【怒濤のスーパーレインボー祭り】神奈川県芦ノ湖「特別解禁釣大会」

トラウトアングラーが待ちわびた待望の解禁日。神奈川県・芦ノ湖では今年も3月1日に「芦ノ湖ルアー・フライ限定特別解禁釣大会」が開催された。70cm・5kgを超える大型のマス族が釣れるチャンスもある当大会。今年はどんな魚と出逢えるか、期待を胸に早春の湖畔へと車を走らせた。

トラウト
  • 神奈川県 芦ノ湖

スマホアプリで楽々エントリー♪

芦ノ湖の解禁日は3月2日。その前日に、釣法をルアー・フライ釣りに限って「特別解禁釣大会」が開催される。今年も午前5時から漁協で受付開始となったが、スマートフォンで遊漁券を購入できるアプリ「FISH PASS」でも大会にエントリーできる。現地に赴かずとも前売り券を購入できたり、大会当日は受付会場に立ち寄らず直接釣り場やボート店に向かえるのは想像以上に快適だ。

元箱根「山木商店」でボートを借り、小雨混じりの暁暗の中、船宿スタッフのように働く常連・柳沢さんにお手伝い頂きながらボートセッティング。雨こそ降っているものの、雪が降ったりガイドが凍ったりの寒中修行のような特別解禁は過去の話で、エレクトリックモーターを運んだり、船外機のスターターロープを引いているとうっすら汗ばむほど。やがて6時30分に大会スタートのホーンが鳴り響き、ボートは各々の目指すポイントへ、陸っぱりの釣り師はキャストの火蓋を切った。

前売り券を購入したら郵送で届いたステッカー&パンフレット ©川添法臣
大会当日、湖畔に着いたらアプリを起動して受付終了! ©川添法臣
ボートを予約した「山木商店」、今年もよろしくお願いします! ©川添法臣
小雨のなか出船準備、不思議と寒くない ©川添法臣
6時30分、大会スタート! ©川添法臣

桟橋ではブラウントラウトが入れ食い状態!

通称“ヤマキ桟橋”には例年通り、遊漁船の名物船長が勢揃いし、塩焼きに持ってこいなサイズのブラウントラウトがバンバン釣れて大賑わい。ボートの釣り師も離岸前にキャストして、まずは1匹を釣り上げご満悦の様子。

一方、私は岸釣りのアングラーとバッティングしない位置にボートポジションを取ってキャストしてみたもののアタリすらなく、魚探にはワカサギと思しき反応が真っ赤に出ているのにまさかの沈黙で五里霧中状態。陸っぱり船長達の手伝いをしていた柳沢さんが見かねて「海賊船の向こうの浅場も行ってみたら?」のアドバイスをくれた。魚も有効なレンジも、見失っていたので気分転換に馬の背の船溜まりへとサイドチェンジした。

桟橋ではブラウントラウトが連続ヒット! ©川添法臣
こちらは42cmの良型ブラウントラウト ©川添法臣
出船前に1匹、幸先良いスタートに笑みがこぼれる ©川添法臣
リリースする魚は手で触ったり地面やデッキに置かない心掛け ©川添法臣

ひと気の無いシャローエリアに良型が!?

”ヤマキ桟橋”のある箱根関所方面から見て、箱根海賊船の桟橋より向こうは3つのボート店の桟橋があり、最奥の「かまくらボート」を過ぎると、湖畔に別荘地のある静かな浅瀬が拡がっている。その周辺に数隻のボートが浮いていた。みなさんブレイク(水深が深くなる肩)の沖側にボートポジションを取ってカケアガリへ向けてルアーを投げている模様。岸辺に釣り人が居なかったので、私はガラ空きの岸側へボートを乗り入れ、エレクトリックモーターのフットペダルから足を離して、風に乗せてボートを流すことにした。

使い慣れた5gのスプーンを投げると、1投目から魚のアタックを感じる。「魚は居る」と確信して、2投目で重めの魚をフッキングしたが、最初の走りで外れてしまった。3投目でも塩焼きサイズの魚が掛かったが、バーブレスフックが悪い方に働いてジャンプ一発でバラしてしまった。はやる気持ちを落ち着かせ、良い釣り場に入れたことへ感謝して4投目。またしてもアタリがあり、ゆっくり確実にアワセてフッキング成功。

初めのうちは大人しく寄ってきたものの、魚体が船上から見えた途端にドラグを鳴らして猛烈な走りを見せた。体高のあるレインボートラウト(ニジマス)だった。これを逃がしてはいけないとエレキの操船で間合いを詰めながら慎重にファイトし、魚体に対して心許ないネットを沈めて、そこに魚を誘導する形で何とかネットイン。竿を置き、両手でネットの枠を掴んで引きずり上げ、ボートの生け簀へと取り込んだ。

まだ魚は居そうだが一旦釣り場を離れ、”ヤマキ桟橋”に戻ってアドバイスをくれた柳沢さんにお礼とご報告。桟橋の船長各位に「うわ、でっか!」と褒めて貰いながら検量すると68cm、5.85kg。例年の入賞ラインは70cm以上なので惜しくも足りない数値ではあるが、私の中ではトロフィーフィッシュ。早春にして2024年の思い出に刻まれる大切な一尾となった。

気分転換に枯れ葦のある浅場へとサイドチェンジ ©川添法臣
ボートの生け簀に取り込んだこの日1尾目のニジマス ©川添法臣
桟橋に戻って記念撮影、美味しく頂きました♪ ©川添法臣
入賞には至らずとも、記憶に残る一尾 ©川添法臣

山木さんに訊く、芦ノ湖トラウトのコツ

山木商店オーナーの山木一人さんに、今シーズンの傾向と対策を訊いた。

──春先のトラウト、釣るためのコツや狙い目は?
山木氏「東山湖に行く(笑)」

──芦ノ湖でのタックルは、どんなものが?
山木氏「ホントはエリアタックルみたいのが一番遊べるんですけどね。スプーンは軽くて5g。メインは7~12gで、底を取って巻くじゃないですか。浅場に居て、大きめのルアーに見向きもしない時は小っちゃいルアーで。できれば、エリアタックルに2.5lbのセットと、重いのが投げられる5lbのタックルの2セットを用意して、両方とも色を沢山用意する。とにかく色をいっぱい用意して、アタリがあろうが無かろうが、色をどんどん換える。釣れてても5投して『あれ、アタんねぇな』と思ったらもう換える。ウォレットとかタックルボックスに入れてあると交換しなくなっちゃうから、最初から並べて置いて、端から投げて、5投したら換えていく。だいたい釣れる時って色換えて1投目でしょ?」

──この時期、ルアーはスプーンが主力に?
山木氏「ぼくはね、I字形のプラグを使うんです。昔と違って水温が7度とか8度とかになる時もある。ワカサギの産卵も早いんですよ。もう産卵始まっちゃってるんで、夜に産卵して弱ったワカサギが水面でヘロヘロ泳いでるヤツを結構喰ってる。だからI字のバスのプラグ投げて、ゆーっくりこう巻いて」

確かに「あの時釣れたから」と、お気に入りのルアーや思い入れのあるカラーというものが釣り人にはある。ところが、そのこだわりが魚を飽きさせていたり、その日その時の魚の好みと合致しているかは全く別の話。魚が居るのに口を使わない時、山木さんのアドバイスを思い出したい。

かくして2024年大会の優勝は、レインボートラウトが75.2cm(7.78kg)、ブラウントラウトは58cm(2.88kg)、ヤマメ(サクラマス)は44.5cm(1.10kg)。イワナは45.7cm(1.08kg)、オオクチバスはなんと58.7cm(3.89kg)。芦ノ湖漁業協同組合では3月中にも引き続き追加放流が予定されており、大物がまだまだ期待できる。記憶に残る魚との出逢いを求めて、早春の芦ノ湖を是非お楽しみ頂きたい。

「山木商店」山木一人さん ©川添法臣
釣ろうと思ったら「ルアーを並べて置いて、5投以上しない」 ©川添法臣
73cm・5.1kgをキャッチした岸上さん ©川添法臣
車椅子アングラーの藤江さんも70cm級をキャッチ! ©川添法臣
ニジマスの部・優勝魚は75.2cm、7.78kg! ©川添法臣
釣りの後は「TAMARIBA YAMAKI」でのんびり釣り談義も ©川添法臣

施設等情報

芦ノ湖 漁業協同組合
〒250-0521 神奈川県足柄下郡箱根町箱根184-1
Tel. 0460-83-7361
遊漁料(店売り):大人1,800円/中学生以下無料
(芦ノ湖ルアーフライ限定特別解禁釣大会のエントリーは大人7,000円) 芦ノ湖漁業協同組合 ホームページ

施設等関連情報

芦ノ湖・山木商店
〒250-0521 神奈川県足柄下郡箱根町箱根61
Tel. 0460-83-7331
エンジンボート:定員3名 1日10,000円
手こぎボート:定員2名 1日4,000円

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

川添 法臣 釣りビジョンAPC
6歳から釣りに親しみ、海・川・釣堀・湖のルアー・フライ・餌釣りに節操なくのめり込む釣り好き。2019年JGFA沖釣りサーキット・総合優勝/2010年JGFAオールジャパンゲームフィッシングコンテスト・マダイの部・優勝(10.2kg)…他

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