大分県中南部・津久見の磯で大型“梅雨グレ”を狙う!!

九州地方が梅雨入りした6月中旬、“梅雨グレ(メジナ)”を狙って大分県中南部に位置する津久見の磯に出掛けた。例年なら、海水温も上がり出し20℃を超えているのだが、今年は未だに19℃前後で、底潮はまだ低いようだ。これも4年前から続く黒潮の大蛇行の影響か。ともあれ、そろそろ“梅雨グレ”の活性も上がりだす頃と、40~50cm級の大型が釣れる津久見の磯に渡船の『IGマリン」が出船する長目港へと向かった。

磯釣り
  • 大分県 津久見

津久見の名礁「カジトリバエ」で、大型グレを狙う

この日の天気は曇り、海はベタナギ。蒸し暑い一日になりそうだ。朝6時の出船前に『IGマリン』猪熊船長に最近の釣果などを聞くと、前日は46cmを頭に40オーバーを数匹釣った人もいたとの事。日に日に釣果は上向きになりつつあるようだ。

後輩の梶屋さんと数人の釣り人を乗せて、午前6時に出船。前日釣果のよかった磯から順番に釣り人を降ろしていき、私たちは津久見の名礁「カジトリバエ」に渡った。この「カジトリバエ」の目の前には、四浦半島の先端部に位置する間元港が見える。その波止との水道部や、沖に位置する保戸島と四浦半島の水道部を流れる激流に引かれる潮を狙うのが、この日のメインになる。湾内を向いた釣り座も、水深があるので遠投するとマダイやイサキがよく釣れるが、足場がやや高い。私は激流の走る保戸島方面の水道部に釣り座を構え、梶屋さんは波止との水道部に釣り座を構えていざ実釣。

この日は下り中潮の3日目で、満潮は8時30分頃。潮は朝の内は沖を流れる水道部の激流にやや引かれながら、右から左へとゆっくりと流れている。当日はオキアミ3kg角を4枚と集魚剤を2袋用意、足元に撒き餌を入れて、魚の様子をじっくり観察する。餌盗りになる魚としてはスズメダイの小さな群れがいるようだ。暫く撒き餌を入れていると、10kgはゆうに超える真っ白なカンダイが現れる。続いて30cm前後のグレが沖から出てくるが、出てくるまでやや時間がかかる。下の方にはチラチラと良型グレも見えるようになったが、これも出てくるのに少し時間がかかる。

繰り返し撒き餌をしていると、グレの活性は少しずつ上がり出しては来たものの、海面に出てくるほどの活性はない。この釣りは魚の出てくる順番や時間、それぞれの魚の動きや餌を拾うタナなどをしっかりと頭に入れておくことが重要になる。撒き餌をしてから闇雲に仕掛けを入れるのではなく、グレの出るタイミングや小型のグレの動きをキッチリ把握して、仕掛けを組むことにした。
竿は磯竿1号。道糸とハリスは1.5号、ハリはグレバリ5号をセット。ウキはテスト中の00号のウキを使用し、ガン玉はなし。付け餌は、これもテスト中の“カラーオキアミ”を使用し、オキアミとハリの重さだけで、グレのタナまで仕掛けを入れていく作戦をとることにした。

この時期の狙いは40cmオーバー

グレ釣りのキモはタイムラグ。決め手は絶妙なタイミング

足元に餌盗り用の撒き餌を3杯入れる。餌盗りのスズメダイやウマヅラなどが完全に寄ってきたのを見計らって、20mほど沖にグレ用の撒き餌を4点打ちする。先程はグレが出てくるまで1分近くかかっていたので、ここですぐに仕掛けを入れず、1分程待ってから仕掛けを投入。追い打ち撒き餌を2杯入れ、すぐにグレが散らないようにしておいて、“張らず緩めず”でアタリを待つ。このパターンを繰り返していると、数投目にラインが走る心地よいアタリ。合わせを入れて、暫しやり取りを楽しみながらタモ入れすると、35cm級の元気なグレが姿を見せた。グレ釣りはこのタイムラグが重要で、チヌ(クロダイ)釣りと違って、見えるタナまで出てくる魚は、撒き餌が効いて餌を拾っている間に喰わせることをイメージしている。ある程度餌を拾うとグレは深みに戻るため、いかに餌を拾っている時に仕掛けを馴染ませるかが重要だと思っている。そのため、撒き餌を入れて間髪入れずに仕掛けを入れたりせず、じっくりと魚の動きを観察することが、私の釣りでは欠かせないのだ。何度かこのパターンを繰り返し、35~38cmのグレを5匹追加したが、なかなか大型にコンタクトできないので、今度は少し仕掛けの入れるタイミングと投入位置を修正することにした。

間元港の波止が見える場所に釣り座を構える
30cm台後半のサイズでは満足出来ない

ゆっくりと付け餌を下層へ。大型グレをねらい撃つ!

満潮の時間を迎えて下げ潮の時間になると、潮がフラフラとしてなかなか仕掛けが思うように馴染まない。そこで、カラマン棒の下にG5のガン玉を1個打って、仕掛けの安定を図る。潮の変化や動きによっては、仕掛けの馴染み方が変わる。自分の使うウキの特性をしっかりと頭に入れて、細かい情報を的確に読み取れるように、日頃から練習しておくことが大事だ。小さなガン玉一つで、ウキの馴染み方やラインの入る角度が変わってくる。自分の釣りに合ったガン玉使いができるように練習するといいだろう。ガン玉はオモリになるばかりか、時にはウキの代わりにもなるのだ。

先程までの釣り方だと、どうも上にチラチラ見えるグレばかりが喰って来る。そこで、その下にチラチラ見えるか見えないかの所にいる良型を狙い撃つために、撒き餌と仕掛けの投入パターンを変えてみることにした。今までは、手前に撒き餌を入れて、沖の本命ポイントに4点打ちした撒き餌の真ん中に、付け餌が落ちるようキャストしていた。今度は撒き餌の打ち方は変えず、もう少し仕掛け投入までの時間を長くし、撒き餌を打った所よりも、やや沖に付け餌が着水するようキャスト。糸を張って、沖から撒き餌の帯の下に付け餌を入れるイメージで、上にいるグレの層を突破して下層の大型を狙い撃つ。すると、先程までのピンと張る糸の動きとは違い、スーッとラインが走るアタリが出るようになった。ある程度走らせて合わせると、大型グレが頻発するようになった。釣れてくるのはすべて40cmオーバーの良型ばかり。最大で46cm。津久見独特の体高のある綺麗なグレで、43~46cmを5匹追加することが出来た。同行の梶屋さんも43cmの立派なグレを追加しながら、グレの引きを堪能している。

その後は潮の緑がかった色に変わり、嫌な予感とともにグレの活性も低くなった。その後、暫くアタリのない時間が続きグレの姿も見えなくなる。夏の釣りは暑さで体力を奪われるので、休憩を挟みながら海の様子を観察したが、どうも魚の活性が低いようで、餌盗りの姿もあまりない。

再開後は、ゆっくりゆっくりと丁寧に底付近まで仕掛けを落とそうと、ガン玉を外して、時間をかけながら上層から底付近まで探っていく。すると7m程仕掛けが入った所でラインがピンと走り、合わせると首を振りながら抵抗するグレとは違う魚の引きが手元に伝わる。無事タモに入ったのは40cm級のチヌだった。この釣り方で梶屋さんもチヌを数匹追加した。

スーッとラインが走る……強烈な引きが
40cm後半の大型グレが頻発するようになった

夏の釣りは暑さ対策を万全に

その後も納竿の16時まで、潮はフラフラした状態で潮色もよくならず、撤収の30分前に納竿して釣り場の清掃をした。当日は曇り空で日差しはあまりなかったが、風もなく蒸し暑い一日でたっぷりと汗をかいた。これからの季節、尾長グレや“梅雨グレ”、イサキやイシダイなどを狙って、出掛ける人も多いだろう。水分だけは多過ぎる位持っていくよう心がけたい。日差しがある日は、磯の上は何処にいても暑い。何もしなくても汗をかくのに、足場の悪い磯場ではちょっと動くだけで大量に汗をかく。日差しを遮る傘やワンタッチテントなどがあれば便利だ。熱中症対策を万全にして、夏の磯釣りを楽しんで頂きたい。

なお、津久見までのアクセスは、東九州道を南下し、津久見ICで下車。高速道を降りて直進、10分程進むと『IGマリン』のある長目港へ到着となる。

夏の磯は猛烈に暑い。暑さ対策には万全を
釣行の際には必ず救命胴衣を身に着けて

施設等情報

渡船 IGマリン(猪熊博之船長)
〒879-2476 大分県津久見市大字長目1506
TEL: 090-2508-1140 渡船 IGマリンホームページ

施設等関連情報

磯渡し:5,000円/人
千怒沖一文字波止渡し:2,500円/人
出港時間:6:30~7:00(要問い合わせ)
※料金などの詳細は公式ホームページを参照

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

上木 健司 大分県南の磯をホームグランドに、グレやチヌを中心としたフカセ釣りをはじめて30年。磯からのロックフィッシュやヒラマサ狙いにも精を出している。
若い頃にはGFGや釣研FGなどで年間大物賞などのタイトルも獲得。釣り人口の増加に寄与するため、地元メディアにも出演して、釣りの普及活動等も行う。
また、釣り具用ネームシール等の販売を通じ、全国の釣り人の輪を広げるために尽力している。

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