釣りビジョン

2016.9.1号

弁天屋・神奈川県金沢八景
東京湾のタチウオ、ドラゴン級も交じり出し、本格的シ-ズン突入!

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東京湾における夏から秋にかけての風物詩・タチウオ釣り。「数も出ているけれど、夏も終盤になり、型も一段と良くなって来た」との情報。台風襲来の合間をぬって26日(金)、金沢八景『弁天屋』に出掛けた。台風の影響か海は茶色く濁って条件は良くなかったが、船中で1m超のドラゴン級も数本交じって「秋のタチウオ釣り」本格的シーズン突入を実感した。

出船前に釣り方をレクチャー

京浜急行・金沢八景駅からも近く、車でのアクセスも良い人気の船宿『弁天屋』。当日は台風9号と11号の影響で暫く釣りが出来なかった釣り人が、満を持してタチウオを求めて集まった。出船前の午前7時には24人が「第八弁天丸」に乗り込む。片舷12人ずつで私は右舷の4番席。出船前に桟橋で本田和芳船長が釣り人を集めてタチウオ釣り方のレクチャー。餌の付け方から誘い方、リールの捲き方やフッキングの方法を親切に実演してくれた。釣り人たちはもう達人の気分。餌のサバの切り身が全員に配られるといよいよ出船。本田和芳船長の操船で7時15分に桟橋を離れた。

ここが船宿『弁天屋』です
今日の出船予定の魚種が出ています
この船が「第八弁天丸」

「第八弁天丸」の出船前の様子
出船前に店主の本田和芳船長が餌の付け方をレクチャー

1投目は不発…

釣り場までに仕掛け作り
船はベタナギの海を南へ進路をとる。今の時期、釣り場は横須賀沖・猿島の東沖周りとのこと。船中では大学の釣りサークルに所属しているという左舷3番の高橋廣多さんが仕掛け作り。今までの経験で「ハリス5号2m、ハリはタチウオ用ケン付きの赤バリ3号、ハリチモトにケイムラ色のパイプを付ける」のがよいとのこと。30分ほどで猿島の東沖。エンジン音が低くなると「まもなく釣り場です。準備してて下さい」と船長からアナウンス。反応を求めて魚探と睨めっこしながら付近を旋回。船が止まると「はい、やって下さい。タナは54mから40m」と指示が飛んだ。心ワクワクの第1投目、60号のオモリが短冊のサバの切り身とともに濁った海中に沈んでいった。しかし、アタリなし。暫く様子を見ていた船長は竿上げの合図。

これが今までの経験でたどり着いた赤ハリとケイムラパイプとか
ベタナギの海を一路猿島沖へ
本田和芳船長のレクチャー通りに餌付け

いきなり“ドラゴン級”が!

潮先に船を回しての第2投目。ここもタナは54mから40mと同じ、投入して間もなく左舷大ドモ(船尾)の河田円さんの竿先がグイーと持ち込まれた。竿をシャープに煽ってからリーリング、その間も竿先がグイグイと引き込まれる。濁った海中に銀鱗の影、取り込んだのは体長1m超、体高が指5本分以上はあろうかというド“ラゴン級”が、鋭い獰猛な歯を見せて暴れ回った。右舷トモの和田肇さんも80cm級を釣り上げた。しかし、後が続かない。

釣り場は近い、早く魚影が見つからないかな
レクチャー通り誘いをかける
「オー、良型だ!」

これが今日の仕掛け
仕掛け図

変幻自在で“幽霊”と呼ばれるタチウオ

こちらも“本命”が来ました
“幽霊”と異名があるタチウオ。口を使わないのか、移動が速いのか、それとも群れが小さいのか、魚影を追って少し沖に移動。今までより少し深い59m。ここでトモミヨシ(船首)でアタリが出たが、「アッ、ばれた」、「そこまで来たのに…」の声があちらこちらから聞こえる。潮の加減か食い込みが悪いようだ。それでも左舷胴の間(中央)の井出誠一さん、ミヨシから2番の山崎雅生さんが80cm級を取り込んだ。右舷のミヨシから2番の有地英之さんも立て続けに2匹を釣り上げた。船中見渡すと、この日のレギュラーサイズ80cm級がポツリポツリ取り込まれている。

「レギュラーサイズだね」
こちらもレギュラーサイズだが、しっぽが何かに食われている
歯が鋭いから気をつけないと

姿を現した“ドラゴン級”

こちらは連チャンだ
船長は、魚探と竿の上がり具合を見ながら潮先に船を回す。右舷ミヨシから3番の常連さん、小泉保夫さんは「今日はなかなかアタリがないよ」と暇そうだったが、1匹釣ってニッコリ。私も竿を出した。レクチャー通りの餌付けをして60号のオモリを海面に投入。何回か誘いをかけている内に竿先にグイッとアタリ。一呼吸待ってシャープにシャクリ上げたがすっぽ抜けにガクッ。その後も連続3回のアタリもバラシ。4回目にやっとレギュラーサイズをゲットした。その間にトモの和田肇さんが時間をかけてのやり取りで釣り上げたのは、この日一番のビッグサイズ、112cm!体高も優に指5本分以上ある。そして、その隣の原野玉英司さんも1m級を釣り上げた。こちらも指5本分の体高だ。

良い型が釣れました
「まあまあサイズだ」
「指5本はあるかな。ドラゴン級には?」

誘い方で差が出るところがタチウオの魅力か?

正午近くなって数に差が出てきた。右舷2番の有地さんが胴にかかる竿でホァホァとシャクリながら誘いをかけ、アタリの多いタナに持っていくと大きく竿が弧を描く。左舷ミヨシ2番の山崎さんもゆっくりリールを巻きながら誘いをかけて、自分のタナで食わせている。ミヨシの山口広明さんは竿先を小幅に震わせて少し速いリーリングでポツポツとレギュラーサイズを取り込んでいた。
ポイントはタチウオのアタリのあったタナを覚えておいて同じタナを責めることのようだ。竿先の誘いはゆっくりか、少し早めがよいのかピッチを変えて探ってみる。この誘いの微妙な差が釣果に表れるのだが、その辺がタチウオ釣りの魅力なのだ。
トップは16匹が2人、そして15匹が2人、13匹、12匹と続きスソは2匹だった。台風の後の底荒れと強い濁り、その上、潮も流れずタチウオもご機嫌が悪かったのだろう。食い込みが悪くバラシが多かったのでアタリの数だけ釣れていればもう少し数は出ただろう。サイズも良くなってきたので潮さえよくなれば本格的シーズンへ突入だ。

「ガッチリハリ掛かりしているよ」
もう少し太っていればドラゴンに近い
「今日は食いが渋いね。やっと2匹目だよ」

この大きい口と鋭い歯でガブリとやる
食いは渋かったけど良型が多い
反応があっても食いが浅くてバラシが多かったと本田和芳船長

(釣りビジョンAPC・倉形金幸)

今回利用した釣り船
神奈川県金沢八景『弁天屋』
〒236-0027
神奈川県横浜市金沢区瀬戸2-22
TEL:045-701-9061(定休日:毎週木曜日)
詳細情報(釣りビジョン)
弁天屋ホームページ
出船データ
■タチウオ乗合船■
日中船:7時15分 沖上り:14時00分
午前船:7時15分 沖上り:11時00分前後
料金:1日船  氷・餌付き8,500円
   半日船 氷・餌付き6,000円
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