【バス&トラウト兼用】お気に入り〝リアル系セミルアー〟四天王を勝手にインプレしてみた!

ルアーフィッシングの中でも、とりわけセミパターンは、全身の血が湧きたつような興奮を味わえる極上のゲームだ。セミルアーの代表格は、いわゆる「ハネモノ」と呼ばれるバス用クローラーベイトで、実物のセミよりは数段デカいことが多い。しかし、それとは一線を画する、リアルな大きさと形状を有する「リアル系セミルアー」も数多く存在する。その中でも個人的によく使っていて、優秀と思われる四天王的セミルアーを勝手にインプレしてみた!どれもが、サイズ的にバスにもトラウトにも使える4g前後のクラスになっている。

バス

ドキドキ感、衝撃、スリル、どれもが一味違うゲーム!

リアル系セミルアーのゲームには中毒性がある。水面でバタバタと騒がしくうごめくセミルアーに魚が追いすがり、やがてはド派手な水柱を立てて襲い掛かる!あるいは水面に放置しておいたセミルアーを、音もなく吸い込んだと思えば、驚異的なスピードでスプリントを開始!バイトの前のドキドキ感、バイトの瞬間に受ける衝撃、そしてファイト中のスリル。どれをとってもセミパターンには他のルアーとは一味違う高揚感があるのだ。

バスはもちろん、湖やエリアのビッグトラウトを相手にこれを体験すると、誰もが病みつきになってしまうことだろう。今回、紹介する4モデルは私が個人的に気に入って使っているものをセレクト。ウエイトが4g前後なので、バスにもトラウトにも使えるサイズ感。リアル系セミルアーの標準サイズと考えていいだろう。

今回のインプレはこの4つのセミルアーを紹介。左から「大美蝉(スミス)」、「シグレ(メガバス)」、「ソフトシェルシケイダー(ティムコ)」、「ドラウンシケーダREV(DAIWA)」。 ©横沢鉄平

セミルアーの常識を打破した革命的モデル【シグレ】(メガバス)

「クレージークローラー」や「ジッターバグ」など伝統的なセミルアーは、基本頭の先にラインを結んで使う。しかし、この「シグレ」はしっぽにラインアイを設けた。セミや甲虫は後ろ向きに羽根をたたんでいるので、「シグレ」のようにテール側から開く羽根のほうが実物に近いのだ。ボディデザインは、セミの成虫よりもむしろ抜け殻を思わせる丸っこいシルエット。リアルさに加えて、圧倒的な美しさ、そして儚さまで漂わせている。わびさびまで感じさせるメガバスのデザイン力には感服する他ない。前後2室に分かれたボディ内部には、頭側に1個、尻尾側に2個のラトルが入っていて、頭部側の大きいラトルはキャスト時に重心移動ウエイトの役目も果たしていると思う。

そして、この3つのラトルが奏でるハーモニーが、セミの鳴き声に聞こえてしまうのは私だけだろうか? 特に一点でシェイクした時の乾いた音は絶妙で、経験的にかなりの集魚効果を持っているようだ。ただ巻きした際のアクションは、単純に水平方向へと推進するイメージではなく、身を乗り出してかき分けるような動き。個人的にはバス用の傑作クローラーベイト「デカダンストーイ」を思わせる、「水面に身を乗せようとする」やや上向きの動きだ。さらには恐らくラトルが干渉して、たまにイレギュラーな動きを挟んでくる。きっとこれがバスにもトラウトにも、喰いつくきっかけを与えるんじゃないかと思う。フックは1本なので、フッキング率はやや低めかもしれないが、アタック率が高いのでそれはそれでOKか?

「シグレ(メガバス)」。魚だけではなく人間の心まで魅了する美しいデザイン。基本性能の高さに加えて、魅惑的なラトル音を奏でる。36.5mm、3/16オンスとなっているが、実測すると4.3g前後だ。 ©横沢鉄平
シグレに食ってきたニジマス。巻いてよし、止めてよし、シェイクしてよし。3拍子揃ったセミルアーだ。 ©横沢鉄平

どうしても釣りたい時の一発必中セミルアー「大美蝉(スミス)」

長さ的には38mmの「美蝉」のほうが他の3つとサイズが合うけれど、重さ的には4gの「大美蝉」のほうが合っているし、個人的にはこちらをよく使っている。このルアーの大きな特徴は、まずウイングにハードマテリアルを使用していること。その影響なのか、アクションレスポンスが抜群によく、巻き始めると瞬時に水を捉える。アクション自体は派手さを抑えたタイトウォブリングで、速く巻いても食わせ力が強いイメージ。ウエイトがリアに1個なので、飛行姿勢が安定していて、遠投能力もトップクラスだ。

そして、立ち浮きになるのも特徴のひとつだろう。シェイク時や巻き始めにボディの浮き角を変えるのは大きな武器だし、ポーズ時のフッキング率もいい。唯一の欠点は、ウイングが破損しやすい点。ビッグなトラウトと派手なファイトを繰り広げると、羽根がもげてしまうことがあるのだ。スミスさんには、早くスペアウイングを販売して欲しい。その点を減点したとしても、このルアーの喰わせ能力は抜群なので、ここ1番の勝負時には切り札として使っている。そして、セミだけではなく、このデザインはトンボやヤゴまでをも想起させる。きっと、効果を発揮するシチュエーションがほかのセミルアーより広いのでは?

「大美蝉(スミス)」セミだけではなく、トンボやヤゴにも似ている造形。高速で引いても繊細なアクションを崩さない。羽根がハード素材になっている。43mm、4g。 ©横沢鉄平
インプレ中に大美蝉に襲い掛かったニジマス! 羽根を1枚破壊されてしまった。 ©横沢鉄平

形状から着水音までリアルさを極めた完璧主義者「ソフトシェルシケイダ―(ティムコ)」

リアル系セミルアーの草分け的な存在が、ティムコのシケイダーシリーズだ。ソフト素材で作られたウイングは耐久性が高く、文句なしにバランスの取れた泳ぎを披露してくれる。形状も細部までセミに寄せているし、ボディが薄めにデザインされている点もセミに近い。中でもこのソフトシェルシケイダーは、メインボディが恐らく発泡系のソフト素材になっている。だから着水音もソフトでふわりと落ちる。実際にセミが落ちた音にかなり近いのでは? 

それに口に入れた魚もハード素材ほどの違和感を覚えないだろうから、たとえフッキングをミスっても同じ魚が何度か喰ってくる印象がある。非中空のソリッドボディなのでラトルは入っていないし、表面がソフトなのでフックがボディに当たる音も最小限だ。とにかく何もかもがリアルなので、特に魚がセレクティブな状況で力を発揮すると思う。泳ぎもレスポンスよく、速引きも遅引きもOK、多少荒れた水面でも意外なほどよく泳ぐ。若干、飛距離が出にくい部分があるが、ややウエイトにばらつきがあり、重いのに当たると結構飛ぶ。

「ソフトシェルシケイダー(ティムコ)」。造形、だけではなく触感(食感?)までセミのそっくりな超リアルセミルアー。40mm、4g。 ©横沢鉄平
ソフトなボディなので、指で強くつまむと、ボディが少し潰れる。 ©横沢鉄平

不器用に見えるのに、打率も高いホームランバッター「ドラウンシケーダREV(DAIWA)」

私の記憶が正しければ、これが発売されたのは2年程前だったと思う。店頭で一目見ただけで「これはよく飛びそうだな」と確信し、2個購入。とくに湖やエリアポンドなどの止水域では、遠投能力が問われる。ビッグフィッシュはルアーの届かない安全圏にいることが多いので、たった50cmの飛距離差が明暗を分けることも珍しくない。その点、このルアーは期待通り、同クラスのセミルアーの中で最もよく飛んでくれる。

ただし、ただ引きした時の泳ぎが…正直言って、あんまり得意ではない。羽部が柔らかすぎるのか? 自分の力量なのか? キチンと規則正しく泳ぐスピード幅が狭い気がする。でも、ここで失望してはいけないのだ。このルアー、釣れるという点では、抜群に釣れるのだから! とくに遠投した先のシェイクでは抜群のヒット率を誇る。リトリーブ中も、その達者とは言えない泳ぎにげんなりしていると「ガバッ」とビッグトラウトが襲い掛かってきたりもする。しかも、抜群の刺さりを誇る「サクサスフック」を2本もぶら下げているので、フッキング率も最強クラス。というわけで、現時点で私が最も多用しているセミルアーとなっている。ちなみに今年発売されたJr.モデルは、めちゃくちゃきれいに泳ぐ。

「ドラウンシケーダ REV(DAIWA)」。アクション中は羽根を広げるが、ポーズ中は羽根の付け根のバネ機能によって自動的に羽根が閉じる。それが弱った蝉に酷似。41mm、4.6g。 ©横沢鉄平
たまにこのような状態なってしまう。そんなデメリットも気にならない程よく釣れる。 ©横沢鉄平
放置、あるいはシェイクしながらのスローリトリーブが確率高い。フッキング率の高さも自慢。 ©横沢鉄平

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

横沢 鉄平 フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。ロッド&リールの「三匹が行く」、ルアーマガジンの「ドラマチックハンター」など、長期連載企画での出演経験も多数。キャンプ用品の「ヨコザワテッパン」考案者でもある。
YouTubeチャンネル「ヨコテツ」も、ささやかに継続中だ。

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