能力別おすすめ怪魚旅プラン6【前編・初級者向け】

長く続いたパンデミックムードもようやく落ち着き…怪魚マン達よ、旅立ちの時は満ちた。この3年ほど溜まった遠征欲とおこづかいを使うときが来たのだ。前編後編に渡って、個人のスキルや予算に合わせた6つの「能力別釣行プラン」を紹介しよう。前編となる今回は、海外に行ったことのない怪魚ビギナーにも安心の3プランを用意しました。ちなみに冒頭の写真は、イースター島で釣ったヤガラです。背景に立ち並ぶ石像は、リアルなモアイです。(執筆:望月俊典)
※注意:コロナ禍以前の経験を元に書いております

その他

お金、時間、行動力…という3要素で旅のプランを提案する

横沢編集長から「『誰でも行ける怪魚釣り』みたいなハウツー記事をよろしく!」…との依頼を受けたこの哀れな語り部。はいはい、と安請け合いはしたものの…考えてみたら日本の旅行会社におまかせでツアーを組んだりしたら…東南アジアの釣り堀に行くプランでさえバカにならない金額になるし、アマゾンなど秘境を目指すなら80~100万円オーバーという…とても「誰でも」なんていえないレベルでお金がかかってしまう。海外に自信のない人はプロ任せが安心だが、金銭面でのハードルが跳ね上がってしまうというデメリットもあり…悩ましいのである。

そう、ネット社会になって久しい今日でさえ、「誰でも」怪魚旅に行ける時代ではない…のかもしれない。そこで改めて、怪魚旅に必要な3つの命題を以下にまとめてみた。

●お金
どこに行くにも必要だが、最低ラインは交通費+食費+宿泊費でなんとかなる。天井は限りなく高く…南米のセレブ系フィッシングロッジなど金さえ積めば爆釣の夢だって買えるさ。ぶっちゃけこれが有り余るほどあれば無敵。

●時間
学生ならともかく、日本の社会人、特に会社員だとこれを捻出するのがなかなか難しい。とはいえ、最短なら土日の2日間でなんとかなる…と思う。半年くらいあれば現地でアルバイトをしながら…というスタイルまで可能

●行動力
治安の悪い国やフィッシングガイドなどが確立されていない場所では、これがものをいう。予想できない問題を解決するアドリブ力、現地で仲間を作るコミュ力、頑丈な身体と体力、諦めない精神力…つまり、冒険に必要とされる総合的な人間力である

これら3命題の必要度を5段階でレベル分けして、あなたに合ったプランをいくつか紹介していこう。

<前編>
●プランA アジアの怪魚釣り堀ツアー
●プランB マレーシア野池のピーコックバス釣りツアー
●プランC ヨーロッパのパイク釣りツアー

<後編>
●プランD モンゴルのタイメン釣り旅
●プランE アマゾンの怪魚盛り合わせ旅
●プランF コンゴ河のムベンガ釣り旅

●プランA アジアの怪魚釣り堀ツアー

お金 :★☆☆☆☆
時間 :★☆☆☆☆
行動力:★☆☆☆☆

対象魚:ピラルク、アリゲーターガー、ピララーラ、メコンオオナマズ、バラマンディ、トーマンなど


時間もお金も行動力も自信がないけど…SNSでドヤりたい!…という人にはこちら。

空港まで現地ガイドが車で迎えにきてくれて、釣り堀まで送迎。もちろん釣り方もレクチャーしてもらえる…という至れり尽くせり。釣りのあとは宿まで送ってくれて(交渉次第では)夜の案内もしてもらえる竜宮城モード?(語り部は経験ありませんが)。

英語を一切話したくないという人には、日本の旅行会社が国内の空港から同行してくれるというツアーまである。こうなるとサルでも…という気さえするが、釣り堀とはいえ、釣れる魚は世界の淡水界を代表するような大物揃い。釣りに詳しくないSNS友達はワイルドだろうが釣り堀だろうがそんな細かいところは気にしないもの、思いっきり自慢してしまおう。

アマゾン原産のピララーラ(レッドテールキャットフィッシュ)がリアライザー(デプス)で釣れた。サイズのわりにめちゃくちゃ引きが強い
養殖池のバラマンディ。怪魚釣り堀にくらべて釣るのは簡単。一時期、釣具メーカーも宣伝のためによく利用していたような気もする
タイの釣り堀はいろいろなタイプがある。メコンオオナマズがメインの釣り堀はシャワー、トイレ付きのバンガローが併設されていて、夜通し釣りを楽しむことができる

●プランB マレーシア野池のピーコックバス釣りツアー

お金 :★★☆☆☆
時間 :★★☆☆☆
行動力:★☆☆☆☆

対象魚:ピーコックバス、トーマン、ベリーダなど


時間もお金もあんまりないけど、憧れのピーコックバス、しかもワイルド個体を釣ってみたい…という人にぜひおすすめしたいのがこちら。

日本からは数時間でクアラルンプールに到着、空港までガイドが迎えにきてくれて、釣り場のある野池群エリアに直行…というこれも至れり尽くせりツアー。

人里離れた池にボートを出して岸を撃っていくスタイルは、ちょっとしたアマゾン気分。運がよければ野性のゾウにも遭遇できるかも。釣り方やタックルもバスフィッシングの延長の考え方でOK。フックは替えた方がいいが、それ以外はそれほどヘビータックルにする必要はない。世界最高峰のゲームフィッシュなので釣りに関しては最高に楽しいのである。池によってはトーマンやベリーダも狙える。

ルドラ130SP(O.S.P)でいきなり釣れた53cm。このときは、ロッドはハザードマスター(デプスのワンピースロッド)にラインはフロロ16ポンド。今ならパックロッドに道糸はPE1.5~3号でOKだろう。ブラックバスとはまったく違う強烈な引きで、なんとかキャッチできたが、フックはすべて伸ばされていた
ポップR(P65)に激しくバイトした57cm。トップやジャークベイトなどのハードルアーだけで攻略できるので、プラッギング好きにはたまらないだろう
筆者が2009年に初めてマレーシアに行ったときは、航空券代とガイド代など含めて8万円ほどで旅が完結できた(釣りは3日半)。しかし、今ではその倍以上かかると考えた方がいいだろう。なお、エビ釣り堀も楽しい

●プランC ヨーロッパのパイク釣りツアー

お金 :★★★☆☆
時間 :★★☆☆☆
行動力:★★☆☆☆
対象魚:ノーザンパイク、ヨーロピアンパーチ、ザンダー、ヨーロッパオオナマズなど

意外に狙い目なのがヨーロッパの街中フィッシング。ワイルドのパイク、パーチが比較的簡単に釣れた。場所によってはヨーロッパオオナマズも狙うことができる。

内陸の都市には必ずといっていいほど街中に川が流れているので、そこで釣りができる。ルアーアングラーは日本に比べたらだいぶ少なく、岸からでも難易度はそれほど高くない。

よほどの大都市でなければ街中でそのまま釣りができたし、パリのセーヌ川やベルリンのハーフェル川などは郊外までちょっと電車やトラムで移動してから釣りをすると…60cmアップのパイクが釣れたりした。観光旅行の道中に1日くらいがっちり釣りをすると、ガイドブックの観光旅行では見えない景色が見えたり、地元の釣り人と友達になれたりする。マニュアル通りの観光旅行が血の通った旅へと変化していくのを感じられるだろう。

※設定している日程や予算はあくまでも最低限のレベルと考えてください
後編へと続く

チェコで釣ったパイク。これは池だが、プラハを流れるヴルタヴァ川でも釣れる。学生時代には各地で釣ったことがあるが、は実家にあるので要捜索。ルアーはバス用プラグやワームのジグヘッドリグのスイミングでイケるが、トップはイマイチ
ヴェニスの運河で釣れた、名も知れぬ小魚。南仏の港でアオリイカが入れ喰いになったこともあった
ヨーロッパの街中フィッシングはガイドなしで全然可能。なので、釣りの費用は安く済むのだが…航空券代や宿泊費などが高い。なお、ほとんどの場所でライセンスが必要なので、釣具屋さんや各種機関で購入すべし

施設等関連情報

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

望月 俊典 千葉県九十九里町生まれ。雑誌『Rod and Reel』副編集長を経て、フリーランスの編集/ライターとなる。海外の秘境釣行も大好きで、『世界の怪魚釣りマガジン』の立ち上げ&制作を手掛けた。現在は、琵琶湖事務所で仕事や釣りにいそしむ。著作は『バスルアー図鑑』(つり人社)。ちなみに、学生時代に、ネッシー(といわれているであろう現象)を目撃&撮影したことがある。

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