釣りビジョン

乗っ込みメジナを狙って西伊豆・安良里へ。期待とは裏腹に大苦戦!

2024年04月07日公開

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2月中旬から3月初旬にかけて、目まぐるしい海水温の変化と乗っ込み前の食い渋りにより、釣果に恵まれなかった伊豆半島でのメジナ釣り。それでも釣りに出かけてしまうのが釣り人の性。今回は磯釣りクラブメンバーの杉崎さん・竹中さん・私の3人で西伊豆安良里に出かけてきた。厳しい状況の中でも、40cmオーバーの声はポツリポツリと聞こえていたので、乗っ込みメジナに出会える事を祈りながら、安良里港より出船した。

【この記事を書いたライター】磯部 哲

ウネリの影響で「オカカジ」に回避

前日の西風の影響によりウネリが残っていたため、30分以上遅らせての出船となった。渡礁予定であった本命の「マルボウ」はまだ潮が被る状況であったため、ウネリが回避できる「オカカジ」に一旦渡礁し、海の様子を見ながら磯替えを行う計画にした。

「オカカジ」は過去、40cmオーバーのメジナが釣れたほか、オオモンハタ・クロダイ・ブダイなど多くの魚種が狙える穴場的なポイントである。また釣りだけではなく、「メガネ岩」や「馬ロック」などの美しい奇岩の景色も楽しめる。釣り座は杉崎さんが船着け場に、竹中さんと私が馬ロック側に構えて、午前7時過ぎにスタートした。

魚からの反応なし!

「オカカジ」の水深は竿1本(約5m)から1本半(約7-8m)であり、どちらかというと海底付近で良型の実績が高いため、仕掛けは強めのタックルを組んだ。磯竿1.5号/リール3000番/道糸PE0.8号/ナイロンリーダー2.5号を4尋(1尋は約1.5m)/フロロカーボンハリス2.5号を2尋/針5号を選択。今回は新作の「ウキくん 環付きタイプ 00 」の試作品のテストも兼ねており、いつもより楽しみが一つ多い。まずはウキ止めなしの全誘導仕掛けの完全フカセ。コマセはオキアミ6キロ、パン粉2キロ、ヌカ3キロを準備した。

まずは足元の沈み根近辺にコマセを撒いて海中の様子を眺めてみたが、全くエサ取りが姿を見せない。仕掛けを入れてみると、潮は素直に沖に流れて行く。ウキは想定より浮力が少なく000程度の沈み方をしているため、仕掛けを貼り気味に流した。エサを突かれる様な糸反応も皆無で、毎回エサが戻ってくる。

この日の朝の海水温は16.5℃であったが、戻ってくるエサはかなり冷たく、底潮はもっと水温が下がっているようだ。隣で釣っている竹中さんは「高岩」との水道を中心に攻めていたが、これまた何の反応もなくエサが戻ってくる。過去の実績から、この場所は遠投釣りに分があることが分かっている。後半、磯替えを予定しているため、早めに遠投釣りに切り替えることにした。

相変わらず潮はゆっくりと沖に流れており、20メートルほど遠投して、コマセを5、6杯ほど被せて潮に流してみた。3分くらい経過したところで、恐らくエサは海底に届いているはずであるが、全く反応が見られない。針に海草が付いてきたり、時折根がかりする事から、上から下までしっかりと攻め切れているはずであるが、冷たいエサだけが戻ってくる。

午前9時過ぎ、「釣れないねー。今日はダメかなー?」と竹中さんと嘆いていると、船付け場で黙々と頑張っていた杉崎さんの竿が大きく曲がった。1号の竿が根元から曲がっている様子から、かなりの大物を掛けたようだ。写真を1枚「パシャリ」と撮って駆け寄ってみるも、表情があまりさえない。「これ、変な魚だよ!ウツボとかそんな感じ。」と重量感はあるものの、メジナの引きではないようだ。

近くまで寄せてくると、急に元気に海面付近を走り回った。「ボラだーっ!」。どうやらボラが海底付近までコマセを追って、エサに食いついたようだ。「重いよー、助けてー!」と頑張っている杉崎さんのタモ入れを手伝い、65cmの大根級の太さのボラを引きずり上げた。

その後、3人とも我慢の釣りで粘ってみるも、私がカサゴを1匹追加しただけでメジナからの音沙汰無し。「高岩」のお客さんもクロダイを1匹釣っただけで苦戦を強いられているようだ。満潮から2時間半が経過した午前10時30分、船長が電話をかけてきてくれた。「ぼちぼちマルボウに乗れそうなので、行ってみますか?」。二つ返事で磯替えの支度を開始した。

 

粘りに粘って、乗っ込みメジナをゲット!

「マルボウ」に磯替えし、杉崎さんは下り潮が有利な「高岩」側、竹中さんと私は上り潮が有利な船着け場に釣り座を構えた。「マルボウ」はイサキのシーズンに一度だけ乗ったことがあるが、メジナの本格シーズンでは初めての場所なので、基本に立ち返って「ウキくん 00」を選択した。

潮は緩やかな上り潮が流れている。まずは20m沖の沈み根を中心に狙ってみるが反応なし。まだ残るウネリの影響で道糸が取られてしまうため、素直に仕掛けが流せるワンド側も狙ってみたが反応無し。「マルボウも厳しいなぁー」と、諦め半分で超遠投をして潮目を狙ってみると、「コツンッ」と小さな反応が。合わせを入れて魚を寄せるが手応えが小さい。上がってきたのは25cmクラスの可愛いメジナだった。「少しでも潮が流れているポイントがいいのかな?」と同じポイントを攻めてみるも、エサが残る状況が続いた。

とりあえず魚のいる水深を探ろうと、0.5号のウキに5Bの錘を背負わせて、少しずつ棚を深くして魚信を探った。竿1本で反応なし、竿1本半でも反応なし、竿2本でようやくベラが食ってきた。このまま重い仕掛けで攻めても良いが、食い渋りの状況ではなるべく軽い仕掛けの方が良いであろうと、深場までしっかり探れる「ウキくん 000」に変更してみた。仕掛け変更後も釣れない状況が続いたが、色々とポイントを変えながら魚信が来ることを信じた。

メジナからの反応が無いため、竹中さんは磯に生えたハバノリをエサにブダイを狙っていた。時刻が午後2時に差し掛かった頃、遂に竹中さんが獲物を捕らえた!独特の引きで姿を見せたのは、40cmの良型のブダイだった。「もしかして時合いが来たかも!?」と私も気合を入れ直す。

なるべく潮が流れるポイントに仕掛けを入れたが、この時間になってボラが元気になってきたので、少しでもコマセが海底付近まで届くようにと、20杯程度のドカ巻きをした。仕掛けを入れてから3分弱が経過した時、遂にその時がやってきた!左手で掴んでいた道糸が「スススーッ」と走った。焦らずに合わせを入れると、良型と分かる重量感が伝わってきた。

タックルは十分に強いので余裕をもって近くまで寄せてきた。一瞬白い魚体が見えたので「イスズミかー?」と思ったが、魚が反転した瞬間に濃紺色が見えた。「よし、メジナだ!40cmはあるな!」と磯際まで寄せたところで、メジナからの反撃にあった。2回3回と激しい突っ込みをいなしてタモに収めたのは、43cmのでっぷりとした乗っ込みメジナだった。一日中、粘りに粘って仕留めた良型は、久しぶりに興奮する1匹となった。

次回も価値ある1匹を求めて!

この直後、竹中さんが39cmのブダイを追加。杉崎さんもワンドで超大物を掛けるが、竿を伸されて糸を出したところで痛恨の根ズレ。この後は潮が完全に止まってしまったため、わずか15分程度の短いチャンスタイムで終了となった。

今回は非常に厳しいコンディションでの釣行となったが、乗っ込みシーズン中は短い時合いを逃さずに、上手く魚の口元にエサを届ける努力が必要になる。伊豆半島では4月いっぱいは乗っ込みメジナを釣るチャンスがあるので、価値ある1匹に巡り合うため、まだまだ腕を磨きたい。

施設等情報

□渡船「KOZOU丸」
住所:静岡県賀茂郡西伊豆町安良里111-13
電話::0558-56-0088
出船時間:季節による(要確認)
磯上り:午後3時
料金:5,000円
※安良里漁港より出船 KOZOU丸のホームページ

施設等関連情報

アクセス:新東名高速道路「長泉沼津IC」から約1時間10分
     
※記事の掲載内容は公開日時点のものになります。時間経過に伴い、変更が生じる可能性があることをご了承ください。

この記事を書いたライター

磯部 哲
伊豆半島・真鶴半島をメインに活動する磯釣りクラブ「湘南爆釣族 まるやま倶楽部」の斬り込み隊長 兼 小物釣り師 兼 週末アングラー。磯釣り歴は約15年で絶賛修行中。釣った魚を料理するのも大好き。クラブメンバーで釣行を共にする杉崎さん、竹中さん、高橋名人、磯部の「釣れないカルテット」が繰り出す珍釣行に、乞うご期待!!
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