真夏の榛名湖で白昼夢を見たい
2022年の思い出に残る釣りといえば、まず5年もかかってついに釣り上げた「キハダマグロ」が強烈な印象を残している。でも、それは8月に記事で書いた(神奈川・相模湾&南沖、キハダマグロ釣り奮戦記)ので、あえて今回は触れずにおこう(触れているか)。淡水の釣りでは、8月30日、群馬県の榛名湖で釣った1本のバスが脳裏に焼き付いている。榛名湖は、ここ10年ほど年に1~2度行くようになっている湖。それは「ダウト」という草トーナメントにスポット参戦するためだ。ただ、たまにビッグフィッシュ賞はとるものの、優勝は一度もしたことがなかった。
真夏の榛名湖には神話のようなパターンがある。それは「湖のど真ん中でのトップウォーター」。ど真ん中で突然ボイルが起きて、そのボイルをポッパーやペンシルで狙い撃ちにすると、グッドサイズのバスが飛び出すというのだ。その日は8月ということもあり、このパターンを夢見た私は榛名湖のど真ん中までボートを進めた。
たった1本のヴィローラで神話を実現か?
私は、ポッパーやペンシルではなく、ディスタイルのヴィローラ2.8インチをノーシンカーで投げることにした。それは高い浮力を誇るリアル系ワカサギワーム。先月の大会でもいいバスを釣ったし、この時最も自信を持てるルアーだったからだ。
「先月の榛名湖でも釣れたから、確かあったはず……あった!」
ところが、空のパッケージ。もう一つ見つけたけど、それも空だった。絶望の淵に立たされた私だったが、たった一筋の希望の光をこの目でとらえた。それはワームケースの片隅に1本だけ転がっていた、使い古しのヴィローラ。7月の試合で最後に投げていた、あの1本だった。こういうワームは、えてしてドラマを起こすものなのだ……。
「今日はこの1本のヴィローラで、3匹のリミットを揃えるしかないな……」
2022年の、「記録ではなく、記憶に残る1匹」との出会い
突然、スーパーボイルが起こった! しかも至近距離で。私はヴィローラを投げて、しばらく浮かせておいたら、「ゴボゥン」という低い音を響かせて水面が割れた! まさしく、湖のど真ん中で、トップに出たのだ! かなりの引きだったけど、仕留めたバスは40そこそこのサイズ。その場で検量すると1015gだった。
「よし、このペースでリミットメイクするぞ……ん?」
残念ながら、激しいファイト中に唯一のヴィローラが何処かへと失踪してしまった。最大の武器を失ってしまった私は、その後1匹も魚を追加できずに試合終了。ところが、参加者も少なかったし、ほかのみんなも不調だったようで、なんとこの1匹で初優勝! あれから20パックは買ったな、ヴィローラ2.8インチ。
今年の最大バスは56センチの3560gだったけど、やっぱり優勝を決めたこの1匹が忘れられない。読者の皆さんも、そんな忘れえぬ1匹1匹の魚たちを振り返りつつ、そばでも食べながら年を越してください。2022年、お世話になりました。2023年もよろしくお願いいたします。
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