前作との明確な違いはMGLスプールⅢ
「ニューSLXはノーマル、HG、XGと、ギア比違いで3種類ありますが、その設定は先代と一緒ですね。糸巻量も、ボディのサイズ感も同じで、変わったのはスプールです。32mm径はそのままですが、幅が23mmから21mmにナロー化して、MGLスプールⅢになりました」
このように、先代モデルとの違いを指摘してくれたのは、テスターの黒田健史さん。JBトップ50で活躍する、凄腕のバスプロだ。スプールの幅が2ミリ狭くなったのに糸巻量がそのままということは、スプールが深溝になったことを意味する。深溝になると、ラインを巻くことによってスプールの中心部が重くなり、慣性力がかかりにくくなる。もともと軽~中量級ルアーのキャスタビリティーには定評のあるSLXだが、今回のモデルチェンジで更なる低慣性化が進み、立ち上がりの良さとブレーキレスポンスの両面が向上したのだ。また、キャスト時にスプールから放出されるラインは、レベルワインダーによって軌道を絞られて、摩擦抵抗が生じる。その摩擦抵抗も、スプール幅が狭くなったことにより、確実に低下している。それもわずかながらキャステビリティー向上に一役買っているようだ。とにかく、このMGLスプールⅢの搭載が、先代との決定的な違いだと言ってよいだろう。
わずかなノイズも許ささない「サイレントチューン」搭載
もう一つ、SLXには明確に進化した部分がある。それが「サイレントチューン」の搭載だ。ベイトリールでキャスティングすると、その回転数が高いほど、微細な振動などが生じて時には異音が発生したりする。スプールのシャフトを支持する左右のベアリング圧力をかけることによって、そのわずかなストレスをも軽減してしまうのが「サイレントチューン」だ。シマノのハイクラスベイトリールには既におなじみの機構だが、SLXクラスに搭載するのは初となる。
元々のSLXも、かなり完成度の高いリールだったが、MGLスプールⅢとサイレントチューンによって、価格帯そのままで性能だけがワンランク上がったというのが印象。会場でキャスティングはできないので、ハンドルだけは回してみたけれど、カルカッタコンクエストとかには及ばないものの、その円滑な回転は必要にして十分以上。パーミングもしやすいし、強く握ってもゆがみなど感じない。さすがHAGANEボディ、非常にかっちりとしたリールだった。無段階に調節できるブレーキシステム「SVSインフィニティ」は新スプールとの相性もいいとされているので、きっとバックラッシュもかなり少ないのでは?
真の実力を認められている、コストパフォーマンス機
価格から考えても、初心者に安心してお薦めできるニューSLXだが、黒田さんによると、上級者からの評価もすこぶる高いらしい。
「比較的中~低価格帯なのでエントリーユーザー向けと思う人が多いんです。でも、ニューSLXは、必要十分な性能を備えていて、高い実用性を持っている。だから、実力のある若手のトーナメンターがリールを10台まとめて新調するような場合、SLXを選んだりするんです。達人級の岸釣りアングラーも、SLXで揃えて使ったりもしています」
初心者だけではなく、実力者にも選ばれるリールなのだ。SLXにはDCモデル、BFSモデルも存在するので、ベイトリールをすべてSLXで揃えることも可能だろう。
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