味の南米ランキング1位はパクー!
アマゾンでの釣りは、優雅なフィッシングロッジスタイルが主流だが、地元漁師とキャンプをしながら数日間釣りをする、という冒険的なスタイルもある。後者は快適性ではやや劣るが、費用が断然安いし、釣果は漁師の腕と時の運次第。そんな冒険スタイルでは、我々自身で釣った魚が日々の食糧になる。
アマゾンにおいて、釣果に困ることはあまりない。なので、より美味い魚種を選別してキープしていくことになる。とりわけ食卓でよく上がる魚種はというと…各種ナマズ、ピラニア、ピーコックバス、そしてパクーである。
パクーとは1種類の魚を指すわけではない。分類的にはカラシン目セルラサルムス科に属している草食性(雑食ともいわれる)の魚の総称をパクーという。セルラサルムス科にはあのピラニアも属している。ざっくり、パクーとは一見ピラニアのような見た目をした草食魚だと思ってもらえればOKだ。
ひと口にパクーといっても何種類もいるのだが、総じていえるのは、どれも食味が非常に優れているということ。塩焼き、バター焼き、フライ、スープなどでよく食べたが、適度に脂が乗っていて、ちょっぴり燻製のような香りと深い旨みがある。身離れもよく食べやすい。とりわけうまいのがヒレ。フライにすると絶品なので、パクーを食べる機会があればヒレは絶対に捨ててはいけない。
ちなみに、語り部がアマゾンで食べた魚で他に美味かったのは、ピラルク、ピーコックバス(これは種類による。トクナレ・ボルボレッタと呼ばれる小型種が特にうまい)、各種ナマズである。ナマズは何種類か食べたけど、どれも一定以上の味わいがあった。
ブラジル、シングー川にて。ペーシュ・カショーロ(いずれ紹介するアマゾンの怪魚)を狙ってカウントダウンマグナム(ラパラ)を投げていたら、強烈な引き味の魚がかかった! これはカショーロではないぞ…と思っていたら、上がってきたのはなんと大きなタンバッキー(パクーの一種)。その瞬間、普段はランディングを手伝わないボートパイロットが目の色を変えて獲物の尻尾を掴み、ボートに引き上げた。美味いのを知っているのだ。ちなみに、ルアーで釣れることは稀である
このときはバター焼きとスープでいただいた。パクーは皮も美味い。なお、基本的にアマゾンの魚たちはあまり臭みがない。現地の人々は、「海の魚は臭くて食べられない」という人もいる
ブラジル、テレスピレス川にて。アマゾンの漁師は川の中洲に漁師小屋を持っていることが多い。そこに漁師のバドとふたりで3日間寝泊まりしながら釣りをした。3日間というは発泡スチロール箱で持ち込んだ巨大な氷が溶けるまでのタイムリミット。電気がないので、漁師は釣った魚をその箱に入れて保存する
漁師に借りたタックルでパクーを釣る語り部(筆者)。ブラジルでは漁師といえど網などで魚を獲るのは禁止されているらしく、サオとルアー、エサを使って釣るのである
バドの漁師小屋で釣ったパクー。島からちょっと離れたところに小さな釣り用イカダが設置されていた
漁師がコーンを撒いて魚を集めながら釣りをする
喰わせエサのコーン
釣ったパクーのフライ。見た目は無骨だが味はよい
施設等関連情報
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。
この記事を書いたライター
望月 俊典
千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。