【バスボートを買ってみる】112cmの感動 !~百万円の巨大魚?を釣り上げた実釣編~

老後の生活を諦めたのか…48歳にして初めてバスボートを購入してしまったこの哀れな語り部(←筆者のことです)。名義変更や修理など済んで、ようやくの実釣。しかし、またもトラブルが!

バス
  • 滋賀県 琵琶湖

初めての出船で気分は最高! しかし、まさかの事態へ

7月22日、琵琶湖真野浜、快晴。記念すべき、バスボート購入後初めての出船の日。今日は暑くなりそうだ。とりあえず、ボートに慣れることを主目的とし、釣りはあくまでもサブのつもり。その前に、陸上での下準備を。

・ガソリンスタンドで購入したガソリン40Lを携行缶からボートに給油。
・2ストオイルも給油する。
・バッテリーをボートにセットする。

マリーナのオーナーさんに準備OKを伝えるとトレーラーを重機に繋ぎ、ボートをランチングしてくれる。湖にボートが浮かんだところでキーを回すと…。ウォオオンッ!…ブルブルブルブル…ちょっと懐かしい2ストサウンドが響き渡った(近年は取材する人はみんな4ストエンジンなのです)。転回し、アイドリングで沖へとゆっくり進んでいく。暖機のためにもこれは必要。

十分に沖へと出たら…フットアクセルを一気に踏み込んだ。獲物に襲いかかる猛獣のようにエンジン音が一気に高まり、バウがそそり立つ。そのまま踏んでいるとすぐにプレーニング(滑走)に入った。ベタ凪の湖面をドリフトするように旋回し、バウを北へ向けた。抵抗もなくぐんぐんと加速していく。

とりあえず、松の浦あたりまで行ってみよう…と思ったが、和邇川沖で一旦止まって記念撮影でもしようかと、エンジンを切った。少しして、エンジンを再始動…しようと思ったが、なぜかセルが回らない! どうした?

まずはバッテリーを疑ったが、電圧は十分にあるし、メーターも動いている。もしや、オイルポンプの不調でエンジンが焼きついたか…。だとしたら…ヤバい!

出船前に給油する語り部。お世話になっているアサヒマリーナはガソリン持ち込み可なので、庶民ボートオーナーにはありがたい。ご主人も親切です。 ©望月俊典
今まで数えきれないほどバスボートのランチングは経験してきたが、運転席では初めて。 ©望月俊典

初出船で漂流! なんとかエレキで戻ろう…

和邇川沖で漂流しながら、売主さんに電話してみると…。

売主さん「電源は入りますか?ニュートラルに入れてます?キルスイッチは?…それならエンジンが焼きついたかもしれませんね。僕も見にいくので、なんとかマリーナに戻ってきてください」

なんとか、と言われてもエンジンが掛からないので…マリーナのご主人にレスキューしてもらうかエレキで帰るしかない。幸いまだ和邇川沖なので、エレキで戻ることにした。しかしながら、エレキは36V仕様なのに、バッテリーは24V。動くことは動くが、パワーは弱い。全開近く回しても子供が歩くスピードくらいしか出ない。

結局、1時間半近くかかって、なんとかマリーナに戻ってくることができた。ちょうど、売主さんも到着し、マリーナのご主人と一緒に原因を探ることに。

語り部が疑ったのは、オーバーヒート。マリーナに着く直前に今一度エンジン始動を試みると…セルが回って掛かりかけたのだ。しかし、焼きつきに近い状態になっている恐れもあるので、そこでやめておいた。

実はエンジンの角度を調整するトリムレバーの動作に問題があり、もしかしたらトリムを下げたつもりが下がっておらず、そのまま走行してしまい…冷却が十分にできずにオーバーヒートになったのでは…と疑った。とはいえ、さすがに走行中に気付きそうなものではある。

もう一度、売主さんと湖上に出てみると、問題なくエンジンはかかった。走ってみても問題はない。

売主「もしかしたらちゃんとニュートラルに入っていなかったのかもしれませんね。しっかり入れないとエンジンが掛からないんですよ」

その線は確かに怪しい。ギアのレバーを動かしてニュートラルに入れるのだが、その幅が語り部の考えていたよりもずっとシビアなのだ。

ともあれ、エンジンが焼き付いたのではなくて本当によかった。結局、その後も釣りをしたが、魚探もないし、暑いしで、やっぱり昼前に上がることにした。まだこのボートで魚は釣っていない。

和邇川沖を漂流しながら、売主さんに電話するこの哀れな語り部。愛犬・アブも暑そうだ。エレキをリモコンで操作しながら「どんぶらこ」とゆっくり戻っている。 ©望月俊典
ニュートラルに入れているつもりだが、これが入っていなかったのかもしれない…。 ©望月俊典
出船した日に大雨が降ったので、翌日マリーナへ見にいくと…ボートカバーに大量の水が溜まっていた。対策が必要である。 ©望月俊典
ホームセンターで脚立、収穫コンテナなどを購入し、ボートの中央を高くすることで水が溜まらないようにした。 ©望月俊典
ボートの尖っている部分は様々な方法で保護して、カバーが切れないようにする。 ©望月俊典
雨対策はこれでOK! ちなみに、ボートカバーはU.S.Amazonで110ドルで購入した格安品。3年は持って欲しい。 ©望月俊典

2度目の出船で、見たこともないような巨大魚がヒット!

あれから1ヶ月後の8月24日。真夏の滋賀はあまりに暑いので…長野や千葉の実家で過ごしていたのだが、学生時代からの友人Mより、夏休みを滋賀で過ごしたいという連絡が来た。

M「あのかっちょいいボートに乗りてー! 釣りもしたい!」

過去に空冷ポルシェ911、ロータス・エランなどを所有し、今は1969年製のアルファロメオ・ジュリアとBMWの古いバイクに乗っているエンスーなM。普段は釣りをしないくせに、スキーターのカッコよさには惹かれるらしい。とはいえ、暑いので昼までに上がる気満々だし、釣り方にもまったくこだわらないということなので…彼にはエサ釣りをしてもらうことにした。魚探もまだ付いてないしね…。

朝。40cm減水した琵琶湖で、前回以上に慎重にランチングすると…あれ、またエンジンが掛からない。マリーナのご主人が水に入ってくれてボートをチェックすると…バッテリーの配線ミスだった…。スミマセン!

気を取り直して、沖へとアイドリングで進んだところで、フットペダルを踏み込んでみたが…今度はエンジンが全然吹け上がらない。どうしたんだ…いつものようにぶっ飛ばそうぜ!?一瞬焦ったが、おそらくプラグがかぶり気味だったのだと思う。ニュートラルに入れて何度か吹かすと、快調に回ってくれた。

時速90kmくらいまでスピードを出して、北へと進む。まだまだ回転数に余力があるが、今日はこれくらいにしておこう。

さて、沖島、大同川沖の魚礁などで釣りをするも、アタリがない。徐々に南下し、真野のポイントで粘っていると…Mのエサタックルに何度かアタリが出始める。そしてついに…Mのロッドが思い切り絞り込まれた!

語り部「巻いてから合わせて! あれ…めちゃくちゃデカいんじゃない?」

安全な場所へとエレキで誘導し、時間をかけてファイトをしてもらうことに。謎の魚が少し浮いてきて…一瞬魚影が見えた! これは…ヤバい。

M「なにこれ…バスじゃないよね? めちゃくちゃ引くぜ」

語り部「オオナマズかな? 絶対獲ろう。じっくり行こう」

ジジ、ジー、ジー…と、大昔のカルディアのドラグが仕事をしている。お世辞にもスムーズとはいえない出方であるが、PE0.8号+フロロ2号ラインを切られないように守ってくれているようだ。

15分ほどファイトしていると、魚は疲れ、水面付近まで浮いてくるようになった。これは…コイだな。しかしデカい。余裕で1mを超えているように見える。
語り部がネットランディングを試みたが、デカすぎて頭しか入らないし、ネットを嫌ってまた一気にラインを出されてしまう。口とエラ蓋を手で掴もうとしてもデカすぎるのとパワーがありすぎて無理だった。

そんなことを何度か繰り返した頃、最後はネットに頭だけ入れて、お腹を右手で持ち上げながら、強引にボート上に上げることに成功した(ネットは付け根が破損)。しかし、なんというデカさだ。頭は子豚くらいあるし、胴体は丸太のようだ。

語り部「じゃあ、全裸になってそのコイを抱こうか」

M「上等だよ! …いや、無理。デカすぎて怖いよ!」

結局、デッキで暴れるコイのパワーを止められず、満足のいく写真の撮影はできなかった…。

計測してみると、長さはなんと112cm。噂だと110cmクラスの野鯉は政財界の大物みたいな人が池で飼うために、100万円で買ってくれるらしいのだが…。我々は精神的貴族、迷わずリリースした。

ガソリンの入れ方をドクター中松式のポンプに変更。この方が楽だし、こぼすこともない。 ©望月俊典
巨大魚とファイトするM。ちなみに、彼は柔術紫帯の格闘家でもある。 ©望月俊典
キャッチ成功。残念ながら…写真ではうまく大きさが伝わらないのだ。レ・ザミ号3世(この黄色いスキーター)初めての獲物である。 ©望月俊典
ボート上に横たわる巨ゴイ。ヌルヌルと血液でデッキは殺人現場のようになってしまった…。 ©望月俊典
この日も猛暑なので12時に上がり。高圧洗浄機を借りてヌルヌルと血を綺麗に掃除した。 ©望月俊典

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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