【NO多摩川NO LIFE】夕マヅメに楽しむ!流し毛バリのオイカワ釣り

朝夕のマヅメ時になると多摩川中流域で雨のようなライズを見せるオイカワ。そんな秋の夕暮れの散歩のついでにオイカワ釣りで遊んでみよう。フライでやろうか?……とも思ったけど、ここは手軽な流し毛バリでやってみることにした。ただ、思ったよりもライズが出ないぞ。大丈夫か? 【NO多摩川NO LIFE】は、少年時代から東京を流れる多摩川を愛してやまないライター「宮崎紀幸」の不定期連載企画です。

淡水
  • 東京都 多摩川&神奈川県 多摩川

その昔はオイカワでフライの練習をしていたんだよなぁ

僕の住む多摩川中流域は、夏~初秋のマヅメ時になると、瀬で雨のようなライズが起こることも珍しくない。先日も夕暮れの散歩をしていると、水面でパチャパチャとユスリカを捕食するオイカワのライズがたくさん見られた。

かつては、このイブニングライズを狙って、フライフィッシングの練習をしたこともあった。なので、フライで釣ってみようか……とも思ったのだけど、50歳を過ぎ、老眼が進んだ今では#18クラスの小さいフライのアイにラインを通すことも難儀で、やっとセットしたフライをキャストしてみたものの、どこを流れているかさっぱり見えず。

というわけで、今回は同じ毛バリの釣りではあるが、もっと手軽な延べ竿を使った流し毛バリで狙ってみることにした。

31年前の写真。買ったばかりのフライのタックルを持って、オイカワ釣りを楽しんだ。やっていることが今とあまり変わらない(笑)。 ©宮崎紀幸
やや深みのある消波ブロック帯のオイカワの群れ。一番手前はヒレの長いオスの個体だ。毛バリで狙うのは、このような深みのトロ場にいるオイカワではなく浅瀬にいる群れだ。 ©宮崎紀幸

流し毛バリは仕掛けのセットが楽なのも利点

さて、この釣りに必要な道具は4~5mの延べ竿と流し毛バリの仕掛けだけ。基本、これだけあれば釣りは成立する。仕掛けは毛バリが5~7本セットされたものが釣具店で売っているので、それを穂先にチチワで結べば、すぐに釣りが可能。なんという手軽さだろう。そのため初心者やお子さんたちとの釣りにもオススメだが、慣れないと毛バリ同士が絡んだり、掛けた魚が暴れて仕掛けがグチャグチャ……ということもあるため、仕掛けは2セットほど用意しておきたい。

あとは、釣った魚をすくい取るネットやバケツ、それに観察ケースがあると楽しい。ちなみに仕掛けは1度の釣行だけでなく、何度か使用できるので、使用後は購入時にセットされていたウレタン材や仕掛け巻きなどに巻き取っておこう。

使用した竿は渓流用の3.6~4.5mのズーム竿。こんな延べ竿を1本持っておくと、いろいろな川釣りが楽しめる。 ©宮崎紀幸
流し毛バリの仕掛けセット。数百円で市販されている。竿の長さよりも1mほど長い仕掛けがベスト。毛バリは5本くらいのモデルが扱いやすい。穂先に仕掛けを結ぶだけでOK。だから手軽! ©宮崎紀幸
装備はライフジャケットとヒップブーツ。浅瀬の手軽な釣りのため、足元はニーブーツや短パン&アクアソックスでもOK。 ©宮崎紀幸
小型でアミ目の細かいランディングネットがあると掛けた魚を逃がさずにすむ。また、釣った魚の写真を撮ったり、観察したりする場合は折りたたみバケツや観察ケースがあると便利だ。 ©宮崎紀幸

いざ、浅い瀬に毛バリを流してオイカワを誘う!

仕掛けを竿にセットしたら、いよいよ実釣だ。ポイントはあくまでも浅い瀬。流し毛バリの仕掛けは瀬ウキの下に毛バリが並び、その下にあるシモリ玉(小さいウキ)の先にもう1本、毛バリがセットされている。この釣りではオモリを使用しないため、毛バリが流れるのは水面~水面直下ということになる。だからこそ、流れのある浅い場所に適した釣りなのだ。

オイカワを狙って立ち込んだのはスネ~ヒザ下ほどの水深の瀬。流れに対して直角に立ち、対岸方面へ仕掛けを振り込む。そして扇を描くように下流へと流してアタリを誘う。下流へ流しきったら、今一度、仕掛けを入れ直すのだが、流しきったところで竿を前後に動かし毛バリを躍らせ誘いをかけてもいい。

釣りを始めて30分ほど。まだアタリはない。そもそも、まだ瀬でライズが起きる時間帯でもない。しばらくは様子を見よう。対岸ではアオサギとダイサギが僕と同じく浅瀬の小魚を狙っている。あちらも収穫はまだのようだ。

仕掛けを振り込む。左手前の赤い玉が小さいウキであるシモリ玉。左に一番下の毛バリがセットされている。右奥に赤い瀬ウキが見える。この瀬ウキとシモリ玉の間に4本の毛バリがセットされている。 ©宮崎紀幸
対岸の浅瀬に立つアオサギとダイサギ。オイカワを含めた浅瀬の小魚やアユを狙う。時合は近そうだ。 ©宮崎紀幸

夕刻が迫り、水面にライズが出始める。チャンス到来!

浅瀬の中で、立ち位置を変え、オイカワの群れがいそうな瀬を探る。日が傾いて夕方近くになってくると視界の隅でライズが見えはじめる。チャンスタイムの到来だ。ヒットに備え、腰に差しておいたランディングネットを確認する……。あれ、ないぞ? なんということだ。コードが切れている。すでに流れてしまったようで、下流を探したが見つけることはできなかった。これでは魚を掛けても、撮影前にフックアウトしてしまう可能性が高くなってしまう。

そんな不安を抱きつつ、毛バリを流す。下流側のシモリ玉の近くでパチャッとライズ。おっ! しかし、魚信は手元に伝わってこない。喰い損ねたようだ。そこで、仕掛けを流しきったところで竿を前後させて、毛バリを躍らせてみた。すると、今一度、水面でパシャッと跳ねた。その直後、手元にプルプルという魚信。よし、ヒット!竿を立てつつ、足早に岸際へと移動。釣れたのは、10cm弱のオイカワ。仕掛けの一番下の毛バリをしっかりとくわえている。オイカワらしい色彩が美しい。

その後は、瀬ウキ側となる一番上流側の赤い毛バリにヒット。日没前の小一時間ほどで、都合3尾のオイカワをキャッチ。夕方に散歩しながら楽しむ小魚釣りとしてはとても満足度が高い。キャッチ前に落としてしまったのが2尾。ネットさえ、流してしまわなければと悔やまれる。

気がつけば、西の空はオレンジに染まり、水面の上にはトンボが舞う。そして上空ではトビが輪を描く。
僕は、こんな多摩川の情景が好きなんです。

スネより浅い瀬に立ち、毛バリを流す。日が傾くにつれて、水面を跳ねる小魚の数が増えてきた。これからが時合だ。 ©宮崎紀幸
流し毛バリの仕掛けは対岸側に振り込み、下流へ流してアタリを誘う。瀬ウキとシモリ玉の間が弛まないように流すのが秘訣。流しきったあとも、竿を前後させ誘いをかけてもいい。捕食は見えることが多いが、いきなり手元にプルプルと伝わってくるケースもある。 ©宮崎紀幸
腰に差したネットが……ない! コード先端のループが切れている……。悲しいけど、これ現実なのよね。 ©宮崎紀幸
1尾目のキャッチ。ネットをなくしたので、すぐさま浅場へ移動して撮影。喰ってきたのは一番下側の毛バリだった。 ©宮崎紀幸
続けて2尾目をキャッチ。ライズがあり、アタリかな?と思いアワセを入れたものの手応えがない。では、と仕掛けを入れ直そうとしたら釣れていました(笑)。喰っていたのは一番上の赤い毛バリだ。 ©宮崎紀幸
終了間際に、もう1尾追加。今度も赤い毛バリ。活性が高いと、どのハリでも喰ってくるが、そうでもないときはアタリの多いハリが顕著になるケースがある。今回は赤がアタリか? 判断するにはサンプルが少なすぎるけど。 ©宮崎紀幸
今回の釣果は3尾+バラシ2尾。まぁ、手軽&短時間なので個人的には満足。観察ケースでオイカワを眺めてニンマリ。観察&撮影後はリリース。次は今一度、フライフィッシングの練習で釣ってみようかな。 ©宮崎紀幸
日没が近づいてきた多摩川。今日は雨のようなライズは起きなかった。11月には富士山頂に太陽が沈むダイヤモンド富士が多摩川越しに望める。 ©宮崎紀幸

施設等情報

■多摩川(内共12号)
多摩川漁業協同組合 TEL042-361-3542
川崎河川漁業協同組合 TEL044-811-5127

施設等関連情報

日釣り券=1,000円
年券=5,000円

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

宮崎 紀幸 東京は多摩川のほとりに住まうフリーランスライター。
地元・多摩川での釣り&野外活動を楽しみつつ、自身でもトラウトやシーバスなどのルアーフィッシングを嗜む。冬はカワハギ釣りにも熱くなる!

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