環境を整えることにより、応分の負担をしてもらうことも可能でしょう。
資金が調達できるとなれば、施設の充実にも金を使うことも可能となり、地元の雇用創出にも貢献できると考えます。また、現在はほとんどの防波堤周辺には、コンビニひとつない状況ですが、場所によっては、千葉県・内房の保田で大成功を収めている食事と宿泊、風呂などの設備をもった国土交通省登録の“海の駅”『ばんや』のような施設の創設も可能なはずです。更に恒常的に安全確保を続けるためには、地元のシルバー人材などを有功に活用することにもなでしょう。

港湾施設である防波堤を“観光施設”と位置づけ、県外からの観光誘致の一環と考えることは出来ないでしょうか。安全対策さえ万全に整えられれば、防波堤での釣りは決して危険な遊びではないのです。

『財団法人・日本釣振興会』を基盤として市町村、県や国、地元新聞社、さらには一般企業などのご助力を得ながら、そうした体制を整えるための方策を考えていきたいと考えています。
次回からの検討会では、ご参集の方々に知恵を絞って頂き、具現化に向けての討論をしていけることを切に願っています。

2009年2月吉日  (文責)本間 陽一

釣りビジョン: 0120-260-251