エリアで楽しむ本格的渓流ルアーフィッシング!

ポンド(池)の釣り、ストリーム(流水)の釣りとエリア(管理釣り場)の釣りを紹介してきたが、山梨県大月市にある『奈良子釣りセンター』では、もうひとつ異なるスタイルのエリアフィッシングが楽しめる。それは、本格的渓流エリアの釣りだ。ここは場内を流れる川の上流部を利用したゾーンで、その渓相は本格的な小渓流そのもの。こんな場所では、釣れる魚がいて当たり前の釣りではなく「ここなら魚が隠れていそうだ」という、より実戦的な釣りが必要とされる。そんな本格的渓流エリアの釣りをムカイフィッシングのMAX田中さんとともに楽しもう!

管釣り
  • 山梨県 奈良子釣りセンター

渓流ルアーを始める前の練習に最適!

川を段々に区切り、区画が明確なストリームエリアとは異なり、本格的渓流エリアはネイティブゾーンとも呼ばれ、自然渓流そのものの渓相が魅力だ。そのため装備もスニーカーというわけにはいかない。時に川を徒渉する必要もあるためウエーダーやゲーター&ウエーディングシューズなど、渓流ルアーフィッシングと同じ装備が必要となる。それもネイティブゾーンの醍醐味だろう。
「魚の数はポンドや区画されたストリームより少なくなりますが、その分、魚の着き場を探す楽しみが増します。なので、渓流ルアーフィッシングを始めてみたいけど、いきなり本当の渓流では勝手がわからない……という人にもオススメですね」とMAX田中さん。
つまり、実際の渓流へ行く前の練習に最適というわけだ。これは、どこで魚が釣れるか?という釣果の部分の練習だけではなく、川の中を歩く際の注意点や危険個所などを知る練習も含まれる。
「たとえ浅くても、流れを受けると思ったより歩きづらいんだな……とか、岩の上は滑るんだなとか、そういう現場でしかわからないことを体験できるのもネイティブゾーンのメリット。山奥の渓流で転んでしまうとケガで戻れないという可能性もありますけど、管理釣り場内のネイティブゾーンなら大事には至らないという安心感があります」とマネージャーの渡辺さん。

奈良子釣りセンターのストリームエリア上流部にある本格的渓流エリア。この先は天然の渓流のままのネイティブゾーンだ。このゾーンの魚はすべてキャッチ&リリースとなる
奈良子釣りセンターのマネージャーである渡辺勲さん。本当の渓流ルアーフィッシングを始める前の練習にも本格的渓流エリアの釣りは最適だという。「流れの中を歩く練習など、釣り以外の部分を実際に体験できるのは大きなメリットだと思います。シーズンオフの時期や解禁前に、ぜひ練習がてらお越しください」
今回のMAX田中さんの装備。足元はゲーター&ウエーディングシューズ。濡れても寒くない時期はこれが快適。涼しい時期ならウエーダーがオススメ。本格的な装備で楽しみたい
ここが奈良子釣りセンターの本格的渓流エリア。小さな瀬や落ち込みが連続するため、実戦的な渓流ルアーフィッシングが体験できる。渓流魚の着き場を探す目も養われる

渓流用のシンキングミノーで釣りたい!

MAX田中さんが、このネイティブゾーンで使用するのは、渓流で使うのと同じシンキングミノーだ。複雑な渓流の流れの中でもレスポンスよくアクションし、偏平ボディをひるがえしてアピールする美風50Sを使用する。
「ポテンシャルとともに感じてほしいのは、仕上がりの美しさですね。ボディのウロコ模様や顔周辺の繊細かつリアルなデザインは『直彫り』という高度な加工技術によるものです。なので、美しい渓流の世界観にもマッチする仕上がりになっていると思います」
やはり、渓流のルアーフィッシングにはリアルなシンキングミノーが定番。ここぞという場所の上流へキャストし、トゥイッチでルアーを躍らせて渓流魚を誘うのだ。

使用ルアーは美風50S(ムカイ)。サイズ=5cm、ウエイト=4.2gのシンキングミノーだ。レスポンスのよいアクションが持ち味で、ビギナーからエキスパートまで誰もが扱いやすいスタンダードモデル。仕上がりの美しさにもこだわったミノーだ

ネイティブゾーンの釣り方

管理釣り場内とはいえ、本格的渓流エリアは、よりネイティブに近い状態で魚が生息しているため警戒心が強い。そのため大事なのは魚にプレッシャーを与えないアプローチだ。
「水に入れる装備だからといって水辺をバシャバシャ歩いたり、岸際の岩をガラガラさせて歩くと魚に警戒心を与えてしまい、ルアーへの反応も当然、悪くなります。静かな足の運びはもちろん、急に立って水面に影を落とすような動きをしないことが大事です」
そう言って、身をかがめてシンキングミノーをキャスト。基本は下流側から上流のポイントに向かってルアーを投げていくアップストリームの釣りだ。魚は流れに対して上流に頭を向けているため、下流側からのアプローチのほうがアングラーの存在に気づかれにくいのだ。なので、まずはアップストリームで反応を見る。
「それで釣れなければ、今度は斜め上流へ投げ、流れやポイントを横切らせるようなアップクロスやクロスも試してみます。それでも喰わなければ、最後はダウンで流して、流れの中にルアーをとどめてしつこく誘ってみましょう」とMAX田中さん。

身をかがめて慎重にアプローチ。なるべく音を立てず、そして自分の影がポイントに掛らないように注意する
ここぞ!というポイントに接近する際は、岩陰に身を潜めて石化けして狙う。ネイティブゾーンで釣る時は、本当の渓流でするようなアプローチをするか否かで釣果が変わってくる
慎重なアプローチによって岩陰からニジマスを釣りあげる。本当の渓流と同じ釣りができるのがネイティブゾーンの醍醐味
魚体に木々の色を映す本格的渓流エリアのニジマス。心なしかワイルド感も増して見える

ルアーの視認性をアップさせる簡単チューン

頭上に木々が覆いかぶさるような渓流は日中でもローライトで暗い。ましてや白泡や点在する岩などによって水中の変化も富んでいるためルアーの位置が把握しづらい。
「渓流用のミノーには視認性アップのため、背中に蛍光テープを貼っています。これだと地味系カラーのルアーでも、泳いでいる位置の把握がしやすく、ココという場所でトゥイッチを入れたり、ルアーをとどめたりできる。また、ルアーの回収が近いのに気づかず、リールを巻き続けトップガイドにルアーをぶつけてしまうトラブルの予防にもなります」

色の濃いルアーや地味系カラーのルアーの背面に蛍光テープを細く切って貼っておく。これでルアーの視認性がアップする

禁漁期やオフシーズンの練習にも最適

これから渓流の釣りを始めてみたい!と思ったところで、多くの渓流は9月いっぱい~10月の中旬で禁漁となる。すると春(2月~3月)の解禁を待たなくてはならない。それまでの期間、この沸き上がった渓流で釣りたい熱をどうするか? そんな時に最適なのが、管理釣り場のネイティブゾーンというわけだ。いかにも管理釣り場という環境ではなく、本格的な環境下で渓流のルアーフィッシングが体験できるため、禁漁期やオフシーズンのウォーミングアップにピッタリなのだ。そして、シーズン中にもビギナーの練習に役立つ。こんな管釣り場のネイティブゾーンを活用しよう。

こんな山深くても管理釣り場。「本格的な渓流ルアーの練習にも最適ですね」とMAX田中さん。実戦的な渓流の釣りが楽しめるのだ
ロッドはエアースティックBIKAZE ASBK-1582(ムカイ)。渓流で多用する5cmクラスのシンキングミノーの操作性に優れたハイポテンシャルモデル。リールはヴァンキッシュC2000SHG(シマノ)。ラインはPE0.6号にフロロリーダー5lbをセット
アングラー=MAX田中。ムカイフィッシングで企画開発&営業を担当する。ライトでカジュアルなスタイルのエリアフィッシングを提唱している。最近では渓流ルアーフィッシングへも足繁く通うアングラーだ

施設等情報

■奈良子釣りセンター
〒409-0635 山梨県大月市七保町奈良子10
TEL:0554-24-7636 奈良子釣りセンターホームページ

施設等関連情報

■料金
一日券:6時30分~17時まで。4,700円(大人)3,800円(女性・中学生)3,000円(小学生以下)※魚の持ち帰りは10尾(合計2kg以内まで)、本格的渓流エリアはキャッチ&リリース
半日券:6時30分~12時まで(午前券)12時~17時まで(午後券)。3,600円(大人)3,200円(女性・中学生)2,500円(小学生以下)※魚の持ち帰りは5尾(合計2kg以内まで)、本格的渓流エリアはキャッチ&リリース
※ルール等は公式HPを参照

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

宮崎 紀幸 東京は多摩川のほとりに住まうフリーランスライター。
地元・多摩川での釣り&野外活動を楽しみつつ、自身でもトラウトやシーバスなどのルアーフィッシングを嗜む。冬はカワハギ釣りにも熱くなる!

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