埼玉県西部・荒川水系。高麗川&成木川でカワムツ探し、うららかな春の里川釣り歩き!

河畔の雑木が新緑に萌え、清流も温んで水生生物の活動も活発になって来た。オイカワ(ヤマベ)やカワムツたちは、羽虫を追って浅瀬へと泳ぎ出していることだろう。里川の小魚たちとの出会いを求めて、高麗川と成木川を釣り歩いた。

淡水
  • 埼玉県 成木川

最初の釣り場は高麗川~山間の栗園脇から開始

高麗川と成木川は埼玉県西部を流れる荒川水系の一級河川。市街地から離れると、いずれも里川の様相を呈す清流だ。先ずは高麗川に向かう。この川は飯能市、日高市、坂戸市、毛呂山町を流れ、流程は約40.2km。500万本のヒガンバナの群生地として全国的に知られる日高市の「巾着田(きんちゃくだ)」はこの河川沿いだ。釣り場はこの巾着田から直線で5.3kmほど上流の飯能市の山間部、井上地区。高麗川沿いには観光施設の『たいら栗園』があり、昼食はここでいただいた。
高麗川を所管するのは『埼玉西部漁業協同組合』。400円の日釣り雑魚券については、前日に「つりチケ」で買い求めておいた。専用アプリをスマホにダウンロードし、決済方法などを指定するだけで購入出来るので本当に楽だ。
栗園の駐車場脇でも釣れるが、河原はアシが一面に生い茂っていて、水辺まで到達するのに難儀しそうだ。そこで、少し離れた同園のバーベキュー場に徒歩で移動する。バーベキューを楽しむには時期的にまだ早いらしく、利用者はいない。

高麗川の遊漁券はスマホ決済の「つりチケ」で購入した
たいら栗園の施設の一つレストラン。川はすぐ横だ

春らんまんの清流を探る。サクラ吹雪と花筏に感激

施設前の河原は開けていて、眼前に大淵。その下流はなだらかな瀬が続く。太陽光線の具合で魚影は確認出来ないが、淵は魚のストック場。いるはずだ。釣法はテンカラ。仕掛けをセットしてスタート。水温は14℃。黒い小さな虫が盛んに水面を飛び交っている。「毛バリを投げ入れれば、それこそ1投目で反応があるだろう」と、高を括っていたら、何度やっても音沙汰なし。オイカワは兎も角、カワムツはどこだ?いつもなら水面に毛バリをポトリと落とせば、川底から一目散に飛んでくるのに…。
少し下流の瀬に移動して再びキャストを繰り返す。春の陽光を浴びた水面が光る。土手のサクラが風に煽られ、はらはらと花弁を水面に落としている。サクラ吹雪に花筏。「いいなぁ」と暫し見とれる。
時計をみると、丁度正午。10時に到着して2時間余り竿を振ったが、目的のカワムツの姿を見ることが出来ず、消化不良。『たいら栗園』のレストランで昼食休憩した後、成木川に移動した。

里の高麗川はまさに春爛漫。サクラの花弁が水面を漂う
後方の鉄橋は秩父市と飯能市を結ぶ西武秩父線
バーベキュー場前のトロ場を釣る

カワムツ求めて成木川。期待を込めて再開

成木川は東京・青梅市と埼玉・飯能市を流れる流程約17.3kmの小河川。最初の釣り場、高麗川井上地区からは車で30分程の距離にある。成木川のオイカワ&カワムツ釣りは入間川との合流点付近で狙うことが多い。しかし、この日は合流点から直線で約2km上流の下畑地区(岩井堂観音下流)で「今度こそは」と釣りを再開した。
ここで、当日のタックルを紹介しよう。ロッドは3m、ラインはフロロカーボン4号のレベルライン3.5mで、その先に0.6号のハリスを1m。毛バリは16番のカーブドロングシャンクに巻いた茶系ハックルのオレンジボディだ。

山里の清流そのもの。ヤマメも生息していそうな成木川のオイカワ、カワムツ釣り場
この日使用した毛バリ。フックはマルトの16番カーブドロングシャンク

ウグイスさえずる水辺で念願の対面!

落ち込みの下の淵尻に小魚の集団がいるのが見えた。水温を測ると高麗川よりも2℃高い16℃。仕掛けをセットしていたら、河畔の藪からウグイスの鳴き声が聞こえてきた。サクラ吹雪の高麗川といい、ウグイスがさえずる成木川といい、春の里川ならではの事象に心が安らぐ。しかし、兎にも角にもまずはカワムツを釣り上げねば…。
小魚の集団が散らないように、ソフトなプレゼンテーションで毛バリをキャスト。すると、群れの中の比較的大きなサイズのカワムツが、毛バリ目掛けて水面に浮上してヒット!12、13cmの小型だが、河川を移動しての1匹目ということもあって、嬉しい。しげしげと眺め、写真撮影してリリースした。
身近な清流の雑魚釣りは、釣法こそ子どもの頃と変わったが釣りの原風景。その後、何匹かと対面して水辺を離れた。
飯能市分(一部青梅市エリア含む)の成木川を管轄するのは『入間漁業協同組合』となり、雑魚遊漁券(乙種)は1日400円(ルアー、フライの雑魚釣りは特乙種700円)。

河畔の藪からはウグイスの鳴き声
ようやく登場!この日の主人公のカワムツ!
カワムツはこんな深場を好む。毛バリを見つけると我先にと飛び出して来る
どこか愛嬌があるカワムツ。ごめんね、すぐリリースするよ

高麗川沿いの観光スポット『たいら栗園』

昼食休憩した施設『たいら栗園』は、秩父市へ通じる国道299号線に面した高麗川沿いにある。栗拾いやブルーベリー摘み、ジャガイモ掘り、バーベキューが出来る観光スポットだ。特に、バーベキューは全棟屋根付きの施設で器材が揃い、しかも食材が注文出来る。手ぶらでやって来ても楽しめるという手軽さが、若者や家族連れから人気を呼んでいる。勿論、清潔なトイレ、更衣室、シャールームも完備している。バーベキューをしながら目の前の高麗川で魚釣りなど川遊びが満喫でき、これからの季節、足を運んでみてはいかがだろうか?カワムツも、オイカワも、きっと微笑んでくれますよ!

私が昼にいただいた手作りコロッケ、手作りメンチ、唐揚げがついた「くりえん定食」
当日、施設の案内をして頂いた関係者の谷沢真一さんも一緒に昼食。メニューはこれまたファンの多い地元食材を使ったピザ

施設等情報

■埼玉西部漁業協同組合
〒350-1257埼玉県日高市横手639-3 
Tel.042-982-2312
埼玉西部漁業協同組合ホームページ
■入間漁業協同組合
〒357-0046埼玉県飯能市阿須343-1(飯能市林業センター内)
Tel.042-973-2389 入間漁業協同組合ホームページ

施設等関連情報

■たいら栗園
〒357-0212埼玉県飯能市井上54-2
Tel.042-978-0327
たいら栗園ホームページ

※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。

この記事を書いたライター

小島 満也 雑誌「北の釣り」東京支局を経て、埼玉県西部地方の地域紙「日刊文化新聞」の記者。文化新聞定年退職後は同紙及び釣具の業界紙「釣具新聞」に記事執筆。還暦過ぎても釣欲が衰える気配なし。テンカラを愛好。

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