ウナギと最高級ナマズをペットボトルで狙ってみた【琵琶湖】

琵琶湖ではあまり釣れるという話を聞かないウナギだが、釣ってる人はしゃべっていないだけなのでは?…という前向きな気持ちでトライしてみることにした。また、同じ方法でとある高級魚も狙ってみた!

淡水
  • 滋賀県 琵琶湖

琵琶湖の天然ウナギを釣って食べてみたい

一度は釣ってみたい、そして食べてみたいと思っていた琵琶湖の天然ウナギ。琵琶湖の魚はなんでも美味いので、ウナギはさぞ美味かろう…ということで、狙ってみることにした。

しかし、ネットを調べても琵琶湖でのウナギ情報はほとんどない。友人知人に少し聞き込みをしてみたものの、あそこで1度釣れたことがあるとか、狙っている人を見たことがあるとか、過度に期待できないレベルにとどまった。

でも、知人の釣具店店員さん曰く「ウナギ鉤はめっちゃ売れてるんですよ」…とのこと。これは釣れてないのではなく、みんながしゃべっていないだけなのでは…?と前向きに捉え、しっかり狙ってみようと決めた。

さて。
ウナギというと河川の汽水域でよく釣れるイメージなのだが、琵琶湖には当然そんな場所はない。なので、個人的に集めた情報をもとに、狙う場所を以下のように絞っていった。

【大雨の後なら流入河川の河口】
大雨で流されてくるミミズを求めて河口周辺にウナギが集まってくるであろう、という想定である。

【港の出入り口】
岸から狙えて水深のある場所、というと真っ先に思いつくのは港。流入河川も絡んでいたり、後述する消波ブロックなどの人工物も存在する複合ポイント。

【テトラや石積みエリア】
ウナギが寝床にするような隠れ家エリア。この周辺をフィーディングタイムに狙いたい。

では、どうやって釣るのか? 次行ってみよう!

ウナギが居そうな場所、その1。雨の後の流入河川。ちなみに、この場所は港でもある。 ©望月俊典
ウナギが居そうな場所、その2。消波ブロックや石積み。日中隠れていたウナギが遅い夕まずめに動き出すタイミングを狙う。 ©望月俊典

激安! ウナギのペットボトル釣法とは?

場所もほとんど当てずっぽうなので、釣るなら手数を増やさないとな…とは思っていた。しかし、サオやリールをたくさん用意するのも大変だし…ということで、今回やってみたのがペットボトル釣法。

ペットボトルと基本の仕掛けだけでウナギが釣れるという恐るべきメソッドなのだ。ちなみに、日本淡水魚愛護会のwebサイトに詳しく紹介されている。

以下、最低限必要なもの。

【ペットボトル】
500〜600mlのペットボトル。断面が丸いものよりも四角いものがおすすめ。ラベルは絶対に剥がさないこと。

【ライン】
ペットボトルに巻く糸。今回はカーボナイロンの3号を使用した。これを25〜30mほど巻きつける。

【オモリ】
ナス型3号〜6号を使った。流れていない場所は3号くらいでもなんとかなるので、根がかりしやすい場所は軽い方がいいかも。

【ハリ】
ハリスがセットされた市販品。ハリ14号、ハリス5号を使った。

上記以外にも、ハサミ、プライヤー、ヘッドライト、ランディングネット、釣ったウナギを入れる容器なども当然あった方がいい。特にこの釣りはカメが掛かることが多いので、プライヤーは必須。

ペットボトル仕掛けの材料。ペットボトル、ライン、オモリ、ハリス付きハリが必要。 ©望月俊典
ペットボトルにラインを25~30mくらい巻きつける。 ©望月俊典
道糸とハリスをナス型オモリに結び、ペットボトルに6割ほど水を入れれば完成。シンプル極まりない、原初的な仕掛けである。 ©望月俊典
とりあえず、”七人の侍”をイメージして、7セット作ってみた。 ©望月俊典

琵琶湖のウナギ釣りは…なんと、6連続オデコ!

最初にトライしたのは5月29日。この日は日中に降った雨が夕方には上がった。その時が来たのだ。琵琶湖西岸にある港にて、なぜかブラックバスの世界記録ホルダーの方も見物に来てくれた。

日没ごろのタイミングで、港の入り口周辺、護岸の角、流れ込み…など7箇所にペットボトルの仕掛けを投入。エサは琵琶湖で釣ったコアユである。あとは待つだけ。ちなみに、ペットボトルが「ゴトン!」…と倒れたらアタリの合図である。

ダベりながら待っているが一向にアタリがこない。

そろそろ帰ろうか…と、仕掛けをチェックしに行くと…なんと1本、ペットボトルが倒れている! くるくるとラインを巻きつけながら一応アワセを入れると…グイグイという手応えが! これは魚だ。…ウナギっぽい…感じは正直しないが、迷わずラインをペットボトルに手で巻きつけていく。ゆっくりと手繰り寄せていくと…銀色の魚体がギラリと光った。残念ながら、ウナギではなく、ニゴイだった。一説によると食べると美味いとも聞くが…迷わずリリースした。

それから6月末までに6度、ウナギ釣りに挑戦したこの哀れな語り部(←筆者のことです)。湖西から湖北まで転々と釣り歩いたのだが…その時点で、一度もウナギを釣ることはできていない。

記事を成立させるため(?)、急遽ターゲットを変更することにした。ウナギ以上のレア魚であり、高級魚でもあるその魚とは…?

エサは琵琶湖で釣ったコアユ。ハサミで真っ二つに切って、ハリに付けた。コアユの内臓はウナギの大好物らしい。 ©望月俊典
右手で道糸を持ってオモリをぐるぐると3回転させてから投入。スピニングリールの要領で、左手に持ったペットボトルからラインを送り出していく。 ©望月俊典
ペットボトルは岸に置いておく。魚が掛かるとこれがバタン!と倒れて、ラインが自動的に引き出されていく。そしたら、ペットボトルを持って巻き合わせをしよう。ちなみに、断面が四角いペットボトルがおすすめな理由は倒れても転がらないため。 ©望月俊典
最初にヒットしたのは…ニゴイ。食べると美味いという人もいるが、長年食用にされない理由はこの見た目にあるような気もする。 ©望月俊典

なぜか、さらに難易度の高いイワトコナマズに狙いをシフト!

ウナギ釣りでは6回連続のオデコを食らっていたこの哀れな語り部。6月27日にも7度目のペットボトルスタイルで挑戦をすることになったのだが…実はウナギではなく、別のターゲットを狙っていた。そう、イワトコナマズである。

イワトコナマズとは、余呉湖と琵琶湖水系に生息するナマズの一種。岩場を好むことが名前の由来とされる。食味が良いことでも知られており、漁獲量の少なさもあって、ウナギ以上の高級魚として珍重されている。

もしかしたら琵琶湖のウナギよりも釣るのが難しいかもしれない、とても珍しい魚である。6月中に釣って記事に間に合わせることができるのだろうか…? 完全に一発逆転狙いのギャンブルに出たということだ。

この日は湖北エリアの岩がゴロゴロしている場所で釣りをすることにした。

まずは明るいうちに目視でイワトコナマズを探すと…魚はたくさんいる。だが、ハス、ニゴイがほとんどで、たまにバス、ブルーギル、コイ、コアユの群れが泳いでいるものの…ナマズ類の姿は見ることができない。

見えないところに隠れていることを期待して、ミノーやスピナーベイトを投げまくった。たまにアタリはあるものの、ニゴイやギルばかりで、ナマズはかすりもしなかった。

日没後はルアーからエサ釣りにシフトした。そう、ウナギ狙いで慣れ親しんだペットボトル釣法だ。自宅の庭で採集した極太のミミズを仕掛けにセットし、仕掛けを手でブンブンと3回転させて沖へと投入。それをペットボトル7つ分、点々と仕掛けていった。


しかしながら、さすがの最レア種、イワトコナマズは気配すら見せない。蚊の猛攻に遭いつつ、それでも諦めずにエサを付け替え続けた。

21時半ごろになると雨も降ってきたではないか。今日もダメだったか…と、端から仕掛けを回収することにした。

5番目のペットボトルを回収しようと巻き始めたら…あらま、根がかりである。オモリが岩の隙間に挟まった、そう思った瞬間、グイグイと岩が引っ張るではないか。これは…魚だ! 手をロッドのように高く上げながら、ペットボトルにゆっくりとラインを巻きつけるこの哀れな語り部。ギア比1:1の超ローギアで時間を掛けて回収すると…あ、ナマズだ! しかも、この見慣れない雰囲気…間違いない、イワトコナマズだ!!

やった! 狙った魚が現れる、これぞ釣り師の引力!

…あれ、でもウナギは釣ってないよね?決して諦めたわけではないので‥いずれ釣れたら記事にしたいと勝手に思っている。そのときは蒲焼きにして食ってやるぞ!

自宅の庭でかき集めたフトミミズたち。滋賀のミミズはデカい。 ©望月俊典
湖北の日が暮れ、溝口健二の『雨月物語』のような…怪しい雰囲気になってきた。 ©望月俊典
もう帰ろうか…とペットボトルの仕掛けを回収していると…重いぞ! ©望月俊典
ついに新・本命のイワトコナマズが登場! ナマズにくらべて目の位置が外寄りで、黄褐色、お腹が黒っぽいのが特徴。40cmなさそうなサイズだったので再開を期待しつつリリースした。 ©望月俊典
琵琶湖ガイドの高田雄介さんにお借りしたイワトコナマズの刺身の写真。最高に美味いらしい。 ©高田雄介

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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