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神奈川県・鶴見発“江戸前マダコ”、空前の大発生、竿頭27杯!

2019年07月01日公開

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週末の雨は梅雨時だから仕方ないとしよう。だが荒天で船が出ないとなると、出るのは溜息と愚痴ばかり。そんな欲求不満な沖釣りファンに朗報。「今年はマダコの当たり年!」。梅雨の晴れ間、横浜は鶴見発『新明丸』に出掛けた。

アクセス良好、“電車釣行”派にも最適

『新明丸』は、第一京浜(国道15号線)・本町通入口交差点近く、鶴見川に掛かる潮見橋の袂にある。JR京浜東北線・鶴見駅から徒歩7分、京浜急行・京急鶴見駅から徒歩5分とアクセス良好で“電車釣行”派にも嬉しい。車で来た際は、店先の船宿スタッフに声を掛けて空いている駐車場所を案内して貰う。店内の窓口で乗船料と駐車場代を支払い、乗船名簿を記入する。テンヤを買うなら受け付け時に購入しておくのがお薦めだ。船着場へは、川沿いの土手を徒歩1分ほど。「フグ」や「マゴチ」など、釣り物の札が各船の操舵席に掲げてあるので、間違えないように乗船を。釣り座は先着順なので、先着の釣り人に声を掛けながら着席。出船30分前頃になると上乗りさんが餌のカニと引き替えに乗船券を回収する。6月10日のスタート以来、“規定数”20杯達成の相次ぐ好釣果が太公望を呼び、この日も平日にも関わらず18人乗船と大賑わい。気温とともに高まる期待感に包まれて「第八新明丸」は定刻より少し早めに出船した。

開始早々、ノリ活発?!

鶴見川を下ること20分弱で最初の釣り場に到着。防波堤に沿って流すとたちまちマダコからの反応が。船中1杯目を釣り上げたのは、左舷ミヨシ(船首)の髙橋さん(横浜市)。いつもは『新明丸』でフグ釣りを嗜んでいるそうだが「トップ20杯って聞いて、今のうちに行こうと思って…」とチャレンジした釣りは快調な滑り出し。この春誕生した頭部がリンゴ大の“ワキダコ”と呼ばれるサイズ(300g程)が目立ったが、5杯に1杯ほどの割合で2周り程大きなサイズも上がり、発生・成長ともに今期の有望さが見て取れた。

 

『新明丸』のマダコ釣り

東京湾のマダコ釣りをざっくり解説しよう。湾内のマダコ釣り場は大きく分けて2種類。砂地でタコが貝殻と一緒に上がって来るような「ガラ場」と、ブロックやゴロタ石など障害物に絡む「岩礁帯」の2つ。この日『新明丸』が攻略したのは主に「岩礁帯」で、海底でテンヤを引き摺っているとたちまち根掛かりしてしまう。これを避けるために、テンヤを沈めてはアタリを待ち、頃合いで持ち上げて根を避けては再び沈めてアタリを待つ。あるいは糸が斜めになったらテンヤを一旦引き上げて、再び入れ直す…という釣り方になる。道糸を摘まんで海底を小突きながら、通常の状態とタコの乗りを識別する動作は同じだが、「ガラ場」と「岩礁帯」の釣りを混同すると、経験者ほど釣れない状況に陥るので注意したい。乗りや異変を感じたら、しばらく小突いて様子を伺い、ゴム紐で引っ張られるような反応や、手に伝わる重みの変化が“確信”に替わったら、大きく合わせてタコをハリに掛け、糸を弛めずスムーズに引き上げるだけ。合わせも手繰りも、手を頭上に挙げるような挙動はバラシの原因になるのでご参考まで。

アタリの多さは驚愕レベル!
船中で誰かがアタると続けざまにあちらこちらの釣り座でマダコが掛かるこの日の釣り。個体数が多いのか、アタリの数は例年に無く多いように見受けられた。また、ふと沈黙するような流しもあるのだが、よ~く見ていると根掛かりを忌避するあまり初期の乗りを根と勘違いして引き剥がしているようなシーンも散見した。シーズン序盤のマダコは軽いので重みだけでは分かりにくいのだが、水深も概ね20m以浅と浅いので、怪しいと思ったら糸を張って様子を伺い、硬い反応で無ければ合わせてテンヤを上げ、目視するのも数を上げるコツかも知れない。また根掛かりしてしまったら、巧く外せるようになるまでは黙々と頑張り過ぎずに、上乗りさんや船長にいち早く声を掛けるのが得策だろう。

船長に訊いてみた

今年のマダコの模様を髙橋英夫船長に訊いた。「例年より良いと思います。広範囲に湧いてるみたいで、数はそれなりに行けると思う。よほど梅雨時の水で悪くならない限りは、このまま育ってくれるんじゃないですか」と非常に好感触。東京湾の広いエリアで発生している上に、例年7月からは富岡・小柴沖と更に釣り場が解放・拡大されるそうなので、今後もますます楽しみだ。沢山釣るコツを尋ねると「飽きずに底を叩き続けること。マダコにアピールし続けて頂ければ結果が出ると思います」との事。最後の最後は自分との闘いのような“タコ道”の片鱗を垣間見た。「手釣りなんで、手を防御する道具、軍手なり指サックなりは必ず用意して貰えればと思います」(船長)との事で、タコ釣りにお出掛けの際はどうぞお忘れ無く。

竿頭27杯、船中170杯超え!

怒濤の大釣りを記録したこの日、竿頭は船中1杯目を獲った髙橋さん。2kgの良型を頭にリリースした仔ダコも含めると27杯と驚きの釣果。タコを詰めた網袋を持って「重ぉ~い!」と嬉しい悲鳴を上げていたが、それもその筈、重さにすれば軽く10kg超え。更に船中では170杯を超えるマダコが取り込まれ、ツ抜け(10杯超え)した釣り人が9人も居た。こんなに釣れてしまって大丈夫かと薄ら寒く感じたが、船長曰く「1箇所に個体数が多過ぎても餌不足で共食いするか、大きく育たない」との事で、程よく間引いている程度だとか。確かに釣り上げた大型の個体が仔ダコを吐き出す一幕もあり、300g以下をリリースして良型を定数20杯まで釣っている分には、罪悪感に苛まれなくても良いようだ。とにもかくにも、この夏はマダコフィーバーが期待される東京湾。この記事が公開される頃には、あの仔ダコたちも大きくなっていると思うと、黙って心に留めておくことは到底出来ない。タコ釣りの入門にも最適な今期こそ、マダコ釣りで令和元年の思い出に残る“大漁”と“ご多幸”をお祈りしたい。

今回利用した釣り船

神奈川県 鶴見 『新明丸』
〒230-0051 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央5-13-24
TEL:090-3519-1111
定休日:毎週木曜日 釣果・施設情報 新明丸 ホームページ

出船データ

マダコ乗合(当日先着30名まで)
集合時間:午前7時までに受付
出船時間:午前7時30分
乗船料金:9,000円(餌付き)※女性・中学生以下は乗船料金半額
駐車場:500円/日
レンタルタックル:無料(テンヤ:800円)
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

川添 法臣
釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込むツリキチ。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他
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