【バスボートを買ってみる】断る、でも見に行く、ちょっと調べる、結果沼る~琵琶湖出会い編~

4年前に千葉県から滋賀県に移り住んだこの哀れな語り部(←筆者のことです)。どこで間違えたのか、48歳にして初めてバスボートを購入してしまった…。その購入記を何度かにまとめてみようと思う。

バス
  • 滋賀県 琵琶湖

バスボートという無駄の王様のような乗り物

東京から琵琶湖のレンタルボート店へ通い始めた頃から数えると、もう20年近くになる、この哀れな語り部。出版社を辞めてフリーランスになっても滋賀に移住しても琵琶湖のボート釣りはレンタル一筋だったし、これからもそのつもりだった。通っているレンタルボートひさの屋はエレキも魚探も持ち込み可だし、北湖も南湖もできるので、釣りをするだけなら和船のレンタルボートでまったく問題ないからだ。

しかしある日、「望月さん、バスボート買いませんか?」と、とある有名人に声をかけられたのだ。しかし、とても右肩上がりとはいえない状況の出版&釣り業界に身を置く語り部としては、バスボートなんぞ夢のまた夢。よほどのボート好きか、お金が余っている人が買うもの…と思っていたので、まずは断った。ところが、何かのついでに一応ボートを見に行くことになってしまったのである。

ボート置き場には黄色い、派手な、デカいスキーターがあった。

ZX202と書かれた船で、パッと見、年式(2000年くらい)の割には綺麗である。長さは20フィート2インチで、エレキも魚探もない。エンジンはヤマハの2スト250馬力(HPDIシリーズ2)が付いている。自分でわかるのはそれくらいのもので、値段を聞いても高いのか安いのか判断しようもなかった。

そのときは、「やっぱり自分には無理です」とお断りしたのだが…それをきっかけにバスボートについていろいろ調べていると…ヤバい、欲しくなってきてしまったぞ。

「よし、ではこれより少し小さいチャンピオンを買おう! 」と思い、詳しい方に教えてもらったりした。ゆっくりと底なし沼にハマりつつあるが本人は気づかない…そんな状態であった。

初対面のスキーターZX202(C?)。第一印象は黄色い、デカい、カッコいい! ©望月俊典
エンジンはヤマハのHPDI250馬力である。 ©望月俊典

2分でわかる、バスボートの一般論

バスボートという乗り物について知らない人のために、大して詳しくない語り部から簡単な説明をさせていただこう。

バス釣り専用のボートの総称だが、基本的にはFRPの船体にハイパワーな船外機が搭載されたものを指す。船長は15~22フィート程度、船外機の馬力は90~300馬力程度で、ボートのサイズの割に極端にハイパワーなエンジンを有しているのが特徴。広範囲を短時間で移動する機動力と静止安定性を兼ね備えており、バス釣りに特化した設計になっている。

では、日本でもよく見られるバスボートメーカーについて、あくまで取材で乗った程度の素人知識&主観のひと言解説をば。

【レンジャー】
船体の作りが頑丈で、静止安定性に非常に優れている。反面、荒れた湖面で波を切るように走るのはやや苦手。有名な乗り手=下野正希、並木敏成、今江克隆、赤羽修弥、栗田学(敬称略。以下同)。

【スキーター】
世界最古のバスボートメーカー。オールマイティな性能を持つといわれる。その割にカッコいい。ヤマハの子会社。ガンネルが弱点? 有名な乗り手=奥村和正、伊藤巧、藤田京弥、青木大介。

【ギャンブラー】
フロリダのシャローをフリップするためにデザインされたといわれる。1970年代のスーパーカーのような傾奇いたデザインで、熱狂的なファンがいる。速い。有名な乗り手=伊東由樹、反町隆史、速水もこみち。

【トライトン】
非常にソフトな乗り心地と走破性の高さが印象に残るボート。取材時にトライトンだとちょっと安心する。その特徴はケイマスに引き継がれている。有名な乗り手=田辺哲男、加藤誠司、小野俊郎。

【バスキャット】
非常に頑丈で耐久性の高い船体、走破性とスピードを両立した走りでも知られる。ホタテ貝のようなコンソール形状も特徴(?)。近年、琵琶湖で人気。有名な乗り手=大森貴洋、奥田学、山田祐五、木村建太、橋本卓哉、杉村和哉。

【ケイマス】
トライトンの創業者、アール・ベンツ氏が2018年に立ち上げた新しいメーカー。走破性が高い上に静止安定性も優れていると評され、アメリカでは若手トーナメンターにも人気。お金に余裕があればこれが欲しいかも…。有名な乗り手=青木唯、北大佑、川崎了。

【チャンピオン】
波切り性能や走りの評価が高い、いや高かった、今はなきメーカー。カクカクっとしたデザインは今見てもカッコいいし、中古艇も人気。かつて今江克隆さんが乗っていたことでもよく知られていた。

琵琶湖の人気ガイド、林陸功さんの乗る現代のスキーター、FX21。奥村和正さんがかつて乗っていた船らしい。写真は2022年。 ©望月俊典

結局、あの黄色いスキーターが気になり出した

いきなりデカいバスボートだと維持費も結構かかるだろうし、置き場所も駐艇場を借りないといけない。なので、当初は17~18フィートクラスの小型バスボートを検討していたこの哀れな語り部。

しかし、「琵琶湖北湖で釣りをするなら小型バスボートは絶対にやめた方がいいです」、「小さいバスボートだとすぐ嫌になって大きいボートに乗り換えることになるので、結局高くつきますよ」…というような先達のご意見を複数いただき、考えを改めることにした。

そこで、中型ながら波切り性能が高い、チャンピオン社のバスボート(187エリート)を探すことにした。しかし、これはタマ数が少なく人気なのか、綺麗な個体は年式やサイズの割に高い…。

考えるほど、あの黄色いスキーターはいいかもなぁ…と思い始めてきた。そして、いわくつきの売主さんへ「試乗させて欲しい」と連絡することになる。

次回へ続く…。

リューギの山田顕義さんのチャンピオン187エリート。中型艇ながら走破性が高く、維持費も多少は安い(はず)。そして、カッコいい。これも本気で検討した。 ©山田顕義

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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