船着場は巡視船「ふじ」が目印
『博栄丸』の出船する御前崎港は東名高速道路・相良牧之原ICからバイパスを介して30分弱。首都圏からだと200km以上走ることになるのだが、道程のほとんどが自動車専用道なので感覚的には楽に感じられる。集合時間になると氷を積んだ軽トラックが船着場に到着、付近の岸壁に「博栄丸」が横付けされる。釣り座はグループ毎に割り振られ、クジ引きで決定する。クーラーに氷を詰め、コマセを受け取って乗船。仕掛けの準備は釣り場に着いてからで大丈夫だ。やがて釣り座に乗船名簿が回ってくるのでこれを記入して出船準備は完了。東の空が白み始める午前4時10分、「博栄丸」は出船した。
金洲ノ瀬に到着、竿入れは午前6時
御前崎から南南東へ20海里(約37km)、金洲ノ瀬までの航程は凡そ1時間30分。海上から見るぶんには何の変哲も無い金洲は、水深3,000mから50mまで急峻でせり上がる沖の“瀬”。点在する根毎にシマアジ、カンパチ、マダイにジャンボイサキと魚相豊かで、禁漁期間を設け資源保護にも努めている。
釣り場に到着後、竿入れ時間の午前6時まで10数分あるので、コマセ桶や仕掛け、電源のセットはこのタイミングで充分。船の周囲では魚のハネやボイルが見られ、投入の合図が待ち遠しい。「では時間になりました。20mで!」の合図でスタート。程なくして左舷トモ(船尾)で竿が曲がり、取り込まれたのは小振りながら“本命”、本ガツオ。この後も頻繁にアタリはあるものの思うようにハリ掛かりせず、仕掛けをワンサイズ落としものへと交換した釣り師からポツリポツリと釣果を伸ばして行った。
船長に訊く“金洲カツオ”のコツ
金洲エリアの本ガツオについて、『博栄丸』大澤洋輔船長に訊いた。「金洲で僕らがやるのは“瀬付き”の魚だもんで、食いの良い日ばっかりじゃなく、悪い時もあるもんで、ハリスは太いばっかりが良いんじゃないし、ハリもそうだし。道糸はね、普段はPE8号以上を薦めてるんですが、今年に限っては4号から6号で大丈夫ですよ」とのこと。また、仕掛けは幅広く用意して臨機応変に対応するのが得策だそうだ。ちなみにオキアミへの反応が鈍ったのは取材日前後のみで、その後は再びコマセに口を使うようになっている。その際に有効なのがオキアミに似せた“バケ”で、ムロアジやサバの餌盗りも多いこの時期には、ハリ持ち向上や手返しアップに貢献するそうなので要チェック。「カツオの群れはね、瀬に着いてるから居ることは居るんですがね。喰う喰わないは時間によって違うし、居ないじゃないですね」と説明してくれた。その真相が、この後明らかになった。
時合い到来、良型の喰いが立つ!
ポツリポツリの喰いすら落ち着きかけた午前11時。船長から沖上がり時間の近いことがアナウンスされた。この時点の竿頭は6匹。「このまま今日の釣りは終わってしまうのか」と、暑さも手伝って一同が意気消沈しそうになったその時、この日最大のチャンスが訪れた。餌盗りのムロアジに交じって、船上からも猛スピードで海面下を駆け巡る本ガツオが目視され、あちこちの釣り座で竿が曲がり始めた。しかも釣れる型はこれまでより二回りは大きく、手返しを良くすれば同じ流しで連続してハリ掛かりさせる釣り人も。桶の縁を叩く本ガツオの尾鰭の音の中、時合いの好釣はしばし続いた。
金洲の本ガツオ、最盛期はこれから!
かくして、この日の竿頭は本ガツオ14匹を獲った小永井さん。ラスト1時間の時合いに手返し良く数を伸ばした。取材日には上がらなかったが30kgくらいのキハダマグロや大型の本ガツオのハネも見受けられ、今後の釣果が楽しみな金洲の本ガツオ乗り合い。感染対策と熱中症対策を万全に、真夏のビッグゲームをお楽しみ頂きたい。
施設等情報
施設等関連情報
乗船料金:1万4,000円(氷付き/コマセ3kg1枚:1,000円)
集合:船着場へ4時(時期により変動あり、予約時に確認を)
出船:準備が整い次第
※料金等は取材当時のものとなります。料金の変更等がなされている場合がございますので、詳細につきましては各施設等にお問い合わせください。