長士の提案する、究極のデスゲーム「マレッティング」とは?

釣りの世界は厳しい。メバルがバリバリに釣れると、「メバリング」ゲームが紹介されて流行。いつの間かメバルは幻の魚の仲間入りになる。アジが良く釣れると「アジング」ゲームが一世を風靡して、めでたくアジも敷居の高い魚に……。それは言い過ぎだけど、こんな悲しい流れがあるのは確かだ。そこで、アジングのパイオニアでもある房総のソルト神「渡邉長士」さんは、究極のゲームを提案。ターゲットは?「ボラです。ボラはいっぱいいますから、資源的には心配ないです」。じゃあ、呼び名はボラリング? 彼は首を振って一言、「マレッティング……と名付けました」

ソルト

魚は無限にいる、ゲーム性は抜群、食べてもおいしい、ゲームフィッシュの最終兵器

取材を兼ねて渡邉長士(わたなべたけし)さんを訪ねて、一緒に釣りをしたときのこと。
「鉄平さん、究極のゲームフィッシュ知ってますか? 実はボラなんですよ」
彼はそんな話をし始めた。
皆さん知っての通り、ボラは資源数が半端ではない。ちょっとやそっと流行しても、数が減ることはないだろう。しかも、釣るのがなかなか難しいのだ。
「ボラはフィッシュイーターじゃないので、ルアーをアクションさせたらダメなんです」
アクションさせちゃダメって……意味が分からん。フィッシュイーターじゃない魚をルアーで釣るって、そもそも可能なのか???
ところがチョーシさんは俺の目の前でボラを見事に釣ってくれた。0.2gほどの超軽量ジグヘッドにアジングワームをセットして、PEの0.15号で遠投。それを漂わせる程度にスローに引くとボラが喰ってくるのだ! 生き物ではない餌をイミテートする、デスゲーム。ところが、60cm、70cmのボラが当たり前に喰うのでファイトは壮絶。上げるのに1時間かかることもあるという。これは確かに究極のゲームフィッシュかもしれない。渡邉さんはこのゲームに「マレッティング」と名付けた。ボラの英名がマレットだからだ。
「それに、ボラが不味いと思っている人がいますけど、あれは間違いです。お刺身でもなんでも、食べるとマジで旨いですよ」
冬はボラに脂が乗って、特に美味しいとされている旬の時期。この時期のボラは目に脂がたまるので視力が落ちるが、それでもルアーで釣れるという。あなたは、この究極のゲームに挑戦してみる?

渡邉長士(わたなべたけし)。ソルトシーンにその名を轟かす達人だ。俺は親しみを込めて「チョーシ」と呼んでいる。アジングのパイオニアでもあり、常に新しい釣りを探求している。
これが渡邉さんの釣った冬のボラ。ランカーサイズだ。このサイズ相手に0.15号のラインで戦うのはスリル満点。
実は今年の夏に俺も挑戦してみた。食品工場から流れてくる魚介類のカスみたいなものを狙って、流れ込みの出口にはボラが集まっている。そのカスをイミテートして漂わせる。ボラは警戒心が強いので、距離を取って遠投する必要がある。
釣れた! と思ったら、口の外側にかかっていた。ちゃんと口の中にかかった魚もいたけど、逃げられた。マレッティング、意外に奥が深くて面白い!

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

横沢 鉄平 フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。ロッド&リールの「三匹が行く」、ルアーマガジンの「ドラマチックハンター」など、長期連載企画での出演経験も多数。キャンプ用品の「ヨコザワテッパン」考案者でもある。
YouTubeチャンネル「ヨコテツ」も、ささやかに継続中だ。

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