【カバースキャット3インチ!】発売前のワームなら冬でも(俺でも)釣れるのか?

バスアングラーなら誰しも一度は夢見ること…「未来にタイムスリップして激釣れルアーを現在に持ち帰り、自分だけ釣りまくりたい」。そんな子供の夢を大人の力で強引に叶えようというのがこの企画。12月末の琵琶湖で奇跡は起こるのか!?

バス
  • 滋賀県 琵琶湖

奥村和正さんから受け取った3本の矢

カバースキャットやサイコロラバーといった近年の激釣れルアー。発売初期からいち早く使って釣りまくっていればよかった…と思った人も多いだろう。もしくは、アレを持って過去に戻ったり、未来から持ち帰ったり…というのは釣り人の妄想あるある。
それを無理矢理実現してしまおう。
12月にデプス社長の奥村和正さんと、とある釣行に同行したこの哀れな語り部(←筆者のことです)。ついでに厚かましいお願いをしてみた。

望月「奥村さん、2024年の春に発売予定というカバースキャット3インチをもらえませんかね?」

奥村「あれいつ発売やったっけ? 春? まあええやろ」

…ということで、釣行帰りにデプス社で恵んでいただけることに。やった、もう釣れたも同然だ! ちなみに、カバースキャット3インチはシリーズ4作目で、3.5と2.5インチの中間のサイズ。全国的に使いやすいに違いないが、もちろん琵琶湖でも…。

奥村「3本しかないらしいけどいいかな?」

まるで、ドラゴンボールの仙豆のような、ちょうどいい希少性ではないか。それを受け取り、ホクホク顔で滋賀へと帰った。

奥村社長から受け取った未発売のカバースキャット3インチ。カラーはスカッパノンだ ©望月俊典
定番の3.5インチとの比較。ひと回り小さい。フックはエリートツアラー34R(がまかつ)の3/0を使用。3.5インチは同6/0 ©望月俊典

反則カバースキャットでも釣れないときは釣れないのか?

12月25日、クリスマス。穏やかに晴れた湖西は、寒波の影響で真冬並みの寒さだった。まずは、12月1日から解禁の堀切エリアへと20馬力のレンタルボートで向かった。

最初にエレキを下ろしたのは軍艦島と呼ばれる岩場の岬。弱い南風が吹いているせいか、魚探に映る何匹かのバスっぽい影は岬の北側である。

早速、カバースキャット3インチ(ノーシンカーリグ)を投げてみよう。

ロッドはサイドワインダー・ハザードマスター(デプス)、ラインはフロロ16ポンド。南風を受けて軌道がやや逸れる。投げ慣れた3.5インチにくらべるとやや飛距離とアキュラシーは落ちるものの、太めのラインでも十分飛んでいく。

投げる前に沈下スピードをチェックすると3.5インチよりやや遅い。それを加味して、水深1mあたり4秒カウントし、着底を待った。

狙った場所は水深6m。同じように2ジャーク&数秒ポーズで使うのだが、3.5インチよりもややジャーク時の抵抗が小さいか。それでもラインを少し細くして、ロッドも多少ライトにしたので、抵抗を感じやすくなっている。

トントンと軽くジャークしてから、数秒間のポーズ。3.5インチよりも1秒ほど長めにポーズをとることを心がけ、アタリを待った。

しかし、期待した堀切エリアにはベイトが少なく、3時間ほど費やしてなんとノーバイト。南風で荒れ気味の北湖を、びしょびしょになりながら少しずつ南下していくことにした。

レンタルボートひさの屋周辺の朝の気温はマイナス1℃。ボートのスカッパーの蓋が水たまりでガチガチに凍ってしまって外れない… ©望月俊典
今の琵琶湖はマイナス76cmまで水位が低下。語り部の経験上最も水が少ない ©望月俊典
桟橋の先端でもボートが浮かず、湖に立ち込んだボート屋のご主人に押してもらわないと浮かぶことさえできなかった ©望月俊典
アクションは2ジャーク&1ポーズ。4インチや3.5インチよりも少し優しくトントンすることを心がけた。ロッドも少し柔らかいタイプを使用。慣れればやりづらさは感じない ©望月俊典
堀切の沈船ポイントにて、突然鳥山が立ったが…未来のカバースキャットにアタリはなし ©望月俊典

午後になり、未来から来たルアーがついに覚醒!

その後、東岸の浚渫エリアや西岸のハードボトムなどでしつこく探るも…アタリはなし。たまにラーメンの匂いがするカバースキャット3.5インチ(天下一品コラボバージョン)を投げてみるが…そう甘くはない。

しかし、13時20分ごろ、ついにそのときがくる。
水深5mにある沈みモノ。そこに投じた未来のカバースキャットのファーストコンタクトだった。ラインは少し弛んでいたが、小さく、しかし明確に「コン」というアタリが手元に伝わってきた。落ち着いてラインスラックを巻き取り、フッキングを決めた。心地いい重さがバットに伝わってくる。50アップだな…と思いながらリールを巻いているとバスが水面に水飛沫を上げた直後、フッとラインテンションがなくなった。絶対にやってはいけない、痛恨のバラシである。

ロッドをライトにしていたのを忘れていて…フッキングパワーが弱かったのだと思う。合わせがしっかり決まっておらず、水面でテンションが緩んだ瞬間にフックが外れてしまったのだ。

冬の貴重な1匹を…と悔やんでいても仕方がないので、似たようなシチュエーションで釣り続けることにした。釣れない時間はすぐに経ち…あっという間に15時を過ぎた。ボートの帰着時間は16時、もう崖っぷちである。

しかし、焦るとポーズ時間がどうしても短くなりがち。カウントに集中し、愚直に軽いジャークを続けていると…あれ、なんかちょっとジャークの抵抗が重いかも。もう一度ジャークをしてもまだ重い。根がかりかバスか、どっちでもいい…と、今度は思い切り巻き合わせをくれた。

重い抵抗はあるが、動く! バスだ! カバーから離れたら念の為もう一度合わせを入れて、ファイトを続ける。しばらくして浮いてきたのは…50cmあるなしの悪くないサイズだ。落ち着いてネットに滑り込ませた。やったぜ、横沢元編集長!

結果、2バイト1フィッシュ。未来のルアーで12月でもボコ釣れ…とまではいかなかったが、ポコ釣れくらいか? バラシがなければ50cm級が2本なので、まあ今の琵琶湖なら全然悪くない。いや、むしろ優秀な部類だろう(と信じたい)。

とはいえ、カバースキャット3インチは基本的には従来品のサイズ違いだと思うので…今度は全く新しいタイプのルアーでも挑戦してみたい。社長の皆様、よろしくお願いします! 読者の皆様、今年もよろしくお願いします。

バラした直後のカバースキャット3インチ。フッキングパワーが弱かったのか、ワームがしっかりズレていない。ロッドが柔らかいのを忘れていた語り部のミスかも? ©望月俊典
しかし、2度目はしっかり合わせを決めた。訳あってサイズを測っていないのだが、まあ50cmあるなしといったところだ ©望月俊典
2023年最後のバスとの自撮り記念撮影。太った綺麗な1匹だった ©望月俊典
こりゃバレないな…という完璧な掛かり方をしている。ロッドがいくらか柔らかくても合わせ方次第でこうなる ©望月俊典
真野の一文字にて。最後まで粘ったが…これにて2023年のバス釣りは終了 ©望月俊典
使用タックル。上、3.5インチ用●ロッド:テクナGP TAV-GP66CMHJ(フェンウィック)、リール:メタニウムMGL HG(シマノ)、ライン:フロロ20ポンド。 下、3インチ用●ロッド:サイドワインダーHGC-65HR/GPハザードマスター(デプス)、リール:メタニウムHG(シマノ)、ライン:フロロ16ポンド ©望月俊典

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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