初めての出船で気分は最高! しかし、まさかの事態へ
7月22日、琵琶湖真野浜、快晴。記念すべき、バスボート購入後初めての出船の日。今日は暑くなりそうだ。とりあえず、ボートに慣れることを主目的とし、釣りはあくまでもサブのつもり。その前に、陸上での下準備を。
・ガソリンスタンドで購入したガソリン40Lを携行缶からボートに給油。
・2ストオイルも給油する。
・バッテリーをボートにセットする。
マリーナのオーナーさんに準備OKを伝えるとトレーラーを重機に繋ぎ、ボートをランチングしてくれる。湖にボートが浮かんだところでキーを回すと…。ウォオオンッ!…ブルブルブルブル…ちょっと懐かしい2ストサウンドが響き渡った(近年は取材する人はみんな4ストエンジンなのです)。転回し、アイドリングで沖へとゆっくり進んでいく。暖機のためにもこれは必要。
十分に沖へと出たら…フットアクセルを一気に踏み込んだ。獲物に襲いかかる猛獣のようにエンジン音が一気に高まり、バウがそそり立つ。そのまま踏んでいるとすぐにプレーニング(滑走)に入った。ベタ凪の湖面をドリフトするように旋回し、バウを北へ向けた。抵抗もなくぐんぐんと加速していく。
とりあえず、松の浦あたりまで行ってみよう…と思ったが、和邇川沖で一旦止まって記念撮影でもしようかと、エンジンを切った。少しして、エンジンを再始動…しようと思ったが、なぜかセルが回らない! どうした?
まずはバッテリーを疑ったが、電圧は十分にあるし、メーターも動いている。もしや、オイルポンプの不調でエンジンが焼きついたか…。だとしたら…ヤバい!
初出船で漂流! なんとかエレキで戻ろう…
和邇川沖で漂流しながら、売主さんに電話してみると…。
売主さん「電源は入りますか?ニュートラルに入れてます?キルスイッチは?…それならエンジンが焼きついたかもしれませんね。僕も見にいくので、なんとかマリーナに戻ってきてください」
なんとか、と言われてもエンジンが掛からないので…マリーナのご主人にレスキューしてもらうかエレキで帰るしかない。幸いまだ和邇川沖なので、エレキで戻ることにした。しかしながら、エレキは36V仕様なのに、バッテリーは24V。動くことは動くが、パワーは弱い。全開近く回しても子供が歩くスピードくらいしか出ない。
結局、1時間半近くかかって、なんとかマリーナに戻ってくることができた。ちょうど、売主さんも到着し、マリーナのご主人と一緒に原因を探ることに。
語り部が疑ったのは、オーバーヒート。マリーナに着く直前に今一度エンジン始動を試みると…セルが回って掛かりかけたのだ。しかし、焼きつきに近い状態になっている恐れもあるので、そこでやめておいた。
実はエンジンの角度を調整するトリムレバーの動作に問題があり、もしかしたらトリムを下げたつもりが下がっておらず、そのまま走行してしまい…冷却が十分にできずにオーバーヒートになったのでは…と疑った。とはいえ、さすがに走行中に気付きそうなものではある。
もう一度、売主さんと湖上に出てみると、問題なくエンジンはかかった。走ってみても問題はない。
売主「もしかしたらちゃんとニュートラルに入っていなかったのかもしれませんね。しっかり入れないとエンジンが掛からないんですよ」
その線は確かに怪しい。ギアのレバーを動かしてニュートラルに入れるのだが、その幅が語り部の考えていたよりもずっとシビアなのだ。
ともあれ、エンジンが焼き付いたのではなくて本当によかった。結局、その後も釣りをしたが、魚探もないし、暑いしで、やっぱり昼前に上がることにした。まだこのボートで魚は釣っていない。
2度目の出船で、見たこともないような巨大魚がヒット!
あれから1ヶ月後の8月24日。真夏の滋賀はあまりに暑いので…長野や千葉の実家で過ごしていたのだが、学生時代からの友人Mより、夏休みを滋賀で過ごしたいという連絡が来た。
M「あのかっちょいいボートに乗りてー! 釣りもしたい!」
過去に空冷ポルシェ911、ロータス・エランなどを所有し、今は1969年製のアルファロメオ・ジュリアとBMWの古いバイクに乗っているエンスーなM。普段は釣りをしないくせに、スキーターのカッコよさには惹かれるらしい。とはいえ、暑いので昼までに上がる気満々だし、釣り方にもまったくこだわらないということなので…彼にはエサ釣りをしてもらうことにした。魚探もまだ付いてないしね…。
朝。40cm減水した琵琶湖で、前回以上に慎重にランチングすると…あれ、またエンジンが掛からない。マリーナのご主人が水に入ってくれてボートをチェックすると…バッテリーの配線ミスだった…。スミマセン!
気を取り直して、沖へとアイドリングで進んだところで、フットペダルを踏み込んでみたが…今度はエンジンが全然吹け上がらない。どうしたんだ…いつものようにぶっ飛ばそうぜ!?一瞬焦ったが、おそらくプラグがかぶり気味だったのだと思う。ニュートラルに入れて何度か吹かすと、快調に回ってくれた。
時速90kmくらいまでスピードを出して、北へと進む。まだまだ回転数に余力があるが、今日はこれくらいにしておこう。
さて、沖島、大同川沖の魚礁などで釣りをするも、アタリがない。徐々に南下し、真野のポイントで粘っていると…Mのエサタックルに何度かアタリが出始める。そしてついに…Mのロッドが思い切り絞り込まれた!
語り部「巻いてから合わせて! あれ…めちゃくちゃデカいんじゃない?」
安全な場所へとエレキで誘導し、時間をかけてファイトをしてもらうことに。謎の魚が少し浮いてきて…一瞬魚影が見えた! これは…ヤバい。
M「なにこれ…バスじゃないよね? めちゃくちゃ引くぜ」
語り部「オオナマズかな? 絶対獲ろう。じっくり行こう」
ジジ、ジー、ジー…と、大昔のカルディアのドラグが仕事をしている。お世辞にもスムーズとはいえない出方であるが、PE0.8号+フロロ2号ラインを切られないように守ってくれているようだ。
15分ほどファイトしていると、魚は疲れ、水面付近まで浮いてくるようになった。これは…コイだな。しかしデカい。余裕で1mを超えているように見える。
語り部がネットランディングを試みたが、デカすぎて頭しか入らないし、ネットを嫌ってまた一気にラインを出されてしまう。口とエラ蓋を手で掴もうとしてもデカすぎるのとパワーがありすぎて無理だった。
そんなことを何度か繰り返した頃、最後はネットに頭だけ入れて、お腹を右手で持ち上げながら、強引にボート上に上げることに成功した(ネットは付け根が破損)。しかし、なんというデカさだ。頭は子豚くらいあるし、胴体は丸太のようだ。
語り部「じゃあ、全裸になってそのコイを抱こうか」
M「上等だよ! …いや、無理。デカすぎて怖いよ!」
結局、デッキで暴れるコイのパワーを止められず、満足のいく写真の撮影はできなかった…。
計測してみると、長さはなんと112cm。噂だと110cmクラスの野鯉は政財界の大物みたいな人が池で飼うために、100万円で買ってくれるらしいのだが…。我々は精神的貴族、迷わずリリースした。
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