その昔はオイカワでフライの練習をしていたんだよなぁ
僕の住む多摩川中流域は、夏~初秋のマヅメ時になると、瀬で雨のようなライズが起こることも珍しくない。先日も夕暮れの散歩をしていると、水面でパチャパチャとユスリカを捕食するオイカワのライズがたくさん見られた。
かつては、このイブニングライズを狙って、フライフィッシングの練習をしたこともあった。なので、フライで釣ってみようか……とも思ったのだけど、50歳を過ぎ、老眼が進んだ今では#18クラスの小さいフライのアイにラインを通すことも難儀で、やっとセットしたフライをキャストしてみたものの、どこを流れているかさっぱり見えず。
というわけで、今回は同じ毛バリの釣りではあるが、もっと手軽な延べ竿を使った流し毛バリで狙ってみることにした。
流し毛バリは仕掛けのセットが楽なのも利点
さて、この釣りに必要な道具は4~5mの延べ竿と流し毛バリの仕掛けだけ。基本、これだけあれば釣りは成立する。仕掛けは毛バリが5~7本セットされたものが釣具店で売っているので、それを穂先にチチワで結べば、すぐに釣りが可能。なんという手軽さだろう。そのため初心者やお子さんたちとの釣りにもオススメだが、慣れないと毛バリ同士が絡んだり、掛けた魚が暴れて仕掛けがグチャグチャ……ということもあるため、仕掛けは2セットほど用意しておきたい。
あとは、釣った魚をすくい取るネットやバケツ、それに観察ケースがあると楽しい。ちなみに仕掛けは1度の釣行だけでなく、何度か使用できるので、使用後は購入時にセットされていたウレタン材や仕掛け巻きなどに巻き取っておこう。
いざ、浅い瀬に毛バリを流してオイカワを誘う!
仕掛けを竿にセットしたら、いよいよ実釣だ。ポイントはあくまでも浅い瀬。流し毛バリの仕掛けは瀬ウキの下に毛バリが並び、その下にあるシモリ玉(小さいウキ)の先にもう1本、毛バリがセットされている。この釣りではオモリを使用しないため、毛バリが流れるのは水面~水面直下ということになる。だからこそ、流れのある浅い場所に適した釣りなのだ。
オイカワを狙って立ち込んだのはスネ~ヒザ下ほどの水深の瀬。流れに対して直角に立ち、対岸方面へ仕掛けを振り込む。そして扇を描くように下流へと流してアタリを誘う。下流へ流しきったら、今一度、仕掛けを入れ直すのだが、流しきったところで竿を前後に動かし毛バリを躍らせ誘いをかけてもいい。
釣りを始めて30分ほど。まだアタリはない。そもそも、まだ瀬でライズが起きる時間帯でもない。しばらくは様子を見よう。対岸ではアオサギとダイサギが僕と同じく浅瀬の小魚を狙っている。あちらも収穫はまだのようだ。
夕刻が迫り、水面にライズが出始める。チャンス到来!
浅瀬の中で、立ち位置を変え、オイカワの群れがいそうな瀬を探る。日が傾いて夕方近くになってくると視界の隅でライズが見えはじめる。チャンスタイムの到来だ。ヒットに備え、腰に差しておいたランディングネットを確認する……。あれ、ないぞ? なんということだ。コードが切れている。すでに流れてしまったようで、下流を探したが見つけることはできなかった。これでは魚を掛けても、撮影前にフックアウトしてしまう可能性が高くなってしまう。
そんな不安を抱きつつ、毛バリを流す。下流側のシモリ玉の近くでパチャッとライズ。おっ! しかし、魚信は手元に伝わってこない。喰い損ねたようだ。そこで、仕掛けを流しきったところで竿を前後させて、毛バリを躍らせてみた。すると、今一度、水面でパシャッと跳ねた。その直後、手元にプルプルという魚信。よし、ヒット!竿を立てつつ、足早に岸際へと移動。釣れたのは、10cm弱のオイカワ。仕掛けの一番下の毛バリをしっかりとくわえている。オイカワらしい色彩が美しい。
その後は、瀬ウキ側となる一番上流側の赤い毛バリにヒット。日没前の小一時間ほどで、都合3尾のオイカワをキャッチ。夕方に散歩しながら楽しむ小魚釣りとしてはとても満足度が高い。キャッチ前に落としてしまったのが2尾。ネットさえ、流してしまわなければと悔やまれる。
気がつけば、西の空はオレンジに染まり、水面の上にはトンボが舞う。そして上空ではトビが輪を描く。
僕は、こんな多摩川の情景が好きなんです。
施設等情報
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