釣りビジョン

能力別おすすめ怪魚旅プラン6【後編・冒険の領域へ】

2023年02月03日公開

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前編は主に海外釣行ビギナー向けの3つのプランを紹介したが、今回は一応、海外釣行2回目以降の経験者向けプランだ。とはいえ、海外釣行なんてのは失敗談込みで面白いのであって、最初から釣果や安全が保障されている旅など冒険でもなんでもない。初めての海外旅でアマゾンに挑戦するのも全然アリだ。胸を張ってたくさん失敗してほしいと、語り部(筆者)は思う
※コロナ禍以前の経験を元に書いております。(執筆:望月俊典)

現地ガイドとの交渉方法…すなわち海外釣行のキモの部分を話そう

前編では思うところがあり、ざっくりと省略したことがある。
現地ガイドとの交渉方法だ。海外の、特に秘境と呼ばれるようなエリアでは、現地人の協力なしには釣りが成立しないことが多い。彼らといかにして繋がるか…。今回は冒頭でそれを紹介したいと思う(ちなみに「予算」には現地ガイドの代金も含まれている)。とはいえ、方法はたくさんあるので、そのうちの代表的なものと考えてほしい。

●日本のツアー会社に依頼する
これが一番簡単確実…だと思われる(というのは、語り部は一度も利用したことがないから)。日本にも海外釣行を専門に扱う旅行会社があり、そこに依頼すれば、日本からガイドが一緒に同行してくれて、あらゆる面倒ごとを引き受けてくれる…と思う。英語がまったく話せなくても困ることはないだろう。ただし、かなりの出費は覚悟すべし。

●現地のロッジやプロガイドに日本からネットを使って交渉する
今や世界中の人々がインターネットで繋がっているので、現場と直接交渉をすることが誰でも簡単にできる。これなら中間の色々をカットできるので、安く上げることが可能だ。方法はフィッシングロッジのHPのメールアドレスに直接連絡して交渉する、SNSで現地ガイドに直接連絡する…など。何軒か同時に交渉して価格や条件などを比較してみてもいいだろう。プロのガイドじゃなくても、いつもいい魚を釣っているようなSNSトモダチに連絡してみるのもアリかもしれない。ただし、騙されたり犯罪に巻き込まれたりしないように、警戒はしておこう。外国語が苦手でもGoogle翻訳などを利用すればどこの言語も自由自在だ。

●現地の漁師やボートを持っている人に直接交渉する
完全にノープランともいえるが…うまくいけばこれが一番安く、かつ冒険性が高い。よい釣り場はよい漁場でもあるので、必ずといっていいほど腕のいい漁師が存在する。彼らを直接ターゲットにするわけだ。そもそも、「現地の秘境釣りツアー業者」というのは笑顔で現れる地元の顔役みたいな人が中間で搾取しているだけで、案内するのは結局現場の漁師だったりすることも多いのだ。漁師と直接交渉するには、Googleマップで漁港や船着場の位置を調べてそこへ行ってみるのがいいだろう。楽をしたいなら、老舗っぽいマトモなホテルに泊まり、そこの主人(アルバイトはダメ)にお願いして信頼できる漁師を紹介してもらおう。なお、金の話は最初にキッチリとクリアにすべし。漁師ではなくても、現地の釣り好きと仲良くなれば一緒に釣りに釣れて行ってくれることもよくあった。

●日本人の友人知人に現地ガイドを紹介してもらう
特別なこだわりがなければこれが一番確実かもしれないし、もしかしたら安いかもしれない。ただし、その知人の足跡をたどるような旅になってしまいがち…というジレンマもあるが…。しかしながら、紹介してもらうからにはそれなりの礼節というかマナーもあるのでそこはしっかり守ろう(例:以後、紹介してくれた知人を介さずに現地ガイドをまた別の知人に紹介したり、勝手にツアーを組んで行く…などの行為は人間関係を壊す原因になる)。また、面識のない釣り人(日本人)にいきなり連絡して「現地の協力者を紹介してほしい」というお願いは慎んだ方がいい。「釣れたポイントはどこですか?」とSNSで質問するのとまったく同義だからだ。

では、本題の旅に出よう!

●プランD モンゴルのタイメン釣り旅

お金 :★★☆☆☆
時間 :★★★☆☆
行動力:★★★☆☆

対象魚:タイメン、ノーザンパイク、レノックなど


このあたりから”誰でも行ける感”はなくなり、ハードコアな怪魚旅になってくる。首都のウランバートルから有名な釣り場までは未舗装路を2日間ほど走るのだが…果てしなく広がる草原は、他ではなかなか見ることのできない独特の光景である。

釣り場近辺に宿などはなく、草原でのキャンプ生活になる。そこらに転がっているウシのフンを燃料にして、釣った魚を料理して食べるのだ。もちろん風呂などもなく、身体を洗いたければ冷たい川で行水するしかない。山のような斜面を降りて川辺を歩きながら釣りをするのでそれなりに体力も必要。そして、タイメンは手強い。個人的にはフィッシングガイドも利用しなかったので…それだけに釣ったときの感動はひとしおだった。(ドライバーは紹介してもらいました)

オプションで巨大なパイクも狙えるし、馬を借りてひとりで野山を散策することもできた。

 

●プランE アマゾンの怪魚盛り合わせ釣り旅

お金 :★★★★☆
時間 :★★★★☆
行動力:★★★★☆

対象魚:ピーコックバス、タライロン、ペーシュカショーロ、ピラルク、ピライーバ、ピララーラ、ジャウー、アロワナ、ピラニアなど


世界の釣りキチが目指す怪魚の楽園であり、怪魚RPGのラストステージ、それが大アマゾンだ。ひとことでアマゾンといっても、水域はあまりにも広大。釣りの対象魚も釣り方も多様性に満ち溢れている。釣り旅のスタイルも観光ついでのピラニア釣りから、川の奥地へと何日もボートで遡上しながらキャンプするスタイルまで様々。なので、旅の費用や日数もそれに応じて天井知らずとなる。

なかでも最も人気があるのはネグロ川の巨大ピーコックバス釣りツアーだろう。ターゲットは全15種とされるピーコックのなかで最も大きくなるトクナレ・アスーなのだが、特筆すべきは釣り場での移動方法。マザーボートと呼ばれる、水上を動くホテルのような船で大移動しつつ、よさそうな釣り場に着いたら小さなアルミボートでジャングルの奥へと出撃していく…という贅沢なアドベンチャースタイルなのだ。

日本からのツアーもあるが…正直、費用はかなり高額。お金に余裕がある人ならそれを勧めるが、そうでないなら現地のフィッシングロッジ(釣り宿)やホテルボートとの直接交渉するのがいいかもしれない。現地空港まで自力で行くことに抵抗がなければ、直接ロッジやホテルボートの会社にネット予約するだけでだいぶ安く上げることができる。

また、フィッシングロッジを利用しないで現地の漁師と直接交渉して釣りをするのもいいだろう。快適性は下がるが、圧倒的に安上がりだし、プロ漁師の釣りや暮らしぶりを体験できる面白さもある。不確定な要素はかなり増えるが、それこそが旅の醍醐味だとこの哀れな語り部は思う。

●プランF コンゴ河のムベンガ釣り旅

お金 :★★★☆☆
時間 :★★★★★
行動力:★★★★★

対象魚:ムベンガ、各種ポリプテルス、アフリカンスネークヘッドなど


アマゾンが最終ステージなら、こちらは裏面のラスボス。フィッシングロッジはおろか、釣り場までの公共交通機関さえ(ほぼ)ない。なので、ムベンガが泳ぐ釣り場にたどり着いただけでもよくやったと褒めてさしあげたいくらい、冒険的な旅になることは間違いなし。

まず、キンシャサ(コンゴ民主共和国の首都)でもブラザヴィル(コンゴ共和国の首都)でも、空港内で入国管理官にカツアゲされるところから旅は始まる。なんとかトラックの荷台に乗って中継地の村まで行くか、ボロいSUV車をドライバーごとチャーターしていく必要がある。中継地の村では村長や軍関係者に金を渡して釣りの許可をもらい、泥舟のようなボートに乗って夜空の星を眺めながら川を進んでいく。

最前線の村に着いたらまずは族長にご挨拶(当然いろいろお土産を渡す)。滞在と釣りの許可をなんとかもらい…やっと釣りができる。といっても簡単に釣れるわけではない。エサの調達だけでもかなり苦労するだろう。宿も風呂もないし、食事もすべて自炊である。ただ、現地民は極めて陽気でフレンドリーなので、楽しいといえば楽しい。ちなみに、この哀れな語り部は2度挑戦して26日間連続オデコです。釣り旅を極めたいなら…止めはしない。

■前編はこちら

※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

望月 俊典
千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。
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