【なるほど 沖釣り辞典】大阪湾の〝夏タチ〟開幕!120cmのドラゴンを追う

毎年8月からスタートする大阪湾の夏タチウオ。その〝夏タチ〟の始まる海域として定番となるのは兵庫県の神戸沖付近。シーズン初期のこの海域で釣れるサイズはやや小振りが目立つものの、比較的数釣りを楽しむ事が出来るのが特徴だ。大多数の釣船が神戸沖メインである事に対し、シーズン開幕から全力で120cm以上のドラゴンサイズを狙う船と、それを期待して通うアングラーも存在する。盛期を迎える前に釣りビジョンのコンテンツ『なるほど!沖釣りマスター』で解説した〝大型狙いのメソッド〟を、「沖釣りマスター」たちのなるほどネタと共に振り返ってみる。

船釣り
  • 兵庫県 洲本沖

大型狙いで紀淡海峡へ

ドラゴン狙いに拘る船「上丸」は大阪府泉佐野に位置する北中通漁港(きたなかどおりぎょこう)から出船する。テンヤのエサとなる冷凍のマイワシは、船に常備されており使い放題、氷も含めて乗船代に含まれている。この日も村上利行船長の「拘り」に賛同する十数名のアングラーを乗せ、紀淡海峡を目指した。

一流し目からメーターオーバー登場
水深96mラインの海底に対して「他の人とオマツリを避ける為にキャストすると120m位で着底するので、そこからストップ&ゴー。もしくは速巻きで探ります。」という立野マスター。海況エリアでの強烈な二枚潮でオマツリが多発する条件の中で、キャストで道糸の角度を変え、それを立てる様なイメージで探って行く。ここで早くも吉田マスターのなるほどネタが飛び出す。

なるほどネタ1【キャストで飛距離を稼ぎ アタリダナを横引き】
キャストして道糸に角度を付け、海底付近をカーブフォールで横に探る。「レンジキープしながら広範囲に、先ずはドラゴンにテンヤを見つけてもらいます。」という吉田マスター。しかし2人にアタリはなく、同船のアングラーに一流し目からメーターオーバーが上がる。アタリは少ないが釣れれば大型。前評判通りの状況に、自然と期待が高まって行く。後は時合いを待つのみである。

テンヤタチウオの達人、吉田昇平マスター(左)と立野義昭マスター(右)。©釣りビジョン
今回、お世話になった、大阪府泉佐野市北中漁港の釣船「上丸」。©釣りビジョン
タチウオテンヤの仕掛け図。竿はサーベルマスター エクスチューン8:2 MH180(シマノ)。©釣りビジョン
サーベルマスター 船テンヤ40号(シマノ)。スリムなヘッド形状により落下速度が速く、すばやくタナまで届く。©釣りビジョン
兵庫県淡路島の洲本沖。©釣りビジョン
紀淡海峡。紀州と淡路島の間にある海峡。友ヶ島水道とも呼ばれる。大阪湾と紀伊水道を幅およそ11kmの海峡でつないでいる。©釣りビジョン
探見丸で水深、タナ、タイドグラフを確認しながら攻める。©釣りビジョン
一流し目からメーターオーバー!©釣りビジョン

中層に浮く反応にリアクションバイトを誘発

タチウオの反応を探して数度目の流しで立野マスターが掛けた。サイズこそ指3本、80cm程度だったが、状況を把握する貴重な1本。海底まで87mラインの中層58mでコツンと小さなアタリ。ハンドルを鋭く半回転するとリアクションで喰ってきたという。そして次の流しでは、吉田マスターが指4本90cm級をキャッチ。やはり50m台のレンジを探って掛けたという。時間を追う毎にアタリは増え、2人共にタナを探る動作から、アタリを出して掛ける動作に移行していく。「普通に大きく誘うとタチウオが追い切れていない。海底付近の潮が濁っているのかも」という立野マスターは、移動距離を短く移動速度の速い誘いで追わせたのだという。立て続けに同じサイズを追加する2人だったが、「このサイズの釣り方は分かったけど、やっぱりこのタイミングでドラゴンが欲しいですね。となると海底付近ですね」。と吉田マスター。立野マスターは「濁りがなあ…、どこまで魚がテンヤを見つけられるか。」そう、狙いはあくまでも“ドラゴン”である。

立野マスターの1本目は指3本サイズ。中層で喰ってきた。©釣りビジョン
吉田マスターは指4本サイズをキャッチ。しかし2人の狙いはあくまでドラゴン!©釣りビジョン

アワセのタイミングはケースバイケース

テンヤタチウオのアワセのセオリーは、アタリ→同じ誘い→次のアタリ→アタリの間隔が短くなる→断続的なアタリ→アワセのタイミング。大型を狙う時はギリギリまでアワせずに大きく引き込まれるか、リールを巻くのが間に合わない位の喰い上げでアワせる。というのが2人の認識だった。いずれもハリをくわえ込むまで時間を費やして掛けるという事である。ここでは立野マスターがなるほどネタを披露。

なるほどネタ2【頬にハリ掛かりした時が ベストのフッキング】
タチウオの頬に外側からハリ掛かりした時が、バレにくいベストのフッキング。イワシのお腹に喰い付かせるイメージだ。

大型109cmをキャッチ!
サイズアップを狙う二人が意識するタナは海底付近。水深90mラインの濁りを避けた80mからゆっくりとテンヤを漂わせた立野マスターがアタリをとらえた。やはりリールのハンドルを半回転鋭く回し、移動距離を短く移動速度の速い誘いで喰わせにかかると、大きな引き込みでフッキングが決まる。電動リールで巻き上げに掛かると、ギュンギュンと竿を力強く叩く。海面に姿を現したのは軽く指6本サイズ。計測すると109cmの大型だったが、村上船長は120cmに達していない事がやや不満気である。「まだまだ時間はある。」と立野マスターの肩を叩いて操舵室に戻った。

イワシの腹に喰い付かせるイメージ。©釣りビジョン
頬の外側から掛かるのが理想のフッキング。©釣りビジョン
ドラゴン(120cm)には届かぬものの、体高のある109cm!©釣りビジョン
リールのハンドルを鋭く半回転させてのHITだった。©釣りビジョン
109cmを釣っても、さらなるサイズアップを期待して檄を飛ばす村上船長!©釣りビジョン

魚入れ替え作戦とは?

「今、魚入れ替え作戦をしています。」という吉田マスターに詳しい話を聞くと、なるほどネタが飛び出した。

なるほどネタ3【小型らしきアタリを見送り 大きく出たアタリを掛ける】
先ずは小型からエサに反応させ、それを見た大型が小型を蹴散らしてエサを奪いに来る。その際の大きなアタリだけを掛けて行くとサイズが上がるという。これはあくまでも魚の数が多く小型と大型が混在している状況で試す手段なのだとか。サイズが混在している場合、小型の活性が高く我先にエサに飛びついて来る。それに対し警戒心の強い大型は、小型がエサを追っている姿を見てスイッチが入るのだとか。2人共、海中のイメージを最大限に膨らませて釣りを組み立てているのである。

タチウオシーズンは始まったばかり
さて、この撮影は8月の〝走り〟シーズンだったが、正に今がその時。動画では誘いのバリエーションや組み立てなど、実践的なテクニックが紹介されているので、ぜひ一度チェックして欲しい。特にMVN賞(最高のなるほどネタ)に輝いた立野マスターの動画は必見!
海中でのイメージや誘い方の引き出しを増やして、この夏、120cmを超える〝ドラゴン〟にチャレンジしてみては如何だろうか。

少しサイズアップした指4本サイズ。©釣りビジョン
サイズアップを目指すも、この日は指3~4本サイズが多かった。©釣りビジョン

 



施設等情報

大阪府泉佐野市北中通漁港「上丸」
住所:大阪府泉佐野市住吉町(食品コンビナート内)
電話:090-8383-6633
アクセス
車:阪神高速4号湾岸線「泉佐野北」すぐ
電車:南海線 関西空港行き「井原里駅」下車徒歩15分 釣船「上丸」公式HP

施設等関連情報

釣果はFacebookを参照
「上丸」公式FB

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

津端 雄大 釣りビジョンディレクター。

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