2023年03月29日公開
身体の巨大さや牙の恐ろしさというのは淡水怪魚の典型的な特徴だったりするが、彼らの魅力はそれだけではない。危険な毒針や電撃などの特殊能力を持つお魚もまた怪魚の端くれといえよう。今回のささやかな主役は…アフリカのデンキナマズだ。
ムベンガを狙いながらコンゴ河の珍魚たちと遊んでいると…!?
この世界怪魚図鑑シリーズですでに登場したアフリカのムベンガ【世界怪魚図鑑11】これは恐竜ではありません。コンゴの怪物の名は?| 釣りビジョン (fishing-v.jp) 釣りを知っているだろうか? 巨大河川・コンゴ河にボートを浮かべ、果てしない時間を浪費しながらアタリを待つ…。それが長いときは15日にも及ぶので…当然、暇つぶしが必要になる。そこで、泥が溜まっている場所でミミズを掘り、それをエサにして何が釣れるかわからない闇鍋のような釣りをするのである。
一番よく釣れたのは、一見マブナに似たカラシンの仲間、現地名「ンボト」。アタリの出方が何通りかあり、それによって合わせのタイミングを変える必要があるなど…なかなか味わい深い釣趣があった。
他にもアジアのライギョのご先祖様(?)であるムングース、生ける化石・ポリプテルスなど、異形の珍魚たちが次々に登場。暇つぶしどころか、こっちが楽しくなってしまった。
なかでも盛り上がったのが、アフリカのエレクトリックスター、デンキナマズの登場だった。
デンキナマズ。その名の通り、身体に発電機能を持つ魚で、アマゾンのデンキウナギに次いで高い電力を発することができるという(ちなみに、デンキウナギは最高電圧が600~800V、デンキナマズは最大350Vに達する)。丸太のようなずんぐりとした体型で、動きは遅い。最大で体長122cm、体重20kgまで成長するとされる。透明感のある肌色のような不思議な肌感に、チョコチップのような斑紋が散りばめられている。体表を包むように発電器官が発達し、頭側がマイナス極、尾ビレ側がプラス極になっている。ちなみに、デンキウナギは逆らしい。
コンゴで我々が釣ったデンキナマズは15~30cm程度で、まだまだ稚魚といったサイズだった。当然ながら、試しに小さい個体を空気中で触ってみると…ビビビビ!っと鋭い電撃が手のひらに走った。まあ、健康ランドの電気風呂くらいのものだ。水中で触ったらもう少し強い衝撃が走るのだと思う。
もし万が一、読者のなかにアフリカへムベンガ狙いに行く人がいるならば…珍魚狙いの餌釣りタックルを持っていくことを強くおすすめする。そうでもしないと、暑さとアタリの遠さに精神が削られていくのだ…。