釣りビジョン

2014.9.1号

利八丸・千葉県勝山港
千葉県・勝山沖のカワハギ。秋本番を先取り!!

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連日うだる様な暑さが続いている。“旧盆”が過ぎ、公園や街路樹から、ミンミン蝉の声に交り、カナカナカナとヒグラシの鳴き声が聞こえてきた。木々の葉を通して頬に当る風は、もう秋の気配を感じる。千葉県・勝山港『利八丸』から、「カワハギの乗合船を始めたので、良かったら!」との誘いの電話。カワハギは、“餌泥棒”の異名まで付いている奥が深い釣りの一つ。海水温が高い今の時期、カワハギはバラけているが、シーズン初期は大型が釣れる確率が高いとの噂。秋本番を先取りして20日(水)に駆けつけた。

受け付けの左側が駐車場

富津・館山自動車道の鋸南富山ICを下り、直ぐの信号を右折、踏切を渡って暫く行くと勝山港に着く。正面の『利八丸』船着き場の誘導看板に従い左折して進むと、右側に受け付け。左側が駐車場になっている。女将さんに挨拶をすると、カワハギは私を含め4人との事。氷と餌のアサリの剥き身を受け取り、「第八利八丸」の左舷側に4人並んで座った。この時期のカワハギは、まだスレていない。又、水深も浅く釣り易い。数釣り中心になるか、大型が出るか、胸が躍る。定刻午前5時、船の舫いが解かれた。

係留船への誘導看板
『利八丸』の受け付け
釣座番号札

釣り場は浮島周り。港から3分の近さ

渡辺大輔船長から「近場から探っていきます」とアナウンス。港前の浮島の上から朝日が昇り、幻想的な光景を見ながらの出港。釣り場の浮島周りまで航程3分。沖に出ると幾分前日のウネリが残っているが、釣り辛い程では無い。「ハイ、やって下さい。水深は23mです」のアナウンスでスタート。ミヨシ(船首)の早川武毅さん(千葉県・鋸南町)は、オモリの上にビーズを沢山付け、カワハギにアピール作戦。竿先を上下に動かし、誘いをかけている。船長に向って「アタリは有るがハリ掛かりしない」と訴える。黒田寿己さん(板橋区)は1投目の竿を上げたら、全部餌を取られていた。今日のカワハギは手強そうだ。釣り初めは潮が動かず、上がって来るのは、キタマクラやベラばかり。船中第1号は開始30分、黒田さんが良型を取込んだ。

係留船の前が駐車場
船中第1号のカワハギ
浮島から朝日が昇る

潮が動き出した時が、入れ喰いタイム

“ゲスト”が多くなると、船長は直ぐに船を移動させる。その直後、早川さんが20cmオーバーを取込んだ。黒田さんも調子良く、2匹目を取込んだ。良いポイントに入った様だ!ポツリ、ポツリと“ゲスト”の合間を縫って“本命”が上がり出した。6時頃、仕掛けを入れると、道糸が斜めに入って行く。潮が動き出した。最初の水深は16m。段々深くなっていく。早川さんは4本バリを駆使し、調子よく取り込んで行く。しかし、いつも下のハリばかりに喰ってくる。他の2人も負けてはいない。20cm前後をポンポンと取り込んでいる。早川さんが、「これは大きいぞ!」と言いながら1.5mの短竿を胴中から曲げ、電動リールを唸らせて巻いている。皆の視線が集中する中、取り込んだのは、何と32、33cmの大アジ。早川さんは「スゲーデカイと思ったのに…」と珍客に苦笑い。

良型をゲット
来たよ!良い型でしょう
船で売っている仕掛け

タオルを利用しての餌置き
市販の餌置き

 

いきなりカワハギのダブル

時合を逃しては…と思い、ここで私も竿を出した。カワハギ釣りはアサリの餌付けがキモ。水管にハリを刺し、ベロを縫い差しにしてワタの中でハリ先を止める。小さく纏めるのがコツだ。竿を上下にタタキ、散っているカワハギに餌のアピールとジラシを4、5回繰り返し、そっと止めた時、ガガッとカワハギ独特のアタリ。竿を立ててしっかり合わせる。途中カンカンと竿先が叩かれるので、手先だけで竿を掴んでリーリング。海面を割ったのは、何とこの日初のカワハギのダブル。それも良型だ。「ヤッター!」と叫んでしまった。餌を付け直し投入すると、又、ガガンのアタリ。20cmオーバーを手にした。時にはスレで上がって来る事も有り、夢中になってしまう。早川さんも終始好調で、早々“ツ抜け”。順調に数を伸ばしていく。

早々2匹目です!
完全防護の熱中症対策です
ダブル。ヤッター(取材者)

もう、キモも膨らみ出した
カワハギ釣りは奥が深い
仕掛け図
 

潮が止まると、“ゲスト”が主役

8時過ぎ、潮が止まり、カワハギはポツリポツリと、忘れた頃に釣れて来る状況になった。一生懸命誘いを入れるが、“ゲスト”の率が高くなってきた。カワハギが餌を喰う前に“ゲスト”が先に喰いつく。時にはカワハギとキタマクラのダブルも有った。畠山敬さん(木更津市)は、シロギスも釣り上げた。“ゲスト”の魚種は多彩だ。

釣られちゃったー!
泥棒はカワハギです。間違わないでよ!
キモ和えで充分行けそう

富浦沖は潮が緩めば、大型期待!

10時半過ぎ、船長が「大型を狙ってみましょう」と言い、一路富浦沖に船を走らせた。水深12m。投入すると潮が速い。ここでも大型のキュウセン、オハグロベラ等の“ゲスト”が先に喰ってしまう。大型カワハギを期待して、暫く粘ったがこれでは堪らないと、最初の勝山沖に戻った。しかし、先程の海とは全く変わり、潮の流れが速くなり、道糸が船底の方に入り込み、釣り辛い。釣れるのはベラ等の“ゲスト”ばかりで苦戦を強いられ、13時の沖上りの時間となった。

このクラスが美味いんだ!
秋が深まればキモはパンパンだよ
渡辺大輔船長

竿頭は23匹!

竿頭は早川武毅さんの23匹。次が12匹。写真を撮りながら竿を出した私は8匹。型は15~24cmで、特大は出なかったが、20cm前後の中型が多かった。その後、24日は日曜日にも拘らず10~28匹と釣果も上向き加減。カワハギシーズンは、まだ始まったばかり。9月に入れば海水温も徐々に下がり、バラけているカワハギも、段々深場に固まって来だろう。日により潮温や潮の速さで、一進一退を繰り返しながら秋の潮に入れ替わり、カワハギ本番に突入していく。今シーズンは、期待しても良さそうだ。

(釣りビジョンAPC・飯妻武夫)

今回利用した釣り船
千葉県勝山港『利八丸』
〒299-2117 千葉県安房郡鋸南町勝山471-7
TEL:0470-55-3837
詳細情報(釣りビジョン)
利八丸ホームページ
出船データ
■カワハギ乗合料金■
午 前 船:8500円(氷付き・餌別)
出船時間:5:00、沖上り13:00
インターネット割引有り
貸道具:手巻きリール・竿・・・無料
*カワハギ仕掛け・オモリ販売有り
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