釣りビジョン

滋賀県・琵琶湖 DRT/ファラオの極秘テストに潜入レポ!!

2022年11月29日公開

滋賀県・琵琶湖 DRT/ファラオの極秘テストに潜入レポ!!

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ルアー素材に布を使用する、というバスルアーの歴史書に残りそうなプロジェクトがDRTによって進行中。10月31日に最新情報を記事化したが、今回は実釣テストの模様をお伝えしよう。

アングラー紹介
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白川友也(しらかわ・ともや)
三重県出身、滋賀県在住。裸一貫、カスタムロッド制作から釣り事業を開始し、今日のDRTを作り上げた男。可変ビッグベイトのクラッシュシリーズを初め、数々のオリジナリティあふれる釣り具を世に送り出してきた。なお、元パンクス。ロックのテイストを釣り具に融合させ、それを初めて商業的に(も)成功させた人物でもある

 

アングラー紹介
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米山悟(よねやま・さとる)
鳥取県出身、滋賀県在住。2018年に琵琶湖で「ほらねガイドサービス」を開業。ビッグベイトやマグナムディープクランクでモンスター級のバスを釣らせるガイドとして定評がある。PEラインと重めのジグヘッドでディープを攻略するいわゆるパワーミドストを最初に始めた人物、という複数の証言もアリ

ファラオはどこでどうやって使うのか?

11月、深まりゆく秋の日。衝撃的な新発明、布製ビッグベイトであるファラオの実釣テストを取材させてもらった。春から今まで何度も琵琶湖でテストを繰り返し、得たバイトは50回以上。異常ともいえる集魚力を発揮する反面、フッキング率の悪さが課題として残っていた。釣行のたびにアップデートを繰り返してきたファラオ。今回のバージョンは…どうだろうか?

釣行メンバーはDRTの代表でありファラオ開発者の白川知也さん。そして、DRTプロスタッフであり琵琶湖の人気ガイドである米山悟さん。米山さんにはファラオではなく別のルアーを投げてもらって反応の違いなどを見ていった。ところで、米山さん。最近の北湖の状況は?

米山「秋なので、バスは浅いところから深いところまで散っていて、すべてがそれほど反応がよくないです。近年では一番難しい。魚探にバスは映るし、水中ボイルもしているんですけどね…」

というわけで、ゆっくり目の8時30分に釣りがスタートした。まずは、北湖西岸、中規模の流入河川周りから。ウィードパッチに向けてファラオを投げている。白川さん、現段階でのファラオの使い方は?

白川「投げて巻くだけ。それが基本ですね。現状のファラオはi字系なので、あんまり小技が効かせられないんです」

少なくとも今はシンキングではなくフローティング〜サスペンディングで使用しているそうだ。では、釣るための最重要条件、どんなスポットへ投げ込むとバイトがあるのだろうか?

白川「基本はシャロー。桟橋の横を通したり、ウィードの上っ面を引いたり…普通のビッグベイト、スイムベイトと同じような感じですね」

朝は北湖西岸のシャローからスタートした。ウィードパッチや地形変化を狙った
最初に投入したファラオ。やや頭上がりのセッティングになっていて、ゆらゆらとテールや布の端をはためかせ、さりげなく泳ぐ
ファラオを投げる場所その1。まばらに生えたシャローのウィードフラットエリア。このエリアはやや濁っていて、2度ほどチェイスがあった
ファラオを投げる場所その2。取水塔や桟橋など単独のマンメイドストラクチャー。どデカいバスが潜んでいる永遠の一級スポット。ただし、バスの警戒心も高く一筋縄にはいかない

最新のファラオ、アップデート事情

その後、東岸へと渡った白川さん。野洲川周辺のシャローでエレキを下ろした。反時計回りに北湖を釣っていくようだ。

さて、この日に用意されたファラオはどんな状態に進化を遂げているのだろうか?

白川「今回のは、バブル期にギャルが来ていたボディコン(服)の素材なんです。ジュリアナって呼んでます。あとは魚が喰うところ(胸ビレのあたり)にハリをセットしています」

なお、サイズは徐々に大きくなり、”ジュリアナ”は30cmほど。50cmクラスの試作品まであるとのこと。着せ替え可能なので、いろいろな布のサイズを試しているそうだ。

取材時における最新のモデル。最初からホログラムのようなキラキラする生地に魚の画像がプリントされている。生地は厚みと伸縮性があり、着水の衝撃などで破れにくいのも特徴。フック位置は取材時の途中で尻ビレのあたりにリセットされた
実釣開始時のファラオ。このときは胸ビレのあたりにフックがセットされていた。こちらの方がアクションはよかったらしい

いきなり50cmアップ登場!! で、ルアーは…?

東岸シャロー、まばらにウィードが生えたエリアで白川さんはファラオを投げ、米山さんはゴーストを投げていた。時折、ファラオの真下に付いて一緒に泳ぐようなチェイスはあるものの、バイトまではなし。とはいえ、濁りの中でもバスを引きつけているファラオの集魚力は本物だ。…そう思っていたら、視界の外で「ゴヴォッ!!!」という水面が炸裂する音が聞こえた。

米山「こっちに来ちゃいました…」

と、ちょっと恐縮そうにファイトをしている米山さん。何かがおかしい(笑)。

白川「ええやん!」

水面を割ったバスはなかなかのサイズだ。しかし、ルアーはデプスのイヴォークゼロ150だった。

米山「今日初めて使ったルアーです。今日みたいなターンオーバーを起こしているときはこういうルアーが効きますね。金属音がなぜかよく釣れる音があります」

白川「いやー、一緒に違う釣りをしてもらうと勉強になりますよ、本当に」

なんでも吸収しようとするのが白川さんの特徴でもある。謙虚な一行はさらに北上を続けた。

広範囲に広がるウィードエリアのトップを大型高速ノイジーでカバーしていくと…あっさり水面が割れた
琵琶湖体型のナイスな50cmアップ。さすがの人気ガイドである

いきなり50cmアップ登場!! で、ルアーは…?

次は北湖・東岸の流入河川へ。バスがフィーディングしそうな河口の石積みにて、ファラオをロングキャストして狙った。スピードの強弱をつけて、泳層やアクションを変えていく白川さん。また、河川内のブッシュを攻めていくも、バスのチェイスさえ見られない。

米山「ここは冬でもノーシンカーリグとかで釣れることもありますけどね…」

さらに船団の沖島魚礁を経由し北上、東岸の流入河川へ。河口周辺には石積みや旧桟橋跡だろうか、とにかく昔の人工物の痕跡がある場所へとファラオを投入していった。すると…1投目からバスがチェイス!

白川「おお、でかい…。ここは結構デカいバスがいるんですよ」

同じバスなのかまた別のバスなのかわからないが、キャストのたびにかなりの確率でバスが付いてきた。しかし、ファラオの下で見ているだけで簡単には浮いてこず、喰うまでは至らない。かなり太いせいか、なかなか手強いのである。

さらに北上を続けるファラオ旅団。彦根港の桟橋跡でもチェイスがあったが、期待した尾上の取水塔や西野放水路では何も起こらず。これは…まずそうな展開だ。

白川「この取水塔にバスがいないのはショックだな…。わりと毎回アタリがあった場所なんですよ」

そこから西岸へと再び琵琶湖を横断。今津の桟橋にデカいバスが見えたが、バイトまでは至らず。付近のシャローを経由し、ついに外ヶ浜に辿り着いた。沖の浚渫エリアだけにファラオの出番はあるか?…と思っていたが、白川さんは迷わず投げている。

白川「反応はするんですけど、喰わないですね…」

米山さんがゴーストを投げて潜らせていくと…ブレイクにいたであろうバスが3匹ほどでルアーをチェイスする様がライブスコープで映されている。すかさずフォローするかのようにプロトのロングワームを投じると…。

米山「喰いましたよ」

そうシブく呟いたあと、少し間をおいてから思いっきり合わせた!しかし、これもすっぽ抜けてしまった。

白川「一箇所でこんなに粘るんやな」

米山「普段はノーシンカーをやることもありますよ」

その後、今度はゴーストで喰わせるも、これまた不運にもフッキングまでは至らなかった。

米山「ドン!と入ったんですけどね…」

最後は比良沖で白川さんにロングバイトが出るも、アワセたらすっぽ抜けてしまい…ここで実釣は終了となった。

ファラオで桟橋跡を撃っていく白川さん。チェイスは比較的どこでもあったのだが、この日はバイトさせることすら難しかった
途中でファラオから布の服を脱がせ、フック位置を後方へと移動させた
外ヶ浜の浚渫エリアにて。米山さんがゴーストをデッドウォークさせるとデカそうなバスが3匹付いてきた
その後、プロトのロングワームでボトムを攻めると…今度はしっかりバイトした。しっかり間を置いてから合わせるも…

リベンジを約束し(口約束)、今日はこれくらいにしておこう

難しい状況のなか、白川さんにファラオで1日釣りをしてもらったが、残念ながら成果には恵まれなかった。まあ、そんな日々を乗り越えるのがビッグベイターという男たちなのだ。では、現時点でのファラオの完成度はいかがだっただろうか?

白川「うーん、魚が喰うところにフックを移動させるのも試したんですけど、それだとアクションがあまりよくなかったですね。今まで通りのフロント側にフックが付いている方がアクションはいい。でも、新しいジュリアナの布、あれは反応がよかったかな。動きも悪くないですし。今はボディ内部のコアを改造していて…頭がいっぱいです。それが完成したらまたリベンジ取材をやらせてもらいたいですね」

こちらこそ、ぜひまたお願いしたいです!!(※ライター個人の希望です)

夕暮れ時の白髭神社…近くの取水塔
何度かアタリがあったプロトのロングワーム。渦巻状のテールに特徴がある
2022年6月17日、世界で初めてファラオによってキャッチされたバスがこちら。表層を巻いていたらドン!と喰ってきた8ポンド(約3630g)。ちなみに、この写真を撮影したのはたまたま近くにいた栗田学さんだったとか
タックル情報
タックル情報 白川使用タックル
ワーム用とファラオ用の2タックルを撮影したが、使用頻度のほとんどはファラオ用。ファラオ用のロッドはディープクランクやビッグベイトのクランキングに照準を合わせたプロトモデル。ワーム用ロッドはアーテックスシリーズの蜃気楼。白川さんが琵琶湖に立ち込みながら、沈みモノを狙うような釣りをしていたときに見た蜃気楼が命名の由来だという
●プロトワーム用…
ロッド:アーテックスA702CXHMODF蜃気楼(DRT)
リール:アンタレスDC(シマノ)
ハンドル:バリアル95+バリアルEVAノブファット(DRT)
ライン:フロロ16ポンド

●ファラオ用…ロッド:アーテックス・サイクロンプロト(DRT)
リール:カルカッタコンクエスト200HG(シマノ)
ハンドル:バリアル100+バリアルEVAノブファット(DRT)
ライン:DRTナイロン30ポンド(DRT)
タックル情報
タックル情報 米山悟使用タックル
ゴースト用とワーム用に使用した2タックル。アディクションはジャイアントベイトスペシャルロッド。長さや重量の割に軽く感じるバランスのよさがあり、巨大ルアーを一日中投げることができる。なお、イヴォークゼロ150はこのタックルで使用していたがさすがにオーバーパワーだったらしい。ロングワームには白川さんと同じく蜃気楼をチョイスした。
●プロトワーム用…ロッド:アーテックスA702CXHMODF蜃気楼(DRT)
リール:バンタムMGL XG(シマノ)
ハンドル:バリアル95+バリアルノブスリムJ(DRT)
ライン:フロロ20ポンド

●ゴースト用…ロッド:アーテックスA708CXXXHRFアディクション(DRT)
リール:トランクス301HG(シマノ)
ハンドル:バリアル117+バリアルノブファットJ(DRT)
ライン:PE8号+フロロ50ポンドリーダー

動かし方の基本はゆっくりめのストレートリトリーブ。また、ショートピッチのストップ&ゴーもバスの反応がいいと最近気づいたらしい

釣りビジョンマガジン・リニューアル記念プレゼントキャンペーン予告!
タックル情報
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※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

望月 俊典
千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。
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