滋賀県・琵琶湖 “私的”ルアーインプレ釣行 秋編

『バスルアー図鑑』(つり人社刊)という本を書くくらい、釣れるルアーにはうるさいこの哀れな語り部(←筆者のことです)。個人的に最近とても気になっているルアーを自腹で購入し、1日それだけで釣りをしてみました。でかバスを連れてきたのはどれだ!?

バス
  • 滋賀県 琵琶湖

難しくなったといわれる琵琶湖にバージンルアーで挑戦する

秋も深まってきた10月20日。湖西にあるレンタルボートひさの屋から久々のバス釣りに出ることになった。琵琶湖のバス釣りはいつだってなんらかのテーマを持って臨むことにしているこの哀れな語り部。この日は「最近気になっているけど、釣ったことのない新作ルアー」だけで釣りをする、というのがお題だ。
ルアーの使用感などのインプレもするつもりなので、ちょっとでも読者諸兄の参考になればと思う。とはいえ、こちとら自腹のプライベート釣行。明らかに状況に合ってないのに無理やりな使い方を続けたりはしない。釣果優先でルアーを投げ続けるので、まあ、ある意味実践的なインプレになるのではなかろうか。
では、この日のために揃えたルアーたちを紹介しよう。

●ブリッツマグナムEX-DR(O.S.P)
9m以上の潜行深度を誇るマグナムディープクランク。遠投すれば60m以上飛ぶし、14ポンドラインまで落として追い風でキャストすれば80m飛んで、軽く10m以上潜るとか…。ちなみに、琵琶湖ガイドの國澤高士さんを取材し、このルアーのパンチ力は体験済みである。

●サカマタシャッド7インチ(デプス)
デプスの定番スティックベイトシリーズの最新作。これがよく釣れるらしく、じわじわ人気になっている。「他のサカマタとはちょっと違う」味付けがされているらしい。

●スクーパーフロッグマグナム(ボトムアップ)
スクーパーシリーズ第2弾。オリジナルからいきなり巨大化した、エラストマー製ワーム。釣りビジョンマガジン・ライターの安倍康浩さんが執筆された記事を読んで、即5個購入した。

●コイケフルキャスト(ハイドアップ)
オリジナルはかなり昔に発売されたコイケシリーズ。近年になってリバイバルヒットし、その勢いに乗って出たのがこのフルキャスト。これもエラストマー製の低比重ワーム。琵琶湖ガイドやトーナメントでの実績がすごい…が、使い方は謎。

今回使用する、語り部的バージンルアーたち。どれも今年発売されたばかりの新製品だ
ゆっくり8時半ごろ真野のボート屋さんを出発。すっかり高く上がった太陽の方向へ進む

ルアーの個性に合わせてローテーションさせる作戦

この日の朝、真野の最低気温はなんと8℃。おそらく、この秋初めてのひと桁台。天気はスカっとした快晴。風も弱めで、人間的にはとても快適なのだが…語り部の経験上、こういう秋の日はあまり釣れない。朝が冷える秋晴れの日というのは、一年を通してもかなりシブい部類に入るのだ。なので、ゆっくりめの8時半にボート屋さんをスタートした(本当は早寝早起きができないだけである)。
穏やかな湖面を東に走って、東岸のディープエリアへ。しかし、有望なスポットには先行者がいたので、まずは魚探を掛けて新しいスポットを探すことにした。水深12〜15mのブレイクを30分ほど魚探がけしたがなんの成果もなく、さらに北上した。
ロックエリアの岬状に張り出した岩をやろうと思ったのだが…ここも2ヶ所の有望場所に先行者あり。次点のスポットにて、やっと最初のキャストをすることができた。すでに9時半を回っている。魚探を見るとモロコとハスの群れと思しき影が映っているので、サカマタシャッド7インチが最初の刺客として選ばれた。ボディ後部にネイルシンカーを入れて、少し速く沈むようにしてある。水深5mのボトムまで沈めたら、2〜3回ジャークして、数秒間ポーズ。これの繰り返し。同じボート屋の釣り仲間がYoutubeでやっていたアクションの真似である。3投したが、反応がないので、次はスクーパーフロッグマグナムのダウンショットリグ(3/8oz)を投入。ファーストインパクトでどうか?と思ったがこれもダメ。続いて、キャラ被りな気もするがコイケフルキャストの同じく3/8ozダウンショットを入れるも、同じように反応なし。最後に、ブリッツマグナムEX-DRで岩に直撃させると…ん? 今度はバスっぽい影が現れた。しかし、バイトまでは至らず。
沈みモノ系スポットに対して、最初はマッチ・ザ・ベイト系のナチュラルなサカマタシャッドから入り、次にスレたバスでも興味を惹かれるような変わったアクションのルアー、最後にスピードと派手な動きで無理やり反応させるマグナムクランク…というのがこの日の基本的なローテーションだ。マグナムクランクは根がかりしてポイントを潰しやすいので最後に登板させるという意味もある。
こんな感じで、沈み岩、取水塔、オダを数カ所回ったところで、もう昼になってしまった。アタリはまだない。

ディープエリアのブレイクを魚探で宝探し。しかし、何も見つけられなかった。魚探は、エコマップUHD9インチモデル(ガーミン)、振動子はGT56UHD
岩の張り出しを狙う、哀れな語り部。写真は自撮り。孤独な釣行である

束の間のチャンス、カバー撃ちで50cmアップを連発!

ひんやりとした秋晴れの日というのは、ターンオーバーが絡んでいることもあるせいか、アタリが遠くなり…ついついルアーを小さくしたりスローダウンさせる方向になりがちだと思う。これでは小さいバスは釣れるかもしれないが、でかバスへの道は険しくなってしまうだろう。こんな日は昼頃になってグッと気温が上がった瞬間こそチャンス。浮いたでかバスがカバーなどに付くことがあるので、強めのルアーで狙い撃ちするのだ。
というわけで、とある流入河川で軽く魚探がけをしていると、種類はわからないがいろいろな魚が映った。これに対して闇雲にルアーを投げても釣れないので、周囲の喰いそうなカバーを狙って撃っていくことにした。
4つのルアーで最もカバー撃ちに適していそうなのは…スクーパーフロッグマグナムだろう。3/8ozのジカリグにセットして、カバー周辺の表層をスイミングさせたり、直撃&フォールで狙った。すると、数投目でラインが力強く走った!
ファットかつモチモチした素材のワームなので、2度強めに合わせを入れる。まあまあデカそうだ…が、なぜか全然引かない。ボートの周りでひと回しして、ネットに収めた。57cm。やっぱり、なかなかのサイズだ。
ひと通り写真を撮影したら、今度はスクーパーフロッグマグナムの吊るし状態の写真を撮ろうとカメラ(iPhone)を構えながらアクションさせていると、また喰った! 水面直下なので、バイトシーンも丸見えである。買ったばかりのiPhone14Proをデッキに放り投げ、ファイトを開始、すぐにランディングに成功した。こいつも50cmとまあまあじゃないか。よし、スクーパーフロッグマグナムはこれくらいにしておこう(笑)。

1匹目をカバーから引き離した直後。重さはあるがあまり引かない…
タイトル写真と同じ魚。右の胸ビレが欠損していたが、立派な魚体の57cmだった
2匹目のファイトシーン。こいつは元気に大暴れしていた
50cm。数釣りの秋でも狙い方によっては一応サイズを選べるのだ
川村光大郎さんの記事ではスティーズフレックスジグ(ダイワ)をセットしていたが、この直ゴム(G7)を使ったジカリグ(?)だと同じような効果があると思う。しかも、ウェイトも自在だしすり抜けも良好、かつフッキングもいい。シンカー位置をずらせば「なんちゃってキャロ」にもできる。シンカーはフリーリグシンカー(Chill)

カバー撃ちに没頭し、気がついたらババ荒れに…

カバーに付いて浮いている、という確信を得たので、ここからはそういう場所を撃っていくことに決めたこの哀れな語り部。ただ、スクーパーフロッグマグナムは封印したので、サカマタシャッド7インチのネイルリグやコイケフルキャストのダウンショットリグでしばらく撃ったが…アタリがない。どうも、ターンオーバー下のバスを瞬間的に喰わせるにはちょっとインパクトが足りないような気もする…。ということで、ここでさらなるインプレルアーを追加投入することにした。

●SVSBメガ(ディスタイル)
もともとは「沈む虫」と呼ばれるジャンルの高比重ワーム。メガになるといわゆる「虫」サイズではなく、三葉虫のようである。琵琶湖ではガイドの西平守良さんが釣りまくっているので有名。筆者は釣ったことがない。HPフリッピングジグ(ダーティジグ)の1/2ozにセットした。

流入河川のカバーをこれで撃っていく。しかし、なぜかアタリがでない…。やっぱりゆっくり落とす方がいいのか?…そんなことを思いつつ釣りに没頭していたら…いつの間にか北西風が強く吹き付け、ババ荒れになっているではないか。
これ以上の進撃は諦め、真野へ戻ることにした。

SVSBメガで流入河川のカバーを撃つ。近年、安定感のないシャローカバーの釣りは琵琶湖ではあまり流行っていないが、たまにいいこともある
ラバージグにセットしたSVSBメガ。甲殻類系をチョイスしたのはもうひとつ理由があった
釣れた場所の近くにあった、おそらくアオサギのペリット。ペリットとは鳥が口から吐き出した未消化物の塊のこと。よく見るとザリガニを喰っていたことがわかる
いつの間にかババ荒れになっていた。和船はラフウォーターに強いので、これくらいなら落ち着いて操船すれば大丈夫

では、本題のインプレを駆け足で…

真野に戻ると、だいぶ穏やかにはなったが、もう時間がない。最後はミオ筋でサカマタシャッド7インチを投げて短い1日を終えた。
さて、肝心のインプレだが…すっかり文字数の限界に近づいてしまったので、今回は短いコメントで終えよう。

●ブリッツマグナムEX-DR(O.S.P)
メーカーのおすすめはフロロ16ポンドなのだが…庶民アングラー的には根がかりが怖すぎる。なので、PE2.5号にフロロ6号リーダーを巻いたタックルを使用した。が、多分フロロ通しのタックルの方が遠投させやすい。水深5mくらいだとあっという間にボトムに到達し、ゴリゴリと舐めるようにゆっくり引いたり浮上させたりを楽しんだ。

●サカマタシャッド7インチ(デプス)
ジャークするとサカマタ8インチのような綺麗なダートを見せる。さらに、ただ巻きをするとボディをブルブルとくねらせながら泳いだ。このクランキングはハスパターン、アユパターンの時期に活躍しそう。フックの後部にネイルシンカーを入れると、ボディを震わせながら水平フォールする。

●スクーパーフロッグマグナム(ボトムアップ)
午前中は3/8ozダウンショットリグでディープのオダなどにコンタクトさせていた。ただ落とすだけで足がふわふわとゆっくりとキックするような魅力的な動きを見せる。シャローではジカリグにセットして、カバー周辺を泳がせたり落としたりした。

●コイケフルキャスト(ハイドアップ)
今回は3/8ozダウンショットで使用した。ロッドでトゥイッチさせると全身の毛をフワッとさせ、直後にその毛が抵抗となってストップする、独特なアクションをする。マッチ・ザ・ベイト的にはドバミミズの集合体だろうか? 小さいストレートワームのアラバマリグ的な存在にも見える。

●SVSBメガ(ディスタイル)
琵琶湖ではノーシンカーリグでボトムジャーク系の使い方が主流だと思う。が、今回は対カバーウェポンとして起用した。ストン、と落ちるのでスピードで喰わせたいときにも向いていると思う。素材も硬めで対カバー向き。あと、投げやすい。

真野浜のミオ筋にて、最後のサカマタシャッドチャレンジ
ロストすることなく1日サバイブしたブリッツマグナムEX-DR。それだけでうれしい
ひさの屋の桟橋にて、本日の釣果。またすぐにでも投げに来たい
使用タックル ●ブリッツマグナムEX-DR用…ロッド:スイムベイト用ロッド(DRT)、リール:カルカッタコンクエスト200(シマノ)、ライン:ソルティガ12ブレイド 2.5号(ダイワ)+フロロ6号リーダー、●コイケフルキャスト、SVSBメガ用…ロッド:サイドワインダーHGC-70HFバレットショット(デプス)、リール:メタニウムMGL HGレフト(シマノ)、ライン:フロロマイスター 20ポンド(クレハ)、●スクーパーフロッグマグナム用…ロッド:サイドワインダーHGC-70HFバレットショット(デプス)、リール:バンタムMGL PGレフト(シマノ)、ライン:フロロマイスター 20ポンド(クレハ)、●サカマタシャッド7インチ用…ロッド:テクナGP TAV-GP66C MHJ(フェンウィック)、リール:メタニウムHG レフト(シマノ)、ライン:ガノア アブソルートAAA 20ポンド(バリバス)

施設等情報

■レンタルボートひさの屋
〒520-0525 滋賀県大津市小野306-89 
TEL:077-594-3288
レンタルボートひさの屋ホームページ

施設等関連情報

営業時間:日の出〜17:00(夏季)、日の出〜16:00(冬季)
レンタルボート代金:1人乗り7,000円(9.8馬力)、8,500円(20馬力)。2人乗り8,800円(9.8馬力)、11,000円(20馬力)、3人乗り13,200円(20馬力)
公共交通機関:JR湖西線 小野駅下車 徒歩約17分
車:湖西道路 真野IC下車 約6分

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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