釣りビジョン

2011.2.1号

山下丸・神奈川県久比里港
若者にも大人気!船・エギングのイカ釣り!

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神奈川県・久比里と言えば、“カワハギの聖地”として知られた所。しかし、カワハギシーズン真っ只中のこの時期でも、カワハギ以外に人気を集めている乗合船がある。近年、若者を中心に支持を得ている船・エギングである。久比里の老舗船宿の1軒『山下丸』の船に乗った。

ほぼ全員が“自前”のライフジャケット

1月18日、火曜日にも拘らず『山下丸』の船着き場は、多くの釣り人で賑わっていたが、船・エギング乗合船には、カワハギ船並みの11人が乗り込んだ。人気の高さに正直驚いた。しかも乗船者の平均年齢が明らかに他船(カワハギ船、アマダイ船)に比べて若い。また、ほぼ全員が“自前”のライフジャケットを着用しており、安全に対する意識の高さを感じさせる。

これ以上は望めない絶好の釣り日和

絶好の釣り日和に恵まれたが…
『山下丸』は、久里浜港に流れ込む平作川の下流に架かる夫婦橋脇にある。船着き場を離れれば、10分足らずで浦賀水道、右に舵をきれば金田湾、東京湾を横断すれば竹岡沖や大貫沖の千葉県・内房の釣り場である。実に恵まれた立地条件にある。そのため、出船時間も午前8時とのんびりしているのがいい。
定刻に出船、平作川の最下流に架かる開国橋を潜って久里浜港に出た。快晴・無風、これ以上は望めない絶好の釣り日和である。「凄い天気だね。ナギ倒れにならなきゃいいけどね」。乗船者の中でも最も年配と思われるトモ(船尾)寄りに座った釣り人がぼそりと呟いた。まさか、それが現実になろうとは、この時点では考えもしなかったが…。

20号中オモリ使った“バーチカルスタイル”

船からのエギング(エギとは、餌木という字を当て、その原型は漁師道具である)には、中オモリを使う“バーチカルスタイル”とエギに小さなオモリを付けただけの“ティップラン”と呼ばれる釣り方の2種類がある。関東では、“バーチカルスタイル”が中心だ。また、この他にもトトスッテを使った釣り方もある(※仕掛け図参照)。
この日は全員が、20号の中オモリを使った“バーチカルスタイル”で狙った。「お待たせしました。少し底がガサガサしていますから、1m程タナを切って下さい」と、舵を握る山下克範船長からアナウンスがあり、一斉に釣り始めた。ところが、潮が全く流れていない。20号の中オモリでも水深30m程の釣り場でラインが真っ直ぐ船下に降りて行った。

この日舵を握った山下克範船長
エギの仕掛け図
スッテの仕掛け図

500gを超えるスミイカ連発!

船長は、しばらくの間、金田湾の外側に点在する根回りを丹念に船を移動させながら辛抱強く狙っていたが、誰にも反応はない。とにかく潮が全く流れないのだ。どんな名船長でもこればかりは致し方ない。
「スミイカ中心ですが、潮が効くまでしばらく大貫の方へ行ってみましょう」。痺れを切らした船長は、東京湾を横断、千葉県側に向かった。時計は既に10時を回っていた。「来ましたよ」。大貫沖で釣り始めて間もなく、右舷ミヨシ(船首)の釣り人に船中の初獲物がヒット。釣れて来たのは500gを軽く超える良型のスミイカ。その後、両舷の大ドモ(船尾)で2尾目、3尾目が釣り上げられたが、いずれも500g以上の良型スミイカだった。

良型スミイカが連発!

神奈川県側でもスミイカ連発

船中4尾目のスミイカが釣り上げられた後、再び神奈川県側に移動した。この日の潮回り(午前11時前後に干潮=大潮前の中潮)なら、そろそろ上げ潮が効き始める時間だ。ところが、金田湾外側の根回りで再び仕掛けを投入すると、相変わらず中オモリは真っ直ぐに海底に向かって落ちて行った。それでも右舷ミヨシの人は、2尾目、3尾目のスミイカを釣り上げ、右舷大ドモでは、ゴマイカとも呼ばれるシリヤケイカも釣れた。

ゴマイカとも呼ばれるシリヤケイカ
この日使った中オモリとエギ

船中初アオリをゲット!

この釣り、メインの“対象イカ”はアオリイカである。しかし、その主役は中々登場しない。500、600gのマダコが2尾(両舷トモから2番目で1尾ずつ)釣れて、船内は少し盛り上がったが、いくら待っても潮は流れ出さなかった。それでも1時55分、遂にアオリイカが釣り上げられた。左舷トモから3番目に座った人が、300g足らずの小型ではあったが、船中初アオリをゲットした。

後半、バタバタと釣れたアオリイカ

スミイカの釣果は連日のふたケタ!!

結局、その後も潮は全く流れず、1度もクライマックスのないままに納竿時間(午後3時)を迎えたが、1時間程の間に船中で計5尾(2尾は小型のためリリース)のアオリイカが釣り上げられた。この日の竿頭は、4尾のスミイカを釣った右舷ミヨシの釣り人。11人中オデコは3人(内1人はマダコ1尾)、だったが、この日の不調は、明らかに終始流れなかった潮にある。
その後の『山下丸』の成績を見ると、20日と21日には1㎏級のアオリイカも上がっている。また、スミイカは絶好調で、21日と25日にはトップで20尾、20、22、23、24日にもふたケタ釣果が記録されている。つまり、20日から25日までスミイカの釣果は、毎日ふたケタということ。その後26、29、31日にトップで順に14、15、19匹の釣果が記録されている。現在釣れているスミイカは小さくても400g級、大型のものは700gを超える。釣り味という点では、アオリイカに劣るものの、食味、浜値(卸値)とも全く遜色ない高級イカである。ターゲットとしては、十分に魅力的なはずだ。
実を言えば、当方、この釣りは今回が初めてだったが、スミイカの釣り方としても十分に面白いと感じた。未経験の方、是非お試しあれ!

(野口 哲雄)

今回利用した釣り船
神奈川県久比里『山下丸』
〒239-0828 神奈川県横須賀市久比里1-3-3
TEL:046-842-8856(定休日:第2、4金曜日(第5金曜日は不定期))
詳細情報(釣りビジョン)
山下丸ホームページ
出船データ
釣り物::スミイカ、アオリイカ
午前船=8時出船、15時納竿
料金:8200円
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