ウネリの影響で本命磯を諦め「オカカジ」に渡礁
安良里は港から約5分程度の近場に大小10程度の磯が存在し、30人程収容可能である。当初の予定では、足場が良く実績の高い「マルボウ」「マスダネ」「ぼたもち」あたりを予定していたが、早朝まで吹いた西風の影響でウネリが大きく、予定していた磯は全滅。船長と相談しながらウネリが回避できる「オカカジ」に渡礁し、ウネリと釣果の様子を見ながら磯替えを考慮することとした。
「オカカジ」は黄金崎近辺の磯の中で最も陸寄りの磯で、日本の〝奇岩百景〟に認定された「馬ロック」を眺めながら釣りができる風光明媚な場所である。「馬ロック」は「競馬の必勝祈願で立ち寄った人が万馬券を当てた」との噂もあることから、「良型のメジナに当たりますように!」と祈りつつ準備を始めた。
開始早々良型のメジナをゲット!
渡礁後、磯まわりの様子を観察すると、足元の水深は竿1本程度(約5m)。遠投しても竿1本半程度(約7、8m)と思われるので、浅ダナを想定してタックルを組んだ。仕掛けは磯竿1.5号/リール3000番/道糸PE0.8号/ナイロンリーダー2.5号を4ヒロ(1ヒロは約1.5m)。朝マヅメの一発大物を想定してハリスはフロロカーボン2.5号を2ヒロ、ハリは尾長6号を選択した。
パイロットウキは自作の「ウキくんJr. 00 」を選択し、リーダーとハリスの直結部から半ヒロ上に1.5号のハリスを「なるほどウキ止め」の要領で留めた半誘導仕掛けとし、完全フカセとした。コマセはオキアミ6kg、パン粉2kg、ヌカ3kg準備した。
二人の様子を見に行ってみた。竹中さんは「まずはクロダイを狙う!」とのことで、自作の「AMAKIウキ B」にオモリBを付けて海底付近を狙うと、第1投目から小型のアカハタを釣り上げた。狙い通り海底付近に餌が届いている様だ。第2投目も同じ場所を狙っていると、ウキが海面下10cmくらいのところでモゾモゾとして、何かが当たっている様子。暫く間を置いて合わせを入れると、強烈に竿を曲げると同時にゴンゴンゴンッ!と頭を振るような動きを見せる。
「おぉ、さっそくクロダイ!」とタモを準備して磯際で待ち構えていると、大きな茶色い魚体が見えてきた。「違う。オオモンハタだ!デカい!」と慎重にタモ入れに成功したのは、50cmに迫る見事なオオモンハタだった。釣り開始2投目での大物登場に「今日のお仕事は終了だ!」と満足げな竹中さん。
船着け場で釣りを開始した高橋名人も第2投目で足元のシモリ付近で魚を掛けた。キラッと光る白い魚体。あまりにも綺麗な魚体なので竹中さんと共にマダイだと思っていたが、上がってきたのは美しい銀鱗の35cm級のクロダイだった。ベテラン二人の釣果に触発されて、急いで自分の釣り座に戻ることとした。
まずは気になっていた「高岩」との水道を狙ってみることにした。潮は緩やかに沖(左側)に向かって流れているが、上潮が早くウキが仕掛けを引っ張って行く。この流れでは釣れないので水道は見切りをつけて、第2投目は沖向きの15m先のポイントに仕掛けを入れた。コマセを10杯程度多めに打って潮に流すと素直に沖に流れて行く。
仕掛けが馴染んでウキが見えなくなったところで、左手で道糸を掴んでアタリを待っていると、スススーッと道糸が指の間を走った。慌てずに合わせを入れると、中々の重量で竿を曲げてくる。ハリスは2.5号を結んであるので、魚の動きに合わせて余裕のやり取りで磯際まで寄せてくると、濃紺の魚体が見えた。タモ入れに成功したのは42cmの良型メジナ!第2投目で目標の40cmオーバーを手にすることが出来た。
沖の沈み根で良型を追加!
1匹目を釣ってから同じような釣り方を試してみたが、メジナの反応が無く付け餌を取られてしまうため、ウキを「ウキくんJr. G3」、ハリスを2号、ハリを口太5号に変更し、シモリ玉を付けて2ヒロ半のタナでウキを浮かせて足元の根回りを攻めてみることにした。コマセから少し離したポイントに仕掛けを入れると、ウキをスパッと消し込むアタリ。上がってきたのは30cm弱のオナガメジナ。
同じ釣り方で同サイズを数匹追加したが、この釣り方だと活性の高い中・小型のメジナは釣れるが良型は釣れないと判断、ウキを「ウキくんJr. 00」に戻しシモリ玉も外した。沖向きの30m先のポイントに潮だまりの泡が発生していたため、25m先のポイントに仕掛けを入れてコマセを合わせた。
仕掛けが馴染んでウキが見えなくなり、約1分半が経過したところで1匹目と同じように道糸が走った。引きの素直さからメジナであることは確信したが、ハリスを2号に落としていたので先ほどより慎重にやり取りをしてタモに収める。測定の結果、2匹目も目標達成となるジャスト40cmの良型だった。1匹目よりも魚体が黒いことから、沖の沈み根に居着くメジナであると想像できる。
時刻が干潮の午前9時30分を迎えたところで、船長が様子を見に来てくれた。ウネリは少し落ちたものの、乗れる磯が限定されること、さらに釣果も悪くないことから、この磯で一日楽しむ決断をした。干潮の時刻辺りから潮が変わり、水道の奥側(右側)に潮が流れるようになったため、再度水道のポイントを攻めてみることにした。潮が変わるまで暫く休憩を取りながらベテラン勢の釣りも眺めていると、竹中さんが竿を大きく曲げる。ゴンゴンゴンッと独特の引きで上がってきたのは40cmの良型のブダイ。立て続けに同サイズをもう1匹追加し、緩い潮の中でもベテランの腕を見せてくれた。
メジナシーズンは幸先の良いスタートを切ることが出来た!
昼食を済ませてすぐの午後12時30分、2匹目を釣った沖向きのポイントで38cmのメジナを追加できたことから、大きく竿を曲げて楽しみたいと仕掛け変更した。磯竿1.0号/道糸PE0.6号/ナイロンリーダー2.0号/ハリス1.7号/口太バリ4号の寒のメジナ釣りを想定した仕掛けである。
仕掛け変更後1時間以上アタリが全く無いことから、ダメもとで「馬ロック」に向けて遠投を試みた。こちら側は水深が相当浅いので仕掛けを張り気味にして待っていると、不意に道糸を引っ張られた。慌てて合わせを入れると、この日一番の重量感。竿の胴まで絞り込んで魚の体力を奪おうとやり取りしたが、魚が反転して猛烈な勢いで反撃開始。たまらず糸を出したところでハリス切れ。細仕掛けが仇となってしまった…しかしながら、この後、高橋名人にも沖に走る魚が掛かった。見事45cm級のフエフキダイを手にした。
残り時間が30分に迫った午後2時。沖の潮目が再びはっきりと見えるようになってきたので、コマセが届く範囲で大遠投を試みた。2匹目、3匹目の釣れ方から、沖の沈み根で悠々とコマセを拾っているメジナをイメージして、時間をかけて仕掛けを入れていく。付け餌が残っていることを信じながら待つこと3分、僅かに道糸が走った。やや強めに合わせを入れると、竿の胴まで曲がる心地よい引き。柔らかい竿を大きく曲げて魚を寄せて来る。磯際の突っ込みをかわしながらタモに入れたのは、39cmの良型メジナだった。
この日、竹中さん、高橋名人のポイントは中・小型の尾長メジナを中心に多彩な魚種で多くのアタリがあったが、良型のメジナは最後まで姿を現すことが無かった。一方の私はアタリこそ少ないものの、38~42cmまでのメジナを4匹釣り上げ、「馬ロック」の恩恵に与りメジナシーズンの良いスタートを切ることが出来た。この日の海水温は19.4℃で、これから冬本番の西風が続くと更に海水温が下がり、本格的なメジナシーズンに突入する。寒い季節のホットなバトルが今から待ち遠しい!
施設等情報
施設等関連情報
磯上り時間:午後3時
料金:5,000円
車:新東名高速道路・長泉沼津ICから約1時間10分
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。